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[常葉の少女に目を見開いて]
[その答えに僅か眉根を寄せる]
自分で喰らうとは――奇妙なことを。
其れも刹那を愉しむコツか?
[青司の様子に緋色を細め]
そうじゃな。
妾にも――……ようわからんわ。
[続く言葉には笑みを浮かべ]
愚かなことこの上もない。
泉で妾に挑んだことも――拾った命をまた捨てにきたことも。
……妾が喰らうは魂ゆえに肉は烏にくれてやろう。
[言えば、カラリコロリと歩を進め]
司棋様、メイ様。
いい加減になさいませ。
……まったく、犬と猫の争いだなんて、あなた方は童子ですか?
そんなつまらない理由で喧嘩なさるなんて……嗚呼、情けない。ほら、爪をしまいなさい。みっともない。
[灰の紬の袖を口許にあて、眉をしかめて犬猫を見やる。]
[赤鬼の声] [振り向き揺れる常葉] [見詰める眼は碧と翠]
[薔薇色ニィと笑み] [妖し蛍火] [隻眼の碧と共に弧を描く]
鬼ごっこだヨゥ。
そう言う喰児も中々に好い形(なり)じゃないかィ。
心配せずとも小鬼に狩られる程に落ちぶれちゃ居ないヨゥ。
でも鬼ごっこはもう始まってるからネェ。
何時消えるとも知れぬは誰しも一緒さァ。
[青鬼見詰め] [くうるり] [回る番傘] [ぽたあり] [紅い雨]
[てらてら光る] [紅い番傘] [月夜に映る] [蜘蛛の巣綺羅リ]
今宵は一献、茄子の兄さんと酌み交わそうかィ。
[遥月の言葉] [紅い化粧を呉れると謂う] [ニィと笑み]
遥月の兄さんも優しいネェ。
紅は血の色、綺麗さァ。
こン侭でもアタシァ構わぬが見苦しけりゃ好きにしと呉れヨゥ。
開耶も来よったか。
あちらこちらに赤ばかり。そろそろ別色見たくなるか。
しかし手を出すのはあちらゆえ、
あらぬ疑いかけられたまま大人しく食われるのもつまらぬものよ。
[開耶が落とす煉瓦色。
くつり笑って、赤鬼見遣る]
ああ、ああ。朧な夢を見すぎておったわ。
すっかり目覚めればうつし世の香にほろ酔いよ。
祭りも祭り鬼ごっこじゃ。
お前さんも派手にやったようだのう。
そうかい、
そりゃあいい、良く出来ました、だ。
[白水答え、先生返す。ごっこ遊びの延長線。
琥珀が眉を顰めて諭す]
さぁ。どうだったかなあ。
数えちゃいねえ。
はははは、俺ぁ愉しければいいのさあ。
それに、売られた喧嘩は高く買えってな。
[赤鬼に、肩を竦め笑う]
さぁて、猫に主は必要か?我の記憶では、猫は主を持たぬと。
[引き寄せたメイの後頭部をわしと掴み、ともに踵を返し]
ゆくぞ、酒の調達だ。其方も呑むのだろうに。
先の礼の件も含め、これで御破算にしようて。なあ?
[盃を仕舞い、ぺたぺた歩き出す裸足。片手は未だ翡翠の頭を掴んだまま社を離れてゆき―――。]
[周りにさんざ呆れられてもぷつり切れたものは直りもせず]
だって最初にあの猫が…!
[子供のような言い草で。みっともないやら情けないやらと呆れられ、耳垂れるようにしょげるもつかの間]
…いいですよ〜だ。ふん。
でも猫と一緒の席だけは勘弁ですから!
[興奮する夜斗にまたがり、泉まで*駆け抜けて*]
陽に灯に緋か。ふむ、さて。
[緋色細める白に、暫く首かしげ、ぱちり指鳴らす]
それは命のようじゃのう。
陽に蕾抱き、咲くは命の灯火、散るは緋色の血の色じゃ。
ふむ、捨てるも拾うも己が裁量。
賽の目振れば、出る目を捨てるはまた無粋。
[常葉の女の言葉。小鬼と聞けばくつりと笑う]
己と呑むか、よかろうて。偶にはお前さんに酌でもしようか。
[紬の袖の奥で、遥月はくすくす笑う。]
嗚呼、可愛らしい司棋様ですこと。
まぁったく、拗ねる姿は子どもそのもの。嗚呼おかしい。
はいはい。わかりました司棋様。
気分が直ったら、また戻っていらっしゃい?
[紅の目尻を緩め、男はくすくす笑い。]
>>230
うん教えよう、万次郎。わらわが傷つけるのは雑魚であり、鬼狩りでもあり、おぬしを傷つけようと目論む者でもあり、そしてキャンキャンとよく吠える犬じゃ。
この身のこなしに働きをよう見て、ヒトであるならばどうあっても適わぬ動きと知るが良いぞ。
[降ろされた手を名残おしげにそれでもニッコリ笑って見せると相も変わらず、司棋達に向ける眼は激し火の色]
…おやおや。
>>236
[けれどもその眼がまあるく見開かれ、惑ったように首を振る]
困ったものよ。司棋の心根の悪さを見たと思えば、かように美しい瞳を常磐のひめに戻し、さらにはその髪に白い花を飾りもする。
懲らしめてやるべきなのやら、褒めてやるべきなのやら……ぬっ。
…我が心決まった。やはり懲らしめるべき!
