車内を懐中電灯で照らし、声を掛けようとする。
アーヴァインは言葉に詰まり、込み上げる嘔吐感に脇を向いた。
運転手に関しては確認するまでもない。──…死んでいる。
他にも外に投げ出されてる生存者の可能性を考え、確認してみたところ、助手席や後部座席や同乗者はさいわい居なかったようだった。運転手のものなのか、大破したフロンガラスに引っ掛かる様にして本か手帳とおぼしきものがぶら下がっている。
この雨ではすぐにびしょぬれになって読めなくなってしまうだろう。
アーヴァインはすでに「遺品」となったその本を回収し、ピックアップトラックに戻る事にした。