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[作業場の窓は今は暗鬱な雨の景色を隠すため、スクリーンを閉じている。頬がずっと熱くなって来るのは、ライトの所為だけだろうか。]
始められそうかな?
[シャーロットの手をとると抱き起こし、先程の立ち位置まで導く。
私はそのままソファーに腰を降ろした。
最初にソファーで彼女の立ち姿を見るのは、目線の高さが彼女の体の中心付近に位置し全身を平準的に見ることができるからだ。それはこの後彼女にアプローチするにあたっての礎石となる。]
準備が良ければ、脱いでくれ。
ロティ。
君の体の美しい部分を一つ一つ私に指し示すように。
[シャーロットの内面から顕れ出るものを、そうして私は待ち望むのだった]
[男は一冊の本を手にした。
D.H.Lawrence文学の研究書。
児童書と、娯楽用の小説が申し訳程度に陳列されているヘイヴンのような片田舎の図書館で、このような本に出会うのは奇跡に近い。
いや、本来ならば時間をかけて都会の大学図書館にでも行けば良かったのだろうが、突発的に読みたくなったのだから致し方ない。或いは、昼夜が逆転した彼の生活様式が原因だろうか。──まあ、細かいことはどうでもいい。
古めかしいその本を手にしたナサニエルは、司書の姿を探す。が、貸し出しカウンターに司書達の姿はどこにも見あたらない。]
司書はどこだ………?ちっ。早く借りたいってのに。
[苛立ったような表情を見せたナサニエルは、早足で図書館内を歩き回る。図書館だというのに、雨に濡れた靴のことなど構わず、ずかずかと。]
[やがて男は、新聞コーナーに立つ新人の司書の姿を発見する。いつも寂しそうな顔をした、少女の様な司書。時折溜息をついているように見える彼女の姿を思い出しながら、ナサニエルは司書に声を掛ける。]
あのさ……。この本、借りたいんだけど。
[──平坦かつ、ぶっきらぼうに。]
[僅かな時間がシャーロットには随分と長く感じられた。赤くなってしまって、それを見られたら──どう思われるか。
作業が終った事に安堵をおぼえる。1枚の布の下で吐息と共に上下する胸。]
私も愛してるわ、パパ。
[髪を撫でるヒューバートの顔がすぐ傍にある。
シャーロットはふわりと広がるスカートの衣擦れと共にソファから降り、膝をついてヒューバートの頬に軽くキスをした。
少し後ろに下がり、滑り落ちそうになるワンピースの肩のあたりを抑えて、頬笑む。頬に紅潮のなごり。
手を取られ、今度こそワンピースを床に滑り落とし立ち上がる。
じっとヒューバートを見つめながら。]
──美しい場所。
[自分の身体の何処かうつくしい場所なのだろう──。
シャーロットは思考し始める。ここに辿り着くと恥ずかしさよりも、表現しなくてはと言う意識が優先される。]
[ヒューバートを見つめる視線に、芯のある意志のようなものが籠る。]
[シャーロットの唇が頬に触れた時、私はほとんどそのまま彼女を抱きすくめたくさえあった。それを引き留めたのは、父親としての私だけではない。これから創作にかかる表現者としての私だった。
ともすれば軛を脱しようとする衝動を、これからの時間律然として飼い慣らさなければならないのだ。
私は、愛情の籠もった口吻をただ彼女の頬に返した。]
[元々本を読み出すと現実には帰ってこれない性質、新聞を読みながらでもそれは変わらず。
それでも作業は割合スムーズに進み、今日も引っ張り出された新聞はあと少しというところでひとつの記事に目が留まり、動けなくなる。
『この事故でコンテナ車に巻き込まれた乗用車に乗っていた3人は即死──』
間違いなく、自分の家族の記事。兄の名前もそこにあって──]
…兄、さん…。
[まずい、と思う間もなく、兄の名前は自分の身を燻るような熱で満たし。
誰もいない。誰ももういない時間、図書館にはひとりだけ。
──震える指はスカートの中へと潜り、シャツの中へと滑り込み、積み上げた新聞が崩れるような音と共にそこにしゃがみ込んで]
……ん、ぁ……っ…。
[微かに声が零れる。既に脳裏には自分だけの世界、男の足音が近づいているとも知らず。
だからこそ、男がしっかりと声を出して自分に話しかけたときには世界の終わりを見たような顔をして振り返っただろうか]
あの……さ。本の貸し出し……
[司書の秘密の行為を目にして、目を細めて語りかける。]
……あんた、何やってんの?
[呆然としたような、或いは落胆するような表情をした司書の顔を覗き込み、その瞳をじぃっと覗き込んだ。]
ふうん………仕事場で自慰ねぇ。
あんたにはそんな趣味があるのか。
いや、違うな。
……何か「必要」があってやってたんじゃねぇの?違う?
