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[己は酔わぬわけではないが]
…同感だ。
[かつり触れ合い瓢箪鳴る]
さて、どちらでも構わぬが。
なれどこのままおけば皆が問うか。
…やれ、それも面倒だ。
戻れども戻らねども後で洗うてもらえぬか。
[下駄音と共に宴場に。
血の跡黒く地に沁みて]
……やれ、確かに我は地色だな。
[呟き小さく地に落ちて。
隣の白水に届かぬだろう]
[するり、興が失せたか藍の目逸らし]
さてはてお前さんが紅塗ったか、遊んだ相手よのう。
期限はあと三つか。お前さんが本気にならぬまま過ぎれば己は盲の手引いて、また怒らせれば良いのかのう?
[くるり踵返して、カラコロリ闇に紛れて何処へ向かうか]
はよう本気に成れ。
[静かな呟き残して消える]
嗚呼、開那の兄さんかィ。
アタシァ怒りなンぞで本気にゃ成らぬ、手を引けと頼む心算も無いヨゥ。
[呟き聴き] [浮かべる表情] [見る者無く]
一日中鬼ごっこの事ばかり考えてるさァ。
近く咲き乱れ本気に成れるかもネェ。
心算無いからわざとするのよ。
怒りでないなら、さて如何か。
目玉食ろうた時のお前さんは本気だと思うたんだがのう。
[常葉の声に振り向かず返してそれっきり。
先ほどの場所へ戻れど二人の姿は無く、露店通りひと歩き。
浴衣小脇に瓢箪三つばかり下げて、カラコロ宴の場へ向かう。
二人の姿見つけて寄れば、開耶の瓢箪。ひとり頷く]
入れ違いだったか。
少々寄り道してきたゆえ、遅うなってすまぬな。
[変わらず眠る薄墨にやれと息吐き。
つぃと琥珀は地を滑る]
如何程舞ったか、薄墨。
[血を吸う地は白斑点。
問う声返る言之葉有らず]
やれ、寄り道か。
迷うておったかと思うたぞ。
[瓢箪置いて青司に向かう]
[青鬼去りし後] [カラコロ歩む道中] [現れたる異形達]
おや、なンぞアタシに用向きかえ?
[くるうり] [紅い番傘回し] [ぽたあり] [紅い雨降らせ]
[にたあり] [三日月の笑み] [用向き] [訊くまでも無く]
さぁって、こんなもんかねぇ。
身体がでかいと合うのが少なくていけねぇや。
[ぼやき着込んだ着流しは 緋色の映える濡羽色。
闇夜の鴉の羽の色。]
今夜も宴会、
それから血祭りってとこかねえ。
[吼えるもののけ、一瞥笑い]
[昨夜のいざこざからずっと濃紺に黒滲みた着物袴姿で。
ぺたりぺたり]
誰そ、我の下駄を見かけなかったか。
裸足の方がこの姿では動き易いとはいえ…。
そうそう。
ヒトも鬼も参らすと云う木天蓼酒なるものを手に入れて来たぞ。
猫の反応、今宵もまた楽しみよの。
[くつくつ。提げた瓢箪を掲げその場の面々に告げ]
やれやれ、変わらず寝こけて居るか。
とわの夢でも見ておるのかのう。
[桜埋まる有塵の姿に肩竦め。
こちらも瓢箪ひとつ置く。瓢箪いくつも抱えて薄墨桜は寝息を立てるか]
さてはて、無事逢えたからそれで良かろう。
[足元瓢箪置いて、
小脇に帯でまとめた黒浴衣。開耶へと放る]
[取り囲む異形] [百鬼夜行の装い] [隻眼の碧に映し]
[ぐるり眺めて] [隻眼眇め] [さらり白い手] [常葉かきあげ]
群れにゃ動けぬ小鬼風情がアタシに喧嘩売ろうたァ好い度胸だネェ。
[コロコロコロリ] [軽やかな笑い声] [開始の合図となりて]
[飛び掛る群れ] [ひゅうい] [白い手振り] [木へと絡めた糸引き]
ほゥら、こっちだヨゥ。
[迫る飛礫] [番傘向けて] [弾き返し] [蜘蛛の巣綺羅リ]
[剥がれ落ち] [群がる異形] [絡め取り] [枝の上腰掛け]
もう仕舞いかィ、詰まらないネェ。
お。常葉に開耶か。青鬼もおる。
赤鬼もまた緋にまみれて現れるか…。
[くん、と空気のにおいを嗅げばそこかしこから
濃厚な血の匂い。其れもまた一興とばかりに上機嫌]
同族のものでも血が騒ぐものなのだな。
なあ、垂氷?其方も味をしめたろう。
ふふふ。火影も嫉妬するない。すぐにでも血の宴が始まろうて。
今宵も宴か。血の宴にならぬとよいな?
