[さつきの手紙はすっかり血に浸り、封筒の一部と思しき部分だけが赤い海から姿を覗かせているばかり。 血はまるで粘液質の生き物の様にうねり、広がり…──。 その動きは何かを探し求めている様にも思える。 事実、血液は三階の廊下へは広がらず、十三の部屋の奥にある二階の書斎へ続く階段へと、誰の目にも明らかな程、大量に流れ込みはじめた。]