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ん…?
[くぁあと大きな欠伸で目の端に涙を溜めた目で、妖し笑いの口許を袖に隠して笑う遥月を見やり]
そうじゃなぁ…わらわはどうせ味わうならば毒より、甘いのが好みじゃ。
同じ蝶ならば、舌にとろける花の蜜を分けておくれな…ふぁ…
[涙で霞む遥月の姿が見えなくなる迄見送って]
うん。
別段無理などしておらぬが…もうわらわは休む。
常磐のひめよ、おぬしも明日からの戦いのためにもよく休むのじゃぞ。
[それから前後不覚の態で、社の軒下に良さそうな隙間を見つけると、するする身体を捻じ込ませて、気持ち良さそうに*はまり込む*]
[遥月の置き土産] [微か薫る血] [桜の色] [白粉と混じり]
[戻る気配一つ] [濡れた碧] [すぃと青鬼捉え] [ニィと笑む]
司棋の兄さんは大丈夫かえ?
[碧の瞳に][さらり顎を撫で指先は口元を隠す]
あぁ…大丈夫だ。あの様子なら大丈夫であろう。
ところで先ほどなにやら騒がしかったが?
[人影引けた宴の後を眺める]
[隠す口許] [眇める碧] [遊螺り] [立ち上がり]
[しゃなりしゃなしゃな] [下駄の音響かせ] [歩み寄り]
お姫様にお休みの接吻でもしてきたかえ?
さて、騒ぎの正体は聴いたが未だ観て無くってネェ。
是から観に往くけど茄子の兄さんも来るかえ?
馬鹿を申すな。
[眉根寄せ、視線逸らす]
見に行く? 何かあったのは此処では無いのか。
――ふむ、行こう。
[ぺたぺたり、常葉の女について歩き
浴衣の胸元、手は握り。つきり水痕 傷むか]
[寄せられる眉] [逸らされる藍] [其れ以上謂わず]
[隻腕に] [すぃと腕絡め] [握る手] [見下ろし] [瞬いて]
其ン手は如何かしたンかえ?
―――鬼ごっこが始ったのさァ。
[未だ人だかり] [人混み掻き分け] [辿り着き先] [林檎飴屋か]
おや、此処だったンかィ。
なに、少々戯れが過ぎた。
[絡まる腕] [握る手の平、黒く煤痕 覗く赤肉]
鬼ごっこなど既に始まっておろうて。
[人だかり分け進み、此方を向く数多の視線]
成る程…これは礫のひとつふたつは飛んできそうだな。
――狒狒の店主か。
何故この者か。さてはて、手当たり次第はあちらも同じか。
[見下ろし、さらり顎なでる]
今宵は過ごしてばかりだネェ。
[周囲の喧騒] [密やかなる声] [変わるか]
[煤痕の合間] [覗く赤肉] [濡れる碧眇め]
嗚呼、恐い、怖い、強いネェ。
襲われたら護ってお呉れヨゥ。
林檎飴が喰えなくなっちまったネェ。
[呟くも] [濡れた碧] [頬撫でる手] [見詰めた侭]
[ついと視線を巡らせて。
密かなる声は一度止むも、
視線を外すとまた何処からかはじまる。
常葉の女を隻腕側へと押しやって]
こちら側に寄っておけ、腕があかねば如何しようもない。
ふむ、運試しの余興もここまでか。
[呟くと、林檎飴が食えないと女が云うのに半目を返す]
お前さんはそれでも林檎飴か。
[押されるのに] [腕解き] [青鬼に] [身を寄せ]
[濡れた碧] [藍を覗いて] [周囲へ移し] [ニィと笑む]
嗚呼、林檎飴だヨゥ。
別に狒狒の兄さんにゃ興味も無いが飴は美味しかったからネェ。
[ざわめく周囲] [飛ぶは] [飛礫か] [屋台の刃物か]
[眇めた碧] [蠱惑的に揺れ] [コロコロコロリ] [笑い声]
やれ、本当に来るとはネェ。
確り護ってお呉れヨゥ。
やれやれ、食らうのも面倒だ。
そこの店主、番傘ひとつ貰おうか。
[飛ぶ礫に構わずに、
露店から番傘一つ引き抜き、刃物を弾き
ばさり開いては礫を弾く。
握る手力込めれば傷跡から滴る墨。
滴るままに吐息かけて、地に落ちては這う蔦の様]
そら、未練が無いよう林檎飴も奪っておけ。駆けるぞ!
