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六の目を出すとは…本番に強いタイプなのやも知れぬな。
常磐の君。飴屋には司棋を連れてゆくとよいぞ……。
[人知れずつく溜め息は黒い霧となり風に流れ]
ふふふ……
賽は気紛れ。
誰の手にも負えませぬ。
万次郎様、お拗ねにならず。
今回は、司棋様の無垢な指先に、賽の神様が御味方したのでございましょう。
ふふふ………
あっちゃぁ、駄目だぁ。
司棋の出目が強ぇ。
[残念惨敗出目に苦笑。
獅子舞揺れて光を弾く。
遥月の声に振り向けば]
別段何も賭けちゃいねぇよ。
酒が飲めるんなら負けるが勝ちだなあ。
[笑いひらひら手を揺らし]
[喰児と万次郎の目と自分の目を比べ]
これは…勝敗はどうなるんでしょうか?
出目やらなんやらと…。
万次郎様?何を不機嫌に?
[悪びれなく]
ところで、先ほど何か云うてなかったか?
[赤の杯傾けて、半目で常葉の女をチラリ]
己は都合の悪い事には耳が遠くてのう。
[しれっと酒のみ転がる賽の目、
ちりんと涼やかな音に目を細める]
赤鬼も振ったか。
桃太郎などと申すからそんな目が出るのだ。
さぁて、我の勝ちとなるのだが…どうする?
敗者の扱いを決めないまま勝負を始めてしまったな。
ここは一つ…、月の君にうかがうとでもしようか?
月の君よ、敗者はどうすべきだろうな?
[薄く笑む]
[壱出す] [司棋] [赤鬼] [黒い気配の万次郎]
[しゃなりしゃなり] [囲む場] [歩み寄り] [酒告ぎ周り]
お疲れさンだネェ。
是は今日の林檎飴も期待できるかネェ。
[杯を乾かす赤鬼] [傍らに膝つき] [更に酒注ぎ]
今日は苺飴も食べれるかえ?
[青司にちらりと紅の視線を。]
さあて、いかがなさいましょう……
わたくしの悪戯にお付き合い戴きますのも悪くはございますまい。
[にこりと微笑み、ぐるりと敗者達を見回す。]
[分かってない風司棋の声、
わしっと頭を手で掴み
赤い髪を撫で回す]
決まりごとをしらねぇんだったなあ。
コイツは3個の賽の眼のうち、
2個が一致したときに、
残りの数字を「目」と呼ぶのさぁ。
つまり、司棋の目は1ってことだぁな。
数字は大きいほどいい。
[不機嫌な万次郎と酒を手にする喰児を見やり、苦笑しながら]
万次郎様へはご機嫌取りを、喰児様には酒の慰めにでも。
教えて頂いた礼を兼ね、先程お約束した芸などを披露いたしましょう。
[己の両の掌に無数の蛍火を顕わし。
手の中で花火が散るかのごとく。
夜斗の口から小さな風が起こり、それらを思い切り空へ吹き上げた。
星も見えない空へ、蛍火が色とりどりに舞い散る]
[真理の言葉に苦笑しながら]
本気で…と申されましても…。
僕には本気のお相手とはどういうものかがわかりませぬ。
翡翠の君が教えて下さるのなら僕に否やはありませんがね。
今出した星は勿論、貴女様へ。
[いつの間にやら酔いが回っていたようで、判らぬ事を口にしたかもしれず。それでも、司棋のあらわす蛍火にはゆると見入り]
……見事なものよ。
我も披露できるものがあればよいのだが…
生憎と獲物無しでは披露できぬものばかり。
そればかりか、こやつ等は遊びにつき合うては呉れぬ。
嗚呼…よいな……。
[舞い散る蛍火。空を仰ぎ感嘆の溜息を漏らした]
悪戯好きとは月もわっぱか。
かっかっか、好きにいたせい。
[ふわり、司棋から舞う無数の蛍火]
杯の酒に映りこみ、ゆるり目を細めて空を見上げる]
ほぅ、これは綺麗だ。
桜の次は蛍か花火か、おつなものじゃのう。
おやおや、司棋様お見事な芸で。
[司棋の芸に、ぱちぱちと軽く拍手を送る。]
そのような芸をお持ちとは。皆様、素晴らしゅうございますねぇ……。
[空に星を顕わすと、そのまま夜斗を空へ飛ばす。
一瞬夜空に溶け込んだかと見えると、星星が一斉に流れ星となって降り注ぐ]
僕がお見せできるのはここまでのつもりでしたが…
華を気に入ってくださった翠のお方へ、特別に。
[ぱむ、と手を叩けば流れ星の落ちた木々へ一斉に桜の花が乱れ咲く]
今宵限りの幻ですが。ないよりは酒の足しにもなるでしょう。
………ところで。
[喰児と万次郎をちらりと交互に見やる。]
万次郎様、先ほどの「敗者を如何様にするか」のお話でございますが……。まさか、勝者に芸をさせたままお終いという訳では御座いますまい?
[小首を傾げてにこりと笑む。]
旨い。
[真理の注ぐ酒甘露の味わい、
苺飴は食べれるか?
無邪気な問いに眼を細め]
今日は駄目だな、調子が悪ぃ。
それとも飴の為なら力が出るのかねぇ?
[冗談めかして唇歪め]
悪戯ったぁなんだい、遥月?
[頬杖ついて上目で見れば
月の光に紅が揺れ
其の先蛍火夢幻に揺らめく]
ほぉ。これぁ見事だぁ。
昼といい夜といい眼福だなぁ。
冗談はお止しヨゥ。
アタシに本気に成ったら人間だって喰っちまうヨゥ。
[コロコロコロリ] [笑う] [けれど]
[白い手] [伸ばして] [赤い髪] [梳いて]
司棋の兄さんは穢すにゃ惜しい、喰うにゃ勿体無いのさァ。
若しアタシの顔が一日中頭を離れなくなったら教えて呉れたら、そン時は司棋の兄さんのお相手をするか真面目に考えようかネェ。
[漂う星] [瞬いて] [視界を過ぎり]
[追う眼差し] [逸れて夜空] [仰ぎ見る]
綺麗だネェ、嬉しいヨゥ。
瞬く星こそ人間どころか妖にすら永久の光かも知れないネェ。
礼は無いけれど、有難うネェ。
ほう……見事な。
[流星、そして櫻。周りが心無しか明るくなったような気さえ]
……では、敗者の名に甘んじよう…。
[遥月を見据え]
それで…、赤鬼と我が敗者になるが、なにをせよと?
先も申したが、芸事なぞできぬぞ。
[赤鬼と見比べる]
[降り注ぐ数多の星。灯る桜の花。
杯傾け、目を閉じれば蛍火の残像]
良いな。
花はいずれ散るものだ。
今宵限りでも花は花だろうて、良い良い。
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