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[ローズマリーはソフィーに言われて彼女が濡れて寒そうにしていることに気づく]
あら、ごめんなさい、タオルを貸してあげるわ。
[彼女の話しを半分聞きながら奥へ走り、バスタオルを一枚ソフィーに渡す]
お店の床がぬれたってどうということはないわよ。
あら、明日がお誕生日なのね。
おめでとう。いくつになるのかしら?
[ソフィーが何歳ぐらいなのだろうかと見当をつけようと不躾に眺めて]
大丈夫?ニーナ。
ほら、上がって。
……いいよ、濡れたまんまで。風邪ひいたらまずいだろ?
[ニーナの身体を右腕で引き寄せ、半ば強引に家の中に招き入れる。]
ニーナ……身体、冷たい……
シャワー浴びておいで。タオル持ってくるから。
[寝息を立てるステラを横目に立ち上がると、ルーサーはキッチンへと向かい、湯を沸かし、コーヒー豆を轢いた。]
それにしても、こんな時間に彼女は独りでどうしたんだろうか……
[彼女の身の回りによくないことが起きているのではないか。そんな胸騒ぎがする。]
これ以上あの子を試みに遭わせないでください……
[ルーサーは沸き立つ湯を見ながら、弱々しくひとりごちた。]
ははは。
ごめん、ごめん
[シャーロットを抱き寄せ、目を細める。頬にやわらかく口づけた。
クロワッサンサンドを彼女に渡し、ポットを開ける。紅茶をカップに注ぐとすすめた。]
[膚を掠める感触。それは性的なものを感じさせない。
まるで親が子に接するような。そんな温かい――]
せんせ…ごめんなさい――
[無意識の内に零れ落ちる謝罪は、ステラ自身の本心から出た言葉だったのだろう。]
…うん。
[小さく頷くと家の中へと。
シャワーは確かに使いたかったけれど]
やっぱり、タオルいらない。
シャワーよりも、兄さんにあっためてほしい。
[それは普段の彼女であれば絶対に言わないような言葉。
ぴたりと、”兄”の背に抱きついて]
…だめ?
[不安そうな小さな声で尋ね]
[小声で礼を言いながらタオルを受け取る。
少し戻って、玄関先で水を滴らせるスカートの裾を軽く絞り、濡れた足と髪を拭いながら、カウンターへと進んだ。]
どうも、ありがとうございます。
今年で25になります。
[言葉少なに歳を告げると、こちらをじっと見つめるローズマリーの視線に気付き、居心地の悪さに俯いた。]
[まだ熱いカップを受けとる。クロワッサンのバターの香りにシャーロットのぐうとなるお腹の音が響いた。]
私もお腹がぺこぺこ。
──先にここで食べていい?
あ、ねえ。隣にとまってる車って、もしかしてじゃあハーヴ?
知らない人が出入りしてた後だから、あっちに人が戻って来た時、確認しにくかったの。
[シャーロットも小さな口を大きく開け、ヒューバートのようにサンドイッチにかじりついた。]
25歳…。
もうそんななのね…。
あら、ごめんなさいね。
シャンパンだったわね。
あの時のとは年が違うけど。それでよければ同じ銘柄のシャンパンがあるわ。
ウェンディは大丈夫……だと、思う。
さっき起きたんだけどね。
[店内を見回しても彼女の姿はなかった]
こっちにはまだ出て来てないな。居間なのかも。
買い物に来たんじゃないなら、しばらくゆっくりしてけば良い。入ってよ。
やっぱりあれはニーナだったのね。じゃ、ウェンディも一安心、なのかな。
[リックってこんな前へ出る子だったっけ?と内心思いつつ、首を下げてリックの心意気を体で受け取る。
リック自身、落ち着いているようにも見え、少しほっとする。]
―シボレー車内―
すっかり待たせちゃったな。
おなかすいただろう?
[クロワッサンサンドを彼女に勧める。食べる為草に口元を綻ばせた。]
昨日、ママはどうしたんだろうね。
[工場の様子を見に行くのだと言って出て行った彼女は遅くに帰ってきたのか、朝はひどく焦燥していて朝食を用意していなかったのだった。
シャーロットの問いかけに、アンゼリカ店内でハーヴと会ったことやそこでした話も語った。]
挨拶するかい?
―朝 自宅―
んっ、ん……
[イスに腰掛けながら、ステラの様子を看ているうちにルーサーは眠ってしまったらしい。]
朝か。ステラは……
[ソファで毛布にくるまって寝ているステラを覗き込む]
ニー………ナ?
[タオルを取りに行こうと歩み出した男の背中に、外気のにおいを帯びた湿気が貼りつく。ニーナの腕が、微かに震えているような気がした。]
俺は……“兄”としてニーナが心配な………
[言い掛けて、首を左右に振る。]
ニーナ。可哀想なニーナ。
……こんなに震えて……
大丈夫。俺がいるよ………
[向き直り、ニーナの身体を強く抱き締める。そして……]
いいよ………おいで。
[ニーナの耳元で小さく囁くと、彼女の手を取り2階の寝室へ誘った。]
[あの日父と母が並んで座っていた席。
そのスツールの縁を指先で撫でながら思う。
この店の事を語る父と母の、楽しそうな笑顔を。]
[微かに拒否するようなそぶりはあったけれど、抱きしめられれば嬉しそうに頬を緩めて]
…嬉しい。ごめんね、兄さん…我侭で。
[少し動作すれば、雨水を吸ったブラウスからもスカートからも雫がまるで足跡のように床を濡らす。
二階へと誘われていく後にも残っていたから、まるでそれは足跡のようだった]
[ソフィーの「父も」という言葉を聞いて、そういえば事故があったのだったかと思い出し]
わかったわ。
シャンパンとお父様のブランデーね。
[ソフィーに頷くと近くのテーブルに座るようにと言い、地下のワイン倉庫に降りて行った]
――朝 ルーサー宅――
[差し込む明るさに誘われるように静かに目を覚ますと、そこは見慣れないような見慣れた場所だった。]
んっ…朝…?にしては…
[思わず起き上がろうとした身体は、まだ熱っぽくだるさを覚える。
と、そこで覗き込んできた先生の瞳とかち合って。わたしは少し恥ずかしそうに無理矢理笑顔を作りながら熱い吐息で挨拶をする。]
おはようございます…せんせ…
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