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[彼の逡巡には気付かず、横顔を見上げるように言葉を待つ。]
「シャーロットは――
──今は静かに眠っているよ」
[返って来た言葉には、何処か厳かな響きがあった。
普通と違う言い回しに、僅かな違和感を感じたが、
気のせいだろうと思い直し、あえて問う事はしなかった。]
んー………
俺、この町に3年前に帰ってきたばっかりだしなァ……。
[ギシリという小さな音を立て、男は椅子の背もたれに寄り掛かる。]
その前までは、俺は15年やそこらの間、ヘイヴンから離れた街に居たみた……居たしなァ。
しかもヘイヴンに戻ってからは、町の学校に顔を出したことは一度もねぇし。ユーイン自身からあんたのことを聞かない限り、残念ながら俺はあんたが何者かってのを知る術が無いんだよな。
―アトリエ・談話室―
[ミーティングルームには、簡単な打ち合わせのできるガラステーブルと椅子が並び、もう一隅には寛いだ話ができるように大きなソファーが向かいあわせにおいてあった。
私はソフィーをソファーにいざなう。ローテーブルには紅茶と菓子が並べられていた。]
まずは、誕生日おめでとう。
[そう云って、リボンをかけた包みを手渡した。
それは我が家の所有する牛から直接鞣した革で作った裁ち鋏を収納する道具入れだった。ささやかなプレゼントだったには違いない。]
──バンクロフト家・アトリエ──
[家に着くとミーティングルームへと通された。
いつものリビングでない事が不思議だったが、脇を通る時に中の荒れた様子が視界に入り、驚いて口を噤んだ。]
『ここでも何か起きたの……?』
[嫌な予感がして、そっと自分の肩を抱いた。]
…そう、ですか。
丁度その時俺もいなかったから当たり前…なのかもしれない…ですね。
そういえば…今日は煙草吸わないんですか?
俺はかまわないですよ、窓開けてくれれば。
[あのメンソールの煙草。どうしてあの時、顰めツラをして席をたったのだっけ。
家族は煙草を吸わない。でもあの香りを知っている。
匂いがきついとか、そういうのではなくて…]
──バンクロフト家・談話室──
[ソフィーがミーティングルームに着くなり、ヒューバートの指示で執事のマーティンが紅茶と菓子を持ってきた。
ソファを勧めらてもすぐには座らず、
先に持参した衣装をガラステーブルの上に広げた。]
先にこちらを。
ご注文の衣装です──。
[そう、言いかけたソフィーに、
祝いの言葉と共にリボンの掛かった包みが手渡された。
驚き、礼を述べながら広げた中からセンスのいい
牛革の道具入れが表れると、嬉しさに自然と表情が綻んだ。]
ここから近いのは…ブランダー…
[あの家は正直、近づきたくもあり、離れたくもある。
だが少し小腹も減っているし、背に腹はかえられない。ネリーは雑貨屋の方へ向かっていった。]
………ん?
ああ、煙草吸っていいンなら吸わせて貰うわ。火ィつけるまでは窓閉めたままでいいか?ライターの火が流されちまうもんで……
[ハーヴェイに小さく手を上げ、煙草に火をつける。窓を開けると、仄かに汗ばんだ部屋の中に爽やかな風が舞い込んできた。]
………で、どこまで話たっけか。
あァ、そうそう。3年前な?
あんたがここに居なかったンなら、ユーインも話すること無いもんなァ……
……って、あんたとユーインの関係って……何だ?
[煙草の先を窓の外に向けながら、ナサニエルはハーヴェイに問い掛けた。]
ありがとう。
いつも素晴らしい衣装を――
[私は、ソフィーに礼を言い、衣装を取り上げる。
腕の中でドレスの生地をそっと撫でる手に不意に感情が籠もり、震える手で抱きしめていた。]
[それは、リビングを通る時に不安そうに肩を抱いたソフィーに、伝えておかなければならない事のように思えた。]
いずれ、ユージーンや他の者からもきっと耳に入ることだけど――
昨晩……
――シャーロットが刺されたんだ
[その傷で彼女が帰らぬ身となったこと。
安置所に安置してきたこと。
ドレスに顔を埋めたまま、惨苦に滲んだ声が告げた]
―雑貨屋―
[ネリーは雑貨屋が目に留まると吸い寄せられるように入った。そのままカウンターに陳列されている商品に目を通していく。双子の兄妹やノーマンはともかく、ニーナはいるかもしれない。少し食べ物を失敬したいという衝動をおさえ、アルバムを探した。]
[ナサニエルが煙草に火をつけ、煙を吐き出す。
風のおかげで煙直撃は免れたが、風と煙は混じって別のものを運んできた。
『ユーイン、煙草…吸ってるの…?』
二人の情事はいつもキスから始まった。
あの曖昧な記憶の翌日、ユーインのキスは煙草の匂いがした。そう、とてもきついメンソール。
ユーインは「今日だけ」と笑っていた。
あの匂い…ナサニエルが吸っていたものと同じだった。
─自分を知らないナサニエル─
─同じ煙草を吸っていた兄─
まさか──
思考が中断された。ナサニエルの声が耳に入ってきたから]
…兄、ですが。
ない…ないわ…どこなのよ…
[結局アルバムは探しても見つからなかった。ニーナが手に持っているからであろう。
ネリーは今度はその足でアンゼリカのほうへ向かいだした。]
[突如ドレスを抱き締めたヒューバートに驚く。
荒れたリビング。
車中での意味深な言い回し。]
──…あの…。
[僅かに逡巡したが]
シャーロットに、何か──、
[思い切って先を続けたソフィーの言葉を遮るように、
ヒューバートの口から驚くべき事実が伝えられた。]
なん──……、で…。
[口元を手で覆い、よろりと一歩後ろに下がった。]
[あまりに精神的に余裕がなかったのか、自分達が飼っている犬がすぐそこにいる事にも気がつかなかった。
ネリーはそのままアンゼリカへ向かい、やがて到着する。
ドアはCLOSEを指し示していた。]
こっちは開いていないのね…ローズさん、いるかしら…
[ドンドン、とドアをノックするネリー。]
―アンゼリカ―
誰かいそうな感じなんだけど…こんにちはー。誰かいませんかあ。 あれ、えっ…?
[力を少し込めると扉は開いた。なんて無防備なの…と思いつつも、ネリーはアンゼリカ酒場へ入った。]
すみません。どなたかいらっしゃらないでしょうか…?
[酒場には誰もいない。まさかローズマリーまでいないとは…
ネリーは階段を上がったり、少しカウンターの奥を覗いたりした。人の気配は全くしないでもないような…人が少し前までいた雰囲気が多分に残されていたが結局、おそらく誰もいないだろうと判断するに至った。]
[余りの事に二の句が継げず、
喘ぐように呟いた後黙り込んだ。
全身から音を立てて血の気が引いていくようだった。
愛らしく聡明なシャーロット。
ソフィーにとっても妹のような存在だった。
何故彼女がそんな目に遭わなくてはならないのか。]
誰が、そんな──……。
[知らず知らず、頬を涙が伝った。]
[ふと、酒場にソフィーを運んだときに、イアンの姿がなかったことを思い出す。]
そういえば、あの時……
イアンの姿を見なかったんだが――
イアンはどうしてる?
変わりないかい?
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