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[その後、わたしはあの家の明かりが届かなくなる所まで、泥が跳ねるのも気にも留めずに走り続けた。まるで彼の絡み付くような視線から逃れるかのように。]
――これ以上あの人の傍にいたなら…。わたし理性を押さえつけられる自身なんて…ない…。
[打ちつける雨は思ったより激しくわたしの身体を濡らして行く。背中の疼き。荒くなる呼吸。そして歩く度に何故か引けていく血の気――。
それらは体調を崩す際のわたしなりのサイン。]
復旧作業で…無理…しすぎたのかな…?
家に帰る前に…ルーサー先生に…診て…貰わなきゃ…。
[急速に鉛のように重くなっていく身体を引き摺りながら、わたしはこの町に来てまだ間もないルーサー医師の自宅へと出向き――]
留守…なのかしら…。だったら少しここで待っていても…いいです…か?
[戸口にもたれ掛る様に体を預け。
わたしは不在の主の帰りを*待つことにした*
少しでも雨から身を護る様に、小さく身を寄せて――]
あら、ハーヴェイさんに運転して貰える車は幸せですよ。
だって同じ運転手なら、ハンサムな方がいいでしょう?
[ね──と、車に語りかけるような細い音。]
──そう、ですか。
いえ、有難う御座います。
以前かかっていたお医者様と先日の嵐で連絡が取れなくなってしまって、代わりの方を探していたんですけど、なかなかすぐには見つからなくて。
──えぇ、そうですね。落ち着いたら。
[頷き、視線を前方に向けると、白い木造の家が見えて来た。]
あ、あそこです。
家の前に停めてくださいますか?
[ニーナに場所を譲り、僕は向かいのチェアに腰掛けた。
多分、説明は要領を得ないだろうと思いながら話し始めた]
……カウンターの中に、手紙があったんだよ。
……ううん、今回重要なのは中身じゃなくて、その外側。
[小さく息を吸い、嘆息にして吐き出す]
切手の代わりに、別な物が貼ってあった。レベッカ――母さんから「絶対勝手に使っちゃ駄目」って言われてた印紙のシートだ。
でも、印紙なんかじゃなかった。
どこの州のでも、郡のでも、市のでもない。
私製の、特殊な印紙。幻覚剤を染み込ませた。
……あれは、そういうものだったんだ。
[リックの言葉に、膝をついたまま少しだけ青い瞳を彼のほうへと向けるだろう。
次の瞬間には特に何かリアクションをするということもなく]
…そう、分ったわ。
[小さく頷くとミネラルのボトルを手に、まずはウェンディの意識があるか確認をする。
弱々しくてもそれなりの反応があれば少し目を細めてからミネラルを口に含み、それをゆっくりとウェンディに口移しで与える。
彼女がゆっくり一口分のみ干したなら、少し間をおいてからもう一口分与え]
旦那様、手間取ってしまってすみませんでした。
[ネリーは謝りつつも、話題を変えようとする。]
何か、空が曇ってきてますね。あくまでも勘ですけど、気温も下がってるような…
[通行人に、泥を跳ね上げるのも気にせず、
いつもにも増して荒い運転だった。]
…思い知ればいい。思い知ればいい。思い知ればいい。
貧乏くじ引くのが、常に我々なのは不公平だ。
求めても、届かない思いを味わえばいいんだ。
[リックだけでなく、彼を含有する何かの総体への
呪詛のように、呟いている。]
[ネリーの言葉が耳に入らないかのように、
ずっと呟いていたが、ハッと我に返り]
あ……あぁ…そうだねえ。
私も、もう若くはないから急に気温下がると
体調崩してしまうかもしれないなあ。
ネリーに迷惑かけるから、気をつけないと。ハハハ。
[きまりが悪そうに笑う。]
[一方的な告白を終え、僕はもう一度息を吐き出した。
肺の中の空気がすっかりなくなってしまうまで、長く、長く。]
……どうして知ってるかは、秘密。
……どうしてそんなものがうちにあるかも、秘密。
おおよそ想像はつくだろうけどね。でも、ウェンディが使う可能性なんて考えてなかった。気づかせずに、ずっと。
……隠しとおせると、思ってたんだ。そんな訳ないのにな。
[ボブの危なっかしいハンドルの握り方を心配する余裕はネリーにもとてもなかった。
ただ、私にもっと的確なジャッジメントがあれば変わったのかもしれない、と唇を噛んだ。]
あ。あ、はい。
私も今後旦那様にご迷惑をおかけしないようにします。
[ネリーはちょっぴりくすっと*笑った*]
ハンサム?俺が?
[ふふっ、と面白そうに喉を鳴らす。初めて言われたらしい]
なら尚更この車は不幸だね。
たまたまハンサムが運転する車だったばかりに俺が乗せる人に嫉妬しないといけないでしょう?
