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俺のさりげない男性アピールを甲斐性なんかで流さないでくださいよね。
ていうか愛娘と同じ屋根の下に安心して放り込める俺って一体先生から見て何なんでしょう。
[苦笑いしながら肩をすくめ。しかしそれは決して嫌な物言いではなかった。まもなく車が自宅につくと]
っと。それじゃ俺荷物持ってくるんで少しまってて下さい。
[荷物といってもほんの少し、適当に衣類をまとめ、車に戻る]
──車内(停車中の回想)──
……嘘。
なにこれ……ニーナが兄妹で近親相姦?
私とパパがいつかそうなるって…馬鹿な。
『ネイ』ってだあれ?
[書かれた内容はまったく意味が分からなかった。一瞬、他人の日記で自分の母親は死んでおらす、山崩れで分断された向う側で足止めをくっているだけなのではとさえ考えた。
けれどもこの筆跡は明らかにエリザのものだ。
それにバートやロティと言った名前の人間は他にヘイヴンにはいない。
震える手で続きを読もうとした時──。
ボブのアルファロメオが酒場に近付いて来る事に気付き、手を止めた。]
そんな…確かにいきなり押し倒されたこともありましたけど…
別に…そんな。怒ってないです。どうしてかは解らないのですけど。あ、お金を多くいただいたからではないですよ、本当に。
[ネリーはボブに少し諭すように答える。
ネリー自身にとって、ボブが矢張り自分の身を心配してくれる事が嬉しい。
私は自分を犠牲にしてでも誰かを救う事ができるのか、或いはそのような人はできるのか。 そう思うと如何に自分がちっぽけで、自分が弱い土台の上に成り立っているのか、と思った。]
――途上――
[僕は歩きながら、地下室の光景を幻視する。まるで降りしきる雨をスクリーンにするみたいに、ただ前を見つめながら。僕自身が映写機となって、脳裏に結んだ映像を視線の先に投影しているようなイメージ。そこに映っているのは――地下室]
……そこには僕がいた。
……そこにはネリーがいた。
彼女はそれまでの彼女じゃなく、
僕もそれまでの僕じゃなかった。
何かが変わった訳じゃない。
ただ隠れていたものが出てきただけだ――そう、欲望が。
[欲望の光景を鈍色の映写幕は映し出す。
手錠を嵌められた女と冷ややかに見つめる少年の姿]
[壁から下がる鎖と手枷に戒められた女は半裸。白い下着だけを許され、だがそれも彼女が隠したいと望む場所を隠すべくもない。豊かな緑の髪を顔に垂らして絶望と悲哀の表情で俯いていた]
……でも、ネリーはそれを望んでたんだろ?
……心の奥では。どれだけ押し込めていたとしても。
[僕は映像の中の彼女にそう呟く。
簡単な算数の計算式を言い聞かせるように]
―車内―
「愛娘と同じ屋根の下に安心して」ってそんなに自信がないのかい? 君自身の自制心に。
ハーヴは少なくともいきなり相手を押し倒したりするようなタイプには見えないさ。
いくら、うちの娘が魅力的だと言ってもね。
[そんな冗談交じりの会話をしながらも、私は先程からシャーロットの様子が気になっていた]
ロティ、なにかあったのか?
さっきから上の空なんだが。
[それは、彼女以外の皆が降りていた酒場からだっただろうか]
[ニーナはボブにもニーナにも近付くなと言った。]
[先刻の雑貨屋の廊下で、ニーナの言葉>>138に、車内でボブに脅されたり殴られそうになったのではと、一瞬固まった事を思い出す。過去にシャーロットがスクールバスで運転手にされた事。ニーナを見ても、パッと見える場所に怪我は無いようにみえた。
ニーナの小声はネリーには聞こえなかっただろう。ネリーは「ダンソックさんはとても素晴らしい方よ。」と言っていた。
ニーナにそれ以上を聞けなかったのは、ヒューバートがソフィの容態の話をはじめた所為だろう。透き通るように白く妖精のようなソフィ。]
そのことの証明は簡単だ。
ねえ、ネリー?
