─EmptyRoom (現実世界)─
[──其処は何も無い無菌の白い部屋。
光がやって来る。光がやって来る。
backup_dataが立ち上がり覚醒する瞬間、いつもぼくは後悔する。 凍り付く死の余韻、仮想世界での擬似的なの死の余韻。安全圏で怠惰に眠り続けていた僕の身体─…。眠り続けていたことへの罪悪感が、さらに身体のけだるさを助長する。
生身の身体は重く不格好だ。
仮想死の後必ず運び込まれるこの──現実世界の見慣れた部屋は、三次元に固定されており、当然の様に構成物質に重量感があり、それは酷く退屈で、ぼくの身体同様につまならないものだ。
ぼくは市民_Femaleとしては劣等のレッテルを貼られかねない不健康に痩せた手足を(規定量の栄養を摂取しない所為だ、それは当然の様に。)動かし、目蓋を開こうとして、どちらもまったく機能しない事に気が付いた──。]