……参ったな。
[――気持ちが悪い。
...の、それが隠しようもない本音だった。
華奢な少女に絡みつく、拘束具と呼ばれる衣服を彼は知らない。
蛇を思わせる厳重さで体に巻かれたベルトも、口を塞ぐ仮面のような鉄の板もまるで――]
ミイラみてぇだなお前……。
お前、まさか化け物じゃ無いんだろう?
[ちゃんと見ることができたなら哀れを誘うはずの、脅えの感情を宿した美しい紫の瞳も、今は汗で張り付いた前髪に隠れている。
...に見ることができたのは、酷く腫れ上がった右目だけだ]
じゃきゃ、妙な病気だとか…
[...は新聞を読んだ事も無く、凡そ子供じみた想像しか働かせられなかった。ことりと音を立てて、一歩後ろへ下がる]