[蔦は人ごみの足を絡めとり、転ぶ物の怪。
雪崩れる隙に傘差し常葉を急かして人気のない方へと連れて行く]
そンじゃ遠慮なく貰ってこうかィ。
[ひゅうい] [振るう白の手] [見えぬ糸]
[掴み] [寄せて引く][紅い] [苺飴] [林檎飴]
[ひらり] [返す手] [中空に] [留まる刃]
[カラリ] [刃は落ち] [青鬼と共] [駆け出すか]
此処まで来れば大丈夫かネェ。
[木々聳える] [森の奥] [歩を緩め] [両手に飴持ち]
手は大丈夫かえ?
数揃わずに追って来るほどのものは居なかろう。
あぁ、面倒じゃ面倒じゃ。
いくつか喰ろうてやったほうが大人しくなったかのう。
[木立歩み、適当な切り株。腰を下ろして番傘捨て置く]
手は仕方あるまい。
余り雑に扱うと良くない減り方をするがなぁ。
お前さんの方こそ何処も怪我はなかろうな?
傷でもつけたら赤鬼に合わせる顔が無い。
喰うンなら飴なんざァ要らなかったさァ。
[歩み寄り] [小首傾げ] [覗く藍]
[林檎飴持つ白の手] [つぃと差し出し]
減り方ってェ、本当に茄子の兄さんは墨絵かえ?
おや、赤鬼青鬼は仲違いかィ。
怪我でもしときゃ面白かったかネェ。
飴も物の怪もお前さんには同じものか。
[呆れ顔で返す。手の平に滲む墨。
息をかけるとさらり、煤に還り傷跡残すか]
さぁて、己の正体は如何かの。
気が向かぬから教えてやらん。
[手を伸ばし、林檎飴受け取り齧る]
……馬鹿を申すなとさっきも云うただろうて。
お前さんの戯言は戯言に聞こえぬわ。
それとも仲違いでもさせたいか。
美味しければ其ンで好いヨゥ。
おや、つれないネェ。
哀しい、淋しいと泣いて見せようかえ?
[言葉と裏腹] [コロコロ笑い] [カリリッ] [苺飴齧り]
本気も本気の鬼ごっこするンなら其れも面白いネェ。
いっそ此処で茄子の兄さんを喰ろうて喰児と鬼ごっこでもしようかィ。
逆に喰児を喰ろうたら茄子の兄さんはアタシと遊んでお呉れかネェ。
はいはい、はい。
泣くのなの字も見えんぞ。
[しれっと飴齧る]
それならいっそ此処で己がお前を食らうてやるか?
しかしそれでは己が喰に喰われてしまうわ。
どちらにせよぐるりひと巡りの鬼ごっこになるじゃろうて。
己の気に入るものを喰われれば己が食い返す。
それとて他も同じものだ。延々喰うか喰われるか。
どちらか食い尽くされるまで終わらぬ。
生憎アタシァ喰う専門さァ。
[吊り上がった] [薔薇色の唇] [戻った筈の] [碧の双眸]
[やおら潤み] [ニィと笑んだ侭] [白い頬伝うは] [透明な雫]
[瞬けば益々零れるから] [長い睫毛] [震えるばかり]
[藍を見詰め] [薔薇色の唇] [尚もニィと笑んだ侭に]
厭だヨゥ、笑ってるさァ。
其れとも泣けば慰めてお呉れかえ?
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