[若い男女が去っていく後ろ姿を見送り、はぁと溜息を吐いた]……またやってしもうたのう。ううむ。矢張りご主人の……額、というか頭をまじまじと見過ぎたのがまずかったか。いや或いはあのでかでかとした鼻か。それともたるんだ頬……ううむどれとも判らぬのう。[決して美青年ではなくそれどころか平均よりは劣る容姿の男性と、対照的な位に美しい妙齢の女性。同じ指輪をしていたからには、二人は結婚関係にあったのだろうが――]