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Memories
──────ネイの思い出。
ネイは甘ったるい匂いのする、いわゆるブリッコの少女だった。
カールした亜麻色の髪には、ピンク色のリボン。母親の作ったコットンレースの付いたワンピースに、同じく母親が作ったパッチワークで出来たポシェットを下げていた。
私がバートがロティを事あるごとに飾り立てようとする(私にはそう見える)事に、質素に清楚にと口をすっぱくして育てられた私が私なりに寛容なのは、ネイの事があるからではないかと思う。
ネイの甘い香りは菓子の匂い。
当時は、まだ町に彼女の母親が経営するケーキショップが存在した。彼女のしゃべり方もまた菓子のように甘く、こわがりで泣き虫だった。
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仲の良かった子ども達数人の間で、ネイを泣かせる事が流行っていた。あれは今考えれば、好意や子どもなりの性的な意識の裏返しなのだろうか。例えば、ネイがこわがりそうな場所でわざとかくれんぼをしたり、木の上や塀の上に全員で登るとかそう言った方法でネイを泣かせた。少しノロマな彼女がスカートを破いたりして困るのを楽しんだ。
しかも、私は常に泣いたネイを慰める役目だった。
今でも、私は人を慰める事が得意とは言い難い。愛する娘や今は居ないレベッカに対してもそうなのに。ネイが私とは真逆の存在だったからだろうか。
私はネイと違って、子どもたち遊びの中では一度も泣かなかった。
いいえ、それは嘘。
一度だけ泣いた。
ネイが二度と帰って来ないのでは無いかと思ったあの時…──。暗くなり始めた共同墓地の入口で、なかなか戻らないネイを待ちながら。
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安置所に死体を見に行こうと言いだしたのは誰だったか。
ネイが色々な事を怖がらなくなって来たので、私達の行動がエスカレートしたのは確かだ。
当時の墓守ダニエル・アンダーソンに、だみ声でこっぴどく叱られた。両親にもばれてしまい、私はめずらしくお仕置きに納屋に閉じ込められた。「あれは生者が入る場所では無い」と言うのが両親の言葉だった。
それよりも、ダニエル・アンダーソンの言葉が忘れられない。
死体が生き返って噛み付かれたらどうする気だ。
結局、ネイが死んだのは「あの日」では無く、その三日後だった。
細い少女の首が獣に喰いちぎられたかのような断面で、胴体から離れた場所に落ちていたのだと言う。
「天使」はネイだ。彼女が人を恨む所を見たことがない。
もし、彼女が生き返って噛み付かれるのならば──私はどうしただろう?
今は、ネイに対して何の感情も沸かない。
次は、欲望の話を書かなくてはならない。
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5年なんて、地球の歴史からチンケなモンだけどなァ……ま、人間の一生にはデカ過ぎるか。
[と言いながら、ポケットからメモ用紙を取り出し、走り書きで名前と電話番号を書いた。]
今すぐ決めなくても構わねぇよ。「助け」が欲しくなったら、ここに電話しな。何が欲しいのか、聞いてやるよ。
俺の名は、ナサニエル・メラーズ。電話番号はそこに書いてある。モノは試しだ。疑うくらいならトライしてみな。
[泣き崩れている司書の身体を一度抱き締めて頭を撫でると、すぐに身体を離した。]
もし必要なら、この続きは後ほど。
……っと。こんな時間か。
ま、本はまた借りにくるから。そん時に返事くれても構わねぇよ。
[ナサニエルは、せっかく探し当てた本を棚の上に置き、踵を返した。]
もし良かったら、そいつを俺が次に来るまで取っておいてくれ。……誰も借りねぇかもしんねぇけど。
…私……私、は、…。
[名乗ろうとして、涙でまだ揺れたままの声が微かに止まる。
そういえばなぜか彼は自分の名前を知っていて、何故だろうと思う間もなく]
…どうして。
[どうしてそんなことを告げて帰るのかわからず、わけもわからないままその背に小さな疑問を投げかける。
ただ、手の中に押し込まれた走り書きのメモと、置き去られた本だけがそれが夢ではなくて現実だということを*示していた*]
美術商 ヒューバートは、旅芸人 ボブ を投票先に選びました。
[アーヴァインは各戸を回り、ヘイヴンを襲った大災厄を知らせる役目を自ら担った。
土砂崩れで町が分断されて中心部と連絡が取れなくなったこと。
無線で麓の町に連絡をしたのでそのうちに救援隊が来るだろうということ。
先日届いた救援物資を保管しているので救助がくるまでの当面の間食料などは心配しなくてよいこと。
何か連絡がある場合は、旧い集会場──それは大昔、町民全員が集まって町政について合議していた頃に立てられたものだった──の鐘を鳴らすので、集まって欲しいことなどを告げた。]
[今も雨が降り止まない為に、崩落した山腹の周囲はまたも崩れる恐れがあった。
それ故、救助や詳しい被害状況の調査は雨が上がってからにせざるを得ず、付近の何世帯かに集会場への避難を勧告するに留めた。]
[最も気が重かったのは、遺族達に事故のことを知らせなければならないことだった。
先日の暴風雨の時も、同じような場面が何度かあったが、死というものはなかなか慣れるものではない。
今も泥土に埋まったままの家々──まだ生存者が居るかも知れない──を思うと身震いを禁じえなかったが、それでも間近で見た死は特別なものだった。……]
[ユーインの死体が見つかったのは冬のある日だった。
その後、自室から遺書も見つかって、自殺と処理された。
町が小さいせいか、人々は小さなニュースでも飛びつき、どんどん尾ひれはひれをつけていく。
この場合、そこまで誇張ともいえなかったが。
ユーインは確かに自殺だった。
遺書もユーインの筆跡と確認されている。
死因は刃物で腹部を刺したからと『推測』された。
凶器も見つかり、調査もそれで済んでいた。
何故彼は自殺したのだっけ。
『確か…あれは…そう、俺が…いや…違う…』
浅い夢は物語のように次々と情景を見せる。
起きれば忘れてしまうのに、いつも間際に悪臭のするヘドロのような足跡を俺の記憶に残した]
痛…。
[目覚ましのように激しく鳴るドア。夢から強制的に引き戻される。寝違えたのか、首をコキコキ鳴らしながらだるそうな足取りで不躾な来訪者の為玄関に向かった]
今開けますからまって下さい。
って、アーヴァインさん?こんな雨の中…どうされました?
