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[言葉を刻むように視線は口許に注がれて]
殺す事は、殺されること――か。
[問いかけには瞬き一つ、ゆるりと首を横に振り、或る程度撫ぜれば矢張り最期はくしゃりとかき混ぜて絡まる髪から手を離す。]
ま、食べたこともないけど。
人間は雑食だから美味しくはなさそうだ。
[草食動物の肉の方が美味いなんてのはよく聞く話で。]
俺の肉は肺じゃなくても不味い。多分。
ニコチンなんて毒みたいなもんだし。
[けれど生存競争にグルメなど求めるはずもなく。]
そうか、台車。
[機材を運ぶための台車が部屋の片隅に置かれていることに気づいて、ナイフを置いた。血濡れの手を作業着であるパンツで無造作に拭う]
これは、結構な量かもしれない。
[つまむ様に端末からインカムを取り出し装着。船内放送に切り替えて]
『こちら、オペレータ・セシリア。食料を調達した。現在の乗員分はゆうにあるため、食堂にて調理する。食べたい者は食堂に集まること。以上』
[淀みなく言ってのけ、二つの肉塊を台車にのせる。ちょっとした肉体労働は、空腹の体にこたえる。時間がかかってしまった。ローズマリーが待っているだろうと、台車を押して食堂へ向かった]
[水の流れる音。
肩で息をすることしばし。
ふと振り返ればウサギの黒い瞳と目が合う。
其処に移る自分の顔は酷く歪んでいる。]
――……空腹は精神を破壊する。
やはりヒトは面倒臭い。
[変わらず赤い手で顔を拭う。
いつもと少し様相の違う主を心配してか、足元に付きまとうウサギを抱き上げて。
船内を流れるセシリアの声に表情を戻すけれど。]
――……私が死んだら、君は悲しんでくれる?
[普段ならばそんな問いかけ等することもなく。
答えに窮しているのか、あるいは最初から答える術がないのか。
ウサギはそ知らぬ顔で、*毛繕い。*]
[食堂に近付いたところで、悲鳴のようなものが聞こえた]
…?
[パンツは拭った血でまだらに赤く染まり、手もまだ赤の色が残っている状態。
そんな姿で台車を押して厨房側から食堂に入る]
ロゼ?うーくん?
お肉持って来た。簡単に調理できそうな所だけ。
内臓は血抜きが面倒だからやめたほうがいいかも。
ロースとかバラなら、殆どそのまま使える。
炒め物かソテーにする予定。付け合せは無いけど。
[まるで普段の食事について話すように躊躇いは無く。肉塊を一つずつシンクの脇に置いていく。これも時間がかかる]
[なぞられる言の葉に静かに瞬き、投げた問い掛けに答えが無いらしきには其れ以上問うでも無く、さらさらさらさら緋色の煌きを零してくしゃりと混ぜられるのに、また一つ瞬き被りを振って視界にかかる髪を払う]
人間だからだと思う。
[喰われる人間の事なのか喰う人間の事なのか、何処でも無い何処か遠くへと視線を投げ、小さく呟いてナサニエルへと骨ばった手を伸ばす]
黒は、死の足音を連れて。
自ら毒を摂り安定と生す。
[放送から流れるセシリアの声に、ナサニエルへと伸ばした手を止め、彼の貌を覗いて静かに見詰める]
行くけど、如何する?
[態々問うたのは先程の――様子見をするとの――言葉故かも知れず、ナサニエルの回答を待つ間もあり]
調味料があるならスープもいいかも。
目立たなければ、好き嫌いもないだろうし。うん。
ちょっと使うよ。
[ローズマリーの脇からシンクを使う。手の脂と血をすっかり流して備え付けのタオルで手を拭いた。
さて、とばかりに腕まくりをして調理器具のしまわれた棚から包丁を取り出す。
まずはバラから。余分な脂を削いで皮を剥がして。一見して何の肉かわからなくなる程度にまで手を加える。更にそれを切り分け、一つが文庫本大になるまで続ける]
うん、上出来。…ちょっと休憩。
[グラスを持ってきて水を一杯流し込む。
嫌悪感は全く無いようだ]
――生体実験室――
〔作業卓には、開けっ放しの医療ケース。此方は持ち場へ戻った早々、大型犬のケージに向かっている。手袋つきのアームホール越しに触れるシェパードは、よく懐いていて〕
……溶断ユニットは…何処かな。
〔犬を戯れさせながらも、視線は溶接されたケージの継目に。自らにも意識せず漏れ囁く声音は、普段の硬質な其れでなく――何処か甘やかすような響き。
やがて室内のスピーカーから、セシリアの声で船内放送が入り…触れる犬が怯むのを宥めつつ耳を欹てる。その内容と、声が孕む感情とを暫し比べて瞑目し〕
――…ああ。拭われてるじゃないか…
ただいま、アイスを食いながら
「肉の部位」というHPを見てロールを打っています。
素直にばら肉のスープうまそうとか思った。
ところでギルは食べるのかな…wktk
人間だから?