[映像の中で、まだ乾いた服を着たままの僕がネリーに触れる。憐みを請うような緑の視線が僕の方に向けられ、けれど、それは僕の指先が触れると同時に黒革のアイマスクに遮られて閉ざされた。目隠しに覆われた彼女の瞼の上を、愛撫するように何度も僕はなぞり続けた]
ネリーが結婚するとか、そういうことがあったら、
泣くんだろうなあ。私、身よりないからさ。
……娘みたいなもんだと思ってるんだよ。
娘を押し倒す親が、どこにいるんだよ。
[母親が亡くなって、わかっている血を分けた
人間はもういなくなってしまった。
結婚も、機会に恵まれなかった。]
ネリーのハピネスは、私のハピネス。
苦しみも、私の苦しみも同じことだよ。
何かあったら、言えることは私に言ってくれると
それは、私のハピネスになるから。
これからもよろしくね。
[ボブは時折暴力を振るったりするのかもしれないと思った。
シャーロットが犬に噛まれたのも、犬に何か怯えの要素があったからではないだろうか。
バンクロフト家ではあり得なかったけれど、使用人に手を付ける主人も居ると聞いた事が無い訳でもない。ボブがニーナを強姦したのでないのだとしても、ネリーにはそう言った行為があるのかもしれない。
シャーロットが以前からネリーに苛立ちを感じる理由に、そう言えば、ネリーが殴られたり襲われたりと言った事があっても、それを受け入れてしまいそうなところがあるから、と言うものがあるような気がした。勿論、口や態度で抵抗はするかもしれないが、最終的には許容していると言うのか…。]
…そんなの受け入れていいわけないじゃない。
馬鹿じゃないの……。
そんなのネリーだって不潔だわ…。
[ネリーの柔らかで大きなバスト。無数の擦り傷。口にさし込まれたネリーの指の感触。ネリーのあやしげな声色。
シャーロットは首を横に振った。]
──車内(現在)──
[ボブの出現で読む事を断念した母親の日記。ハーヴェイとヒューバートが車内に戻って来る直前に日記を隠した。ネリーとボブの事、日記の内容──、ぶっきらぼうだが優しいニーナの顔。(並ぶとシャーロットと面差しが何処か似ている)
それに何時か、自分とヒューバートが……。
様々な事が渦巻きすぎて、頭痛を覚えた。
常のシャーロットらしくない態度で、ハーヴェイとヒューバートの会話には上の空で相づちを打っていた。]
[ネリーのクラスメイトは早い人は既に結婚をぽつぽつとはじめている。けれどネリー自身にはまだまだ遠い先のように思われた。]
そんな、旦那様、今更な事はおっしゃらないで。
旦那様は光が見えないかもしれません。けれど光を感じることができる、その事が素晴らしいんじゃないですか。
私、どれだけハピネスになれるか…解りません。
けれどハピネスになるのは私だけではないですよ、ほら。旦那様も。
[アルファロメオの中でなければ飛びついているのは間違いなかった。]
──車内・自宅近く──
[ヒューバートに声を掛けられてハッとしたように]
ううん、何でも無いの。
色んな事がありすぎて…疲れちゃったみたい。
犬の噛み傷は──たぶん、熱も無いし大丈夫だと思うんだけど…。でもまだ、潜伏期間すぎてないから用心しなきゃね。
ネリー…嬉しいこと言ってくれるじゃあない。
[ネリーに、ニコっと笑いかけて見せた。
その笑顔は、ニーナに向けられたものとは
性質がまったく異なっていた。
ニーナを使って、ハピネスを感じていたときとは。]
そうだなあ…まず、帰ったら何か食べようか。
ちょっと疲れちゃうことがあったからさあ。
悪いけど、何か作ってくれないかな?
そして、一緒に食べよう。
ネリーの料理で、ハピネス感じようじゃあないか。
[アルファロメオのアクセルを踏む彼は、
非常に嬉しそうな*表情をしていた。*]
そうですね旦那様、じゃあ、今日は腕によりをかけて素敵なディナーにしましょう。
今日は素敵な日。毎日素敵な日。それはなんてハッピーな事なんでしょう。
[ネリーはボブのいろいろな種類の笑みを知っていたが、今浮かべている笑みこそが、ネリーを幸せにさせる笑顔に違いなかった。
それは今はグラスで目を隠していても言うまでもない事であり、今は水害に見舞われていてもきっと未来は楽しいものなのだ、と思った。]
―アトリエ―
[トランクからハーヴェイの荷物を取りだし、鞄の一つを肩に担ぐ。
疲れた、というシャーロットに肯いた。]
今日は色んなことがあったからね。
疲れているなら、早めに休みなさい。
ああ、怪我のことだが……
[ブレザーのポケットから、幾つかの薬瓶を取り出す]
牧師のところから抗生剤を持ってきている。
あとで処置しよう。
[抗生剤の処置と言う言葉に頷いてから、ハーヴェイに、]
…ハーヴ。
なんだか何もかもが非現実的すぎて。
[首を傾ける。]
ねえ、ハーヴ。
ニーナの事どう思う?
ニーナ?
さぁ。俺彼女とそう親しいわけでもないし。
少し気が強いだけで普通の子じゃないか?
[親族であるシャロが何故ニーナについて意見を聞いてくるか、特に接点のない自分には不思議だったがとりあえず返答を返す]
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