[いつもは血色のいいアーヴァインが、その片鱗も見せない青い顔で起きたことを告げる]
まさか…そんな…。
[復旧の見通しは?道が遮断されては救援もいつ来るか分からないことではないのか。
様々な不安が頭をよぎるが、ここで彼に問い詰めても詮無いこと。一言、確認の言葉を伝える]
分かりました。わざわざありがとうございます。
もしこの後も他の家へ行かれるのでしたらお気をつけて。
─酒場─
[アーヴァインはローズマリーの酒場「アンゼリカ」にもやって来た。
目の下に隈を作り、酷く憔悴した顔のアーヴァインにローズマリーは温かい飲み物を出した。
それを受け取り、彼は無表情に村を襲った災厄について告げた。
──店内に重い空気が流れた。]
[2階から下りて来たギルバートもその知らせを聞いた。
アーヴァインはローズマリーに礼を言ってコーヒーを飲み干すと、黙礼して店を出た。
ギルバートはその後を追って戸口に向かった。]
[自分の身体で店内からは死角になるように、後手で扉を閉めた。
出てすぐに傘を差そうとしていたアーヴァインは驚いて体ごと振り向いた。]
[髭剃りの跡がうっすらと目立つ、くたびれ切ったその顔に、自分の顔を近付けて──]
[短い、だがしっかりとした口接け。
滑らかな舌が閃いて、上唇の上を素早くなぞっていく。
その感触。
若者の顔が離れた後も、アーヴァインは茫然とそれを見詰めることしか出来なかった。
ほんの少し開いた口が淫らに嗤う。琥珀色の瞳は、蠱惑のいろを湛えて黄金に煌いた。]
[懐中電灯をつけ、予備の電池と蝋燭を取る為地下まで降りると、そこは浸水していた。前の災害ではこんなことはなかったのに、それだけ雨が酷いことを物語っている。
恐らく水のせいで電気がショートしブレーカーが落ちたのだろう。これくらいの修理なら自分でも問題はない。
懐中電灯の明かりの下、手早く済ませると家中にまた暖かい明かりがついた]
[……それからどうやって車に乗り込んだのか、アーヴァインは憶えていない。
気が付いたら次の家に向かって車を走らせているところだった。]
[勃然としたものが身体の奥から湧き上がってくる。
それは、何時まで経っても一向に収まる気配のない、股間の膨らみを見ても明らかだった。今は緊急事態であり、町役場の職員としての義務と、市民としての良識を思い出して懸命に自制心を保とうとしたが、そのせめぎあいは彼を余計に混乱させるだけであった。]
[彼は、もはやこのヘイヴンではひたすらに押し隠してきた衝動を押し留めることが出来ないことを悟った。
何とかして早急にこの滾りを鎮めなければならない。
焦る気持ちを抑えて、ようやく住民の居なくなった廃屋を見つけてその敷地に入って停車する。堪えきれずに車内で自慰に耽る彼の脳裏には、あの若者の裸身がちらついていた。]
地下掃除するのも面倒くさいし見なかったことにしておこうかなぁ。
暫くホントに先生ン所に居候してた方が楽かもしれないよなぁ。家の中とかもいつ水浸しになるかわかんないし。
[地下室から戻り、ぶつぶつと天邪鬼なことを一人ごちながら、雑貨屋で借りた服を乾燥機に放り込む。これが乾く頃には雨は小降りになっていることを祈りながら*]
―回想―
[ニーナ・オルステッドが、彼の「契約」相手になったのは、彼が図書館で彼女の秘密を知ってから程なくした時のことだった。
電話の内容から、彼女が亡くした兄の面影を今でも忘れられずにいることが分かった。しかし「それ」と彼女の性的快楽の関連性は、電話の内容からは推測できなかった。
ナサニエルは、あれこれとその理由を推測したが、どれもこれも納得のいくものではなかった。
――が。
初めて「契約」を結んだ時、彼女における「兄」と「性的快楽」の理由が結び付いた。寝台の上で見た彼女の肢体とまなざしは、明らかに「一方的に兄を慕う妹」のものではなかった。普段の不器用で近寄りがたい「ニーナ・オルステッド」とは異なる、兄への淫らで純粋なる思慕を抱く「ニナ」。それが理由の全てだった。]
[そして、彼女を溺愛したであろう彼の兄。
――彼の人となりは、彼が生前好んで吸っていたという甘いチェリーのリトルシガーの香りからなんとなく推測していたが、どうやらそれなりに「当たり」だったらしい。「ニナ」はそれを気に入ったらしく、“兄”となったナサニエルを求め、度々関係を持つに至ったのだった。]
………いやァ。
想像以上の「収穫」ってヤツだな、こりゃ。
[図書館で秘密の行為を見たのは全くの偶然だったとはいえ、ニーナのことを事前に調べて置いたのは正解だったな――ナサニエルは初めての「契約」を終え、それなりに満たされたらしいニーナの背中を見送りながら、ぽつりと呟いたのだった。]
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