…どう、して。
[両の手は服の下から引っ張り出され、喉が微かに引きつった声だけ出して、そのままじり、と後ろへと下がれば、後ろの壁へと背があたってそれ以上は下がれず。
ただおびえる様にぎゅうと瞳をきつく閉じて]
…見ないで…っ。
[自分の体を守るように両の腕で自分を抱き]
…なんで、そんなこと、貴方に…っ。
[モデルとして表現者と向かい合う時、シャーロットは内側から沸き上がって来る自分自身の生命を感じる。
その瞬間、日頃の迷いや閉塞感は消え去り、ただ此処にある肉体を通して意志を発信する。頭から指先から全身を流れるのは、満ち足りた心地良い電流のような感覚。
ヒューバートの瞳をじっと見つめるのは、シャーロット自身が相手の眼差しに過不足無いのか、瞳の中に浮かぶものから読み取るためだ。
日頃のヒューバートの父親としての愛情もそうだったが、それ以上に表現者として向かい合う彼は、シャーロットの存在を全肯定していた。]
[シャーロットの背筋がぴんと伸び、自然と胸が反る。
最近女らしくくびれはじめた──でも十分に細いウエストを強調し、腕を差し伸べる。]
[私の物の見え方は少々特殊なところがあった。注視したものを写真のようにそのまま記憶に焼き付けてしまうのだ。直感像資質と呼ばれるこの能力を、子供の頃はただ得意げに披露するばかりだった。
写真と変わらぬ再現性を持った絵を、実物と寸分変わらぬ粘土細工を、周囲の人々は驚愕をもって迎え入れてくれた。
その体験は、美術家として簡単に成功を得られるものとの錯覚を私の中に作り上げてしまっていた。私が徹底的な挫折を味わうのは、アートスクールに入ってからだ。]
「君の作品には魂が込められていない」
[見たものをただそのまま愚直に再現するよう枷をかける、呪わしいほどに鮮明な記憶。それは、具象的な作品制作には、常につきまとい続けたハードルだった。
私は、具象的な作品制作への才能に早々に見切りをつけ、象徴的な作風へと転向した。
再び挑戦する意欲が湧き起こったのは、シャーロットの美を自分なりに表現したくなったからに他ならない。そして、彼女でなければ、今のような制作姿勢を修得することはできなかった。]
[私は彼女の為草、一つ一つの動きを流れとして受けとめる。膨大な経験の集積が相対的に一瞬の記憶を薄めていく。
そこに息づき、鼓動し、躍動する彼女の存在そのものとの経験を深めていくこと。それが彼女への私のアプローチだった。]
[「ポーズチェンジ」と言う言葉をシャーロットはヒューバートの口から聞いた事が無い。
ともすれば、通常のモデルと比較して1ポーズに留まる時間が短い、連続して動いている時もあれば、全身が痺れるまでじっと同じ姿勢でいることもあった。
時に時間を忘れ、食事すら忘れそうになる時もあった──。]
じゃ、まずは本の貸出よろしく。
……って、そんな手で触ったらせっかくの本が汚れるか。
[ふぅと溜め息をついて、ナサニエルは本の角で自分の肩を叩く。]
……あんた、「寂しい」の?
いつもどっか遠く見てんじゃん。仕事中。
[床に落ちた新聞を拾い上げ、内容を凝視する。どうやら、昔の新聞の地方欄らしい。]
『小学校で記念植樹祭』……違うな。木は突っ込むにゃさすがにデカ過ぎるか。小学生に発情するならともかく。
『町で最高齢のお年寄りが死亡』……って、どんな趣味だっての。違うか。もう勃たねぇだろうからな、100越えちまうと。
………『コンテナ車に巻き込まれ、家族3人が即死』………
[ナサニエルは、極めてありふれた記事のタイトルを淡々と読んだ。]
[シャーロットを見つめる私の、全身の血が何千もの大きな見開かれた目となって燃え盛る。
彼女の、彎曲した背骨は、矢を番え今にも撃ち放たれようと引き絞られた弓のように緊張感を孕んだ美を湛えていた。凛としたその存在は華奢で儚くさえある極めて繊細な上体を、天に掲げるかのごとく突き上げる。
世界をぎゅっと引き開けるような生命力に満ちた動きに、ぴんと張り詰めた乳房が撥ね震えた。]
ロティ。
綺麗だ……。
[私はしばしの間、時間を忘れ彼女の肢体に見入っていた。]
[視覚イメージの連なりが過剰になりすぎない頃合いをみて、私は立ち上がる。
新たな彼女を感じるために、私はシャーロットに近づいた。]
ロティ。
触れるよ。
[そう言うと、彼女の裸身に手を差し伸べた。]
……。
[ここまで非日常な時間が過ぎてしまうといっそ感覚すらおかしくなるのか、服を直しながら]
…知らない。自分でも、わからない。
[ぼんやりとした口調、自暴自棄のような様子でゆっくりと立ち上がる。
そのまま本に触るわけにも行かないから、トイレへと向かい手を洗おうと背を向けかけた。
紙面を読み始めた男の声もどうでもよかったけれど、流石に件の記事へと踏み込まれれば小さく肩を震わせ]
…それ、私の家族。
[ただそう呟いて手を洗いに向かう]
[熱い視線を感じるほどに充実感を感じる。
シャーロットは更に背を反らし、喉元を反らし、一歩ヒューバートへ歩みを進める。「触れるよ。」と言う言葉に、軽く首を傾けて肯定の意志を示す。
ポーズが少し変わったところで、目を開きヒューバートを見つめたまま静止。触れられることには、ただ喜びがある。]
ふぅん……家族、ねぇ。
[新聞をぶっきらぼうに畳み、棚の中に突っ込んだ。]
……んで、何でまた家族が死んだ記事で自慰なんかしてンの?フツー、泣いたり怒ったりするとは思うんだけど。それでイッちまうやつってのは滅多に見ねえなァ。少なくとも、俺は。
[背中を向けた司書に、言葉を放つ。]
……父親か、母親か。
或いは、兄か……。
何がって?
あんたの、『お相手』。
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