[本心か否か。くつくつ...嗤い声を洩らす]
あぁ、そんな吼えてくれんなよ。
俺ぁ売られた喧嘩は高く買うのさ。
[足元千切れた腕足手
緋色の鬼は襷掛け 袖を捲って腕を組む]
ははは、
これじゃあまるで俺が狩る者みたいじゃねえか。
そんな事を琥珀の兄ちゃんが謂ってたねぇ。
人かアヤカシか。
俺ぁ愉しけりゃどっちでもいいのさあ。
[矢張り笑って歩き出す。
吼える声は聞こえない。]
[もがく程] [絡まる糸] [異形達締め上げ]
[はたり] [苺色の鼻緒揺らし] [煙管咥えて眺め]
嗚呼、嗚呼、足りないヨゥ。
こンなンじゃ全然足りないヨゥ。
[ぺたぺたり、裸足の音に百鬼かと向けば万次の姿]
見て居らぬなぁ。
お前さんの下駄は足でも生やしてどっかいってしもうたか?
ほほう、昨夜のまたたびといい何処で見つけてくるのか。
面白い酒じゃが参ってしまっては難儀ようのう。
[からり笑う]
[裸の足の音、万次郎見て]
さて、知らぬな。
誰ぞに履かれて往ってしもうたか?
[酒の言は聞きもせず]
[とわは永久と聞こえるば、僅か目線は逸れようか。
投げらる黒に反応遅れ、些か危く受け取ろう]
やれ…では着替えてくるか。
人の姿なれば見られて構うものでもないが、
厭という者も在るようだしな。
[浴衣小脇に泉に消え]
[暫しの後に黒に変わりて現れる。
手足も茶浴衣も洗うたか、しとり濃い茶より雫落つ]
[羽螺羽螺 はらはら 緋羅李
花びら舞い落ちる櫻の根元に腰を下ろし、傍観]
いつかは散るものと定められているが。
ヒトも何時かは散り果てるものの、
我ら異形は何時散るとも判らぬ存在。
…これは罪か?
[傍らの瓢箪から、黒杯へ手酌で一杯。
今迄と香の違う酒に目を細め。すうと喉へ流し込む]
[ギリギリ] [絡まる糸] [仕舞いに全て] [締め上げて]
[くぃ] [白の手引けば] [月夜に綺羅リ] [異形肉片と化す]
おや、喰児じゃないかィ。
今宵もまた随分と好い形だネェ。
[木の枝腰掛け] [番傘まわし] [ぽたあり] [紅い雨降らせ]
[煙管片手に] [紫煙吐きつ] [赤鬼見下ろし] [ニィと笑む]
[青鬼の返答、琥珀の返答。どちらも否と]
さすれば、どこかの雑鬼が盗んでいったか。
惜しくはない故、見つからねばそれで良いのだ。
[青鬼には笑い声で応え]
我、見る者也。故に、どこかで尻尾をつかまねばならぬのよ。
今宵は、誰ぞに潰れてもらわねばなあ。
[偽なのか真なのか、其れさえぼかし]
[取り落としかける開耶見て、首捻るも。
着替え見送り、戻る姿。それとなく距離置き、腰を下ろす]
地の。先ほどなんぞ考え事でもしておったか。
[片膝ついて、はらひらり。流れる花びら目を細め問う
万次の呟き聞こえれば、其方へも問いひとつ]
罪とは、物の怪の散り際わからぬ時か?
それともヒトの如く散る桜か。
[張り巡らされた蜘蛛の糸
滴る雫は玉のよう]
おう、碧。
そっちこそ随分派手にやってるじゃねぇか。
そいつが碧の獲物かい。
綺麗な蜘蛛も居たもんだぜえ。
[見上げてにやり笑み浮かべ
闇夜に金が鋭く光る]
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