[猛然と吠えたて今にも噛み付かんばかりの司棋>>245を見れば、迷いは消え、勇ましくも両腕を振りかざそうと――]
[表情に声、腕はとは裏腹にやはり……万次郎を盾として脚はさがる寸前、襟首掴まれ引き寄せられたはむしろ救いであったろう。
さがりそうであった己の脚には]
……ううむ。いやいや、違う、違う。
これは退却などではなく、楽しきいざないにのれとの天の思し召しに脚が従おうとしておったまで。
>>246
…おお、そうともそうとも。
青司とてわらわを頼りにしておるがゆえに。
司棋が酒の席潰さぬよう、ここは大人の態度で身をひこうとの思いがさせたことでもある。
>>250
なんと遥月め、そのように折れてやったわらわまでも一緒くたにしては酒を調達してきても、分けてはやらぬぞ。童子はそこな一匹、司棋ばかりよ。
[逃げるとは見せぬ悠然とした表情で、にこり万次郎に微笑み>>243]
うむ、行ってやろうとも。楽しき宴のための差し入れ物調達もまた、おぬしと共にならば一層楽しかろ。
見渡せど赤が目に付けば飽きもする。
[幾度擦ろうと落ち切らぬ。
飽いて袖を放ろうか]
適当に流せば良いにそれすら出来ぬか。
それとも最初からする気がないか。
なれば狩る者でなくとも狩る者と同じよ。
[下げた瓢箪引き上げて。
突き立つ氷片越しに藍を見る]
[隻眼の言に零るる溜息]
やれ、確かに数える間もなかろうが。
これでは主に人を捧ぐ前に妖が総て消えようぞ。
[番傘くるくる蜘蛛の糸
獲物捕らえて喰らう性。]
蜘蛛かぁ。よぉく似合ってらあ。
そりゃあ子鬼程度じゃ碧の相手はつとまらないだろうさ。
はん、
着物の色が染め変わっちまったぜ。
鬼ごっこかぁ。
そりゃあ命がけだねえ。
喰うか喰われるかだ。
俺ぁ鬼になり損ねたかあ?
[揶揄半分で杯掲げ その模様は木目色。
笑う青鬼振り仰ぎ]
そうかいそうかい、
夜の夢こそ真という言葉もあるがねえ。
祭りは派手なほどいいのさあ。
[白の少女] [問う声に] [振り向き] [ニィと浮かぶは三日月]
昼間は泉を貸して呉れて有難うネェ。
刹那を楽しむにゃ邪魔なもンもあるのさァ。
[新たな気配] [琥珀の君] [碧と翠向け]
おや、開那の兄さんもおいでかえ?
昨夜は楽しかったヨゥ、次ぎは何して遊んでお呉れかえ?
[青鬼笑い] [酌をすると謂う] [しゃなりしゃな] [歩み寄り]
[膝着き座り] [赤黒の袂より] [木目の浮く盃] [すぃと差出し]
そンじゃ遠慮なく頂こうかィ。
[開いた番傘] [くるうり] [てらてら光る傘] [積もる花弁]
[先生に褒められ][くすりと笑んで]
汝れも大分――指導者らしい形(なり)をしておる。
[吼える犬には首を傾げて]
やれやれ、ほんにわっぱじゃのう。
[けれどくすくす][愉しそう]
[遥月は、メイの髪をそっと撫でた。]
はいはい、メイ様。落ち着いて下さいな。だいたい真に強き者は、子鬼ごときに吠えますまい。それを言ったのは他ならぬメイ様ではございませぬか。
[メイの鼻筋を指先で軽く撫でる。]
その御手本をメイ様からお見せになれば、司棋様も負けたと音を上げるやもしれませんよ?御試しになってはいかがです?
[メイににこりと微笑んだ。]
[藍の謎解き][袖は口元のみならず顔まで覆うか]
[嗚呼けれど][くすり][もらした笑みが聴こえる]
命か。
汝れの例えも悪くない――。
[袖から出た顔][いつもの微笑み]
[捨てるも拾うも裁量なれば]
あの者には裁量がなかったのであろう。
[メイの云いに、笑い殺して神妙に頷く]
左様左様。
お前さんを頼りにしているゆえ、喧嘩止める無粋を承知で申したのよ。
万次とひとつ酒でも持ってきておくれ。
笑うて酒呑み交わせば、それもまた大人の態度よのう。
[見送り、開耶が瓢箪出せば、薄く笑む]
なぁに、少々腹の足しにせぬばならなくての。
流すも良いが、今宵はその気がむかなんだ。
如何思われようとも構わぬが、なればお前さんも礫を投げるか?
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