俺だって一緒にいるなら綺麗な人の方がいいですからね。
次ソフィーさんが乗ったらきっとこいつヘソ曲げますよ
[珍しく多弁であったのはあの出来事をさっさと消し去りたいから。普段はしないような冗談口も叩く。
ソフィーから示された家を確認し、指定された場所へと車を着ける]
どうぞ、お疲れ様でした。足もと気をつけて。
[母親が亡くなって数年経つ今、血の繋がった
肉親は、いない。正確に言えばわからない。
今、ネリーや動物たちに囲まれた生活。
それはそれで、極上の幸せなのかもと*思った*。]
…そう。
そういう心配があるなら。
隠したい秘密があるなら。
きちんと秘密の戸棚に鍵をかけてしまっておかなきゃだめよ。
[いい勉強になったんじゃない?と首を小さく捻れば、床に視線を落としてしまったリックに苦笑する。
もっと、と水をほしがるように自分のブラウスの袖を軽く引くウェンディに請われるまま、彼女が飽きるまで幾度でも口づけて少女に*水分を与えた*]
ふふ、そうですね。
きっと女の子を乗せたら嫉妬しますよ。
──あら、それじゃあ私も嫉妬されたのかしら?
[ソフィーの方も、いつになく饒舌に、会話が途切れる事を恐れるかのように喋り続ける。
互いに先程の事に触れぬよう努めているのが伝わって来る。]
今日は本当に有難う御座いました。
このお礼は、後日必ず。
[家に着くと、丁寧に礼を言って車を降りる。
別れ際、窓から覗き込むようにちらりと青年の目を盗み見た。]
俺女の人に嫉妬されたことないですけどね。
車に嫉妬されたら下手すると…怖いですよ。
もう載せられないかな。
[また小さく笑う。
ソフィーから礼の言葉が聞こえると]
かまわないですよ、家の途中だし。礼なんていりません。
また雨脚が強くなってきた。気をつけて下さいね。
[別れ際、こちらを見るソフィーの視線に気が付くと小さく会釈を返し、我が家へと車を走らせる]
――居間――
[しばらくの間、ばかみたいに僕はロッキングチェアを揺らしていた。ふと目を上げてウェンディにニーナが水を飲ませる様子は絵になるな、なんてリビドーそのままの思考が走っていくのをぼんやりと感じていた。ささやかな反応とはいえ、ウェンディの動作が見られて安心したのかもしれない]
『秘密の戸棚の鍵?
……どうしてだろう。無くなってしまったみたいだ。
……母さんが、持っていっちゃったのかな』
[ニーナの言葉が逆に呼び水になった。先刻の追憶が甦る。
10年前のあの時、6歳の僕とウェンディがそこに居た]
『ぐったりとしたウェンディ。ずきずきと痛む身体の奥。擦り傷。涙。両腕で抱えた猟銃の感触。引き金が落ちる重さ。銃声。
……血の匂い』
[視界は朱と白に染まっていた。僕は呆然として目を閉じる]
……ん。ごめん、ニーナ。
さっきの言い争いで少し頭が痛いみたい。
ずっと此処で見ている訳にもいかないだろうし。
[視線で着替えを示し、チェアから立った]
一度、部屋に戻ってくるよ。また何かあったら知らせて。
[一見女性のようにも見える綺麗な顔立ちの青年。
近くに居ても性を感じさせる事の少ない彼だったが、そうは言っても健康的な大学生の男子。アンゼリカの2階で何が行われていたかくらいは理解しているのだろう。]
ハーヴェイさんこそお気をつけて。
路面が濡れてますから、事故を起こさぬよう。
[彼はさっき何を考えていたのだろうか。
走り去る車のテールランプを見送りながら、ソフィーはしばらく家の前で雨に打たれるままに*佇んでいた*。]
―アトリエ・リビング―
[少し経ってリビングに戻り、ソファーに身を沈めた。飲みかけのギネスを煽る。
緊張を強いる時間だったが、致命的な過ちは犯さなかったことにやや安堵していた。ステラの様子はやや気がかりだったが――
視線の先には、エドゥワール・ダンタンの『A Casting from Life』があった。私はつい先日そこで交わされた会話を思い出していた。]
―回想―
「で? 娘なんだろう? あの作品のモデルは」
[アートスクール時代からの悪友、ホレス・ワイズマンは鼻を膨らませながら言った。嵐でヘイヴンと外部との連絡が取れなくなってすぐ、駆けつけてくれたのは他ならぬ彼だ。無論、彼が心配したのは私ではなく私の一連の作品だったのだろうが、それはむしろありがたいことだ。作り手としては、作品を愛してくれる以上に好ましいことはない。
災害に遭うと、さすがにこの場所が作品の保管場所として適しているかどうか不安にはなる。彼の助言に従って町外に新たな倉庫を確保し、いくつかの作品はそちらへ移動することになった。
それらの手続きをほぼすべて担ってくれたのは彼だったが、彼の好奇の問いかけを私はウンザリするようにあしらっていた。]
誰だっていいだろう?
学芸員にとって作品は作品。モデルはモデル。それに、私は型取りを作品制作には用いない。
[そう、彼はシカゴの美術館に勤める学芸員だった。私の作品に値をつけ時には預かり、美術館に展示してくれていた。時にはクライアントとの売買の仲介をしてくれてもいた。]
「よくはないさ。あんな綺麗な娘なんだから、できればお近づきになりたいね」
[そう言う彼を私は蹴飛ばす。ははは、と苦笑いする彼は、ふと不思議そうな表情になると問いかけた。]
「だが、なぜ型取りはしないんだ?」
[つきあいの長い彼は、私がモデルから直接型をとる直取りの手法を作品制作には用いないことを知っている。型取りを行うのは、記憶が混乱しないための記録を目的としたものに限定していた。だが、確かにその理由を話したことはなかった。単純ではない理由をどのように説明したものか。
間をおいて、『A Casting from Life』を指し示すと口火を切った]
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