──三階・コルネール=ローゼンシュトック=シロタの部屋──[コプコプと水音がする。 ちょうどシロタが部屋へ引き上げて来た時、扉前の床から血球がぽつぽつと浮かび上がる。シロタの目の前で、血球は縦線を描き、横線を描き、「由良秀一」と名を綴る。そして、書斎の壁がそうで有った様に、不快な軋む様な高音を立てて、由良の*其の名を打ち消した*…──。]