[イマイチ理解は出来なかったようで、けれど追求などはせずに、彼の視線が遠くに馳せられるのを見守り伸ばされた手は避けようともせずに見守ったけれど。]
毒をもって毒を制す、ってのに似てるのかな。
――それも違うか。
[ふい、と逸らした視線は船長の部屋の扉を見つめて。
セシリアの放送にもゆっくりと長い瞬きをして]
一応、行くよ。
[そこで漸くギルバートに視線を戻して言葉を返す。]
[休憩を終えると、大鍋に水とバラの塊を数個放り込み火にかける。煮立つ間に調味料を探して回り、どうにかスープの味付けに使えそうなものをそろえてきた]
ばら肉のスープだ。
おなかに良さそう。久しぶりの食事だから、ね。
まずは、ウォーミングアップからかな。
ね、ロゼも食べるでしょ。
[うーくんを抱き上げたまま怯えたようになった背中に言葉を投げた。心中を察することは、セシリアにはできない。
煮立った頃、おたまを器用に使い灰汁をとってゆく。一通り済むと、今度は調味料で味付けを。あれこれと色々なものを入れて。偶に味見をしては独り頷き]
んー。こんなものかな。
じゃあ、人じゃない俺はどうなんだろう?
[浮かべた表情に色などなくて。
ただ純粋な疑問を浮かべ、けれど直後に打ち消す。]
食料を調達――出来ると思う?
それも全員分。
[独り言のような囁きを。]
とりあえず行ってみるけど、さ。
[と言って、手元は煙草のあるだろう位置に僅かに触れた。]
〔『退屈』が、と呟く。ふっと苦笑に近い吐息が漏れ〕
済まないが、また…だ。急ぐのでな。
〔均衡が破られ傾いたなら――新たな"作業"が生まれる筈、と名残惜しげにケージから離れる。常の如く毅然と振舞えるよう、饗される食事についての心積もりは食堂へ向かう間に*整えるだろう*〕
[問い掛けには交わる視線の瞬き一つ返すだけで、紫苑の眼差しはナサニエルの口唇へとおりて、抗われる様子の無い手は彼の――良く煙草を咥えている――口許へと伸び、骨ばった親指がすと視線注ぐ先を掠めなぞり置き]
如何、かな。
生きて逝く為の――…
[確認かも知れ無い、と小さく囁く頃には指先も離れ、ナサニエルの視線を追い船長の部屋の扉を見詰め、同行の言葉と共に視界の端に彼の瞬きを捉え、頷く代わりに緩やかに瞬く。
一旦は船長の部屋に毛布を置きに入り、もう使われる事は無いであろう部屋をぐるりと見回して、部屋を出るも足を止める事無くナサニエルに顔を向け]
――…行こう。
[夢遊病者の如き足取りで通路を歩き始め]
[味付けを済ませ、スープから引き上げたばら肉を包丁で細かく刻む。原型はわからないが租借は出来る程度に]
切ってからの方が良かった…失敗。
[刻んだ肉をスープに戻し、煮立たない程度に温める]
これでジャガイモでもあったら良いんだけど。
残念ながら無いんだ…。
[出来上がったのはコンソメ味のばら肉スープ。
もうあとは器にとりわけるだけとなった]
誰か来るかな、うーくん。来ると良い。
皆、空腹なんだろうし。
[彼の動作にはやはり抵抗も見せず、なぞられたならそのままに――紡がれた言葉に一瞬視線は彷徨ったけれど、すぐにまた常と変わらぬ目線を返す。]
確認……しなきゃ、生きていけないのならそれはきっと酷く脆い。
[彼が毛布を置きに入る様も静かに待ち、けれど視線は硝子板の外に向けられたままに。準備が終わったらしい様子にチラと視線を向ければ、促す言葉と共に*食堂へと*]
[還るべき星の色を宿した眼差しが彷徨うのに緩やかに瞬き、戻る眼差しを受け止める紫苑の双眸はただ静か]
そうだよ。
[部屋から戻りナサニエルと共にゆっくりと通路を歩み、前を見詰める儘に不意に口を開き]
だから――…ナサニエルに頼んだ。
[何をとは言葉にする事は無く、やがて食堂付近で気配に足を止めハーヴェイを見止め、緩やかな瞬き一つを挨拶に代え幾らかの言葉も交わしたかも知れず、共に食堂へと向かい厨房を覗く]
手伝う事は、ある?
[セシリアとローズマリーの貌を交互に見て、ゆっくりと首を傾けた]
[水を飲んで休憩しているとハーヴェイ達が顔を出した]
…来た。
ばら肉のスープ作ったんだ。
手伝いはもう、いい。
絶食明けにロースカツなんて食べたくないでしょ。
座ってて、今持っていく。
[出来立てのスープを人数分器にとりわけ、スプーンとともに運ぶ]
あったかいうちに食べて。
[――ばら肉のスープ作ったんだ]
[そう言葉を紡ぐセシリアの貌を見詰め、了解を示す為に緩やかに一つ瞬き、席に腰掛けると程無く温かな湯気のあがるスープが運ばれてくる]
――…
[セシリアのものかまたは他の者も既に食べ始めて居たのか、食器同士の合わさる微かな音が響く中で暫く器の中を無言で見詰め、肉の出所を問う事も無くスプーンに骨ばった*手を伸ばした*]
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