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[――カサリ……
幾度めかの、木の葉の擦れる音がした時、ナサニエルはとある場所――とは言っても、何の変哲も無い場所だが――に到着する。]
[目の前には、2つの人影。
時々、荒い息づかいが聞こえる。
背中の羽根を月明りに預け、ナサニエルは人影の様子をしばし観察する――]
[新鮮な血肉を得て…──
身体の内側をまた不快な電流が駆け抜けて行くのを私は自覚する。
喉を反らせた姿勢でわずかに痙攣を繰り返す私の異変に、パパが気付くかどうか。]
私が、完全に生き返った時は。
もう、以前の私では無く…──人狼になるんだわ。
でも、パパを愛していると言う事実だけは永遠に変わらない。
私も愛してる。
あなたを愛してるの──
[ギルバートが衣服を纏ったままであることに忌々しそうに舌打ちをすると彼の衣服に手をかける。
引き裂くようにはだけさせ、胸元にキスを降らせる。
ニヤ、と口端をあげ、そのままギルバートの胸元に華を散らした。
片方の手はギルバートの熱い中心部をなで上げながら、再び窒息するようなキスを送り唇のそばで囁いた]
早く…
[先に自ら自身のジッパーを下げ、締め上げていたペニスを開放する。そして次にギルバートのジッパーに伸び、開放しようとうごめく]
[喰いたい。]
[喰らいたい。]
[温かい血も、柔らかい肉も、舌に乗せるととろける甘い脂肪も、ぷちぷちと弾ける腱も。]
[ゆっくりと少しずつ衣服が脱がされて行く。
不快な電流に痺れる身体を、愛しい相手の掌が触れる吸い付くような快感が覆って行く。]
私も永遠にパパだけのもので居たい…──。
[安置所の冷気に晒される皮膚の感覚。
優しく素肌を愛撫され、パパの熱が私に伝染していく──。]
[ハーヴェイの手によってやっと窮屈な衣服から開放されたそれは、天を仰ぎそそり立つ。
唇を舐め、忙しない呼吸を繰り返しつつ、その手をハーヴェイの膝裏に掛けた。]
[私は呼吸が止まりそうになる事に抵抗するように、息を付く。それは小さな吐息にしか成らない。けれども、私の口内はまだ血の味が残り、以前よりも僅かに尖った鋭利な犬歯が見えてしまうはずだった。
俯せを選択された事に、私は内心安堵した。
また、最初の侵入者パパではなく、ソサエティと言う謎の言葉を残した死体採集者であった事に感謝した。お陰で私は愛する人を喰らわずに済んだのだから。]
どこ…近い? 駄目だわ、分からない…
[ネリーは手足を折り曲げて小さくなっていた。激しい疲労のせいで腰の辺りを中心に、歩くことも覚束ない。
ネリーは小さく呼吸をしていた。]
[獲物の身体から邪魔な衣服を全て引き千切るように剥ぎ取り、膚を剥き出しにすると、足を取って開かせ、その間に身体を割り込ませる。]
──バンクロフト邸・バスルーム──
[衣服を脱ぎ捨て、白い裸体を晒したバスルームで、
睫毛を伏せ、頤を上げて頭から水道水の雨を被る。
その姿はまるで祈りを捧げる殉教者のように──。]
水よ──、罪も穢れも全て洗い流して。
私をただの一人のヒトに、戻して──。
[過去も未来もない一人の人間として、現在(いま)を見たい。
今、この町に何が起きているのか。
何者にも縛られない自由な視点で考えなければ。]
[───けれど。]
『──嘘。』
……この罪は私だけのものじゃない。
この穢れは父からの贈り物。
罪も穢れも、私達を繋ぐかけがえの無い、
蜘蛛の、糸──…。
[喪いたくない。
喪えば父は自分の手の中から居なくなってしまうだろう。
手を伸ばしても届かない処。
母の──、
──ソフィアの元へ。]
[切なげに、閉じた睫毛を震わせる。
うなじの疵を指先で撫でると、官能が背筋を駆け上がった。]
──……ハ…ッ…。
[唇から熱い吐息が零れ出す。
精神だけでなく、身体まで敏感になっているのだろうか。
それとも、ココロがカラダに影響を与えているのか。]
これは……私が、私である、証。
お父さん──『イアン』が私にくれた、私だけの徴。
[存在を確かめるように、傷痕を、鎖骨を、胸の膨らみを、
順に指先で辿りながら、陶酔したように呟く。
視線は此処ではない何処か──、記憶の中、
自分を見下ろす情欲に彩られた父の眼差しを視ている──。]
ふ……っ…ぁ…!
[少し触れられるだけでも肌があわ立つ。
見下ろされるギルバートの顔がまるで情欲の鬼のように、しかしこの夜の下、濡れた瞳は魅入られるほど美しく。
割り込まれたからだの熱が下半身から伝わる。
受け入れるべき衝動への期待に身が震えた]
はっ はぁ……っ
ロティ、ああ……
――私のすべて
[彼女の身を気づかい抑制しようとする試みは長くは続かない。荒々しく彼女の躰を求めてやまぬ衝動のままに、掌が、指先がひたすらその感触を求め続ける。熱い唇が押しつけられ、舌は彼女の味覚を味わい尽くすかの如く這い回る。
ぬらぬらと絖りを帯び淫らな光沢を帯びた裸身を抱きしめ、躰全体でたおやかなその存在を慈しんだ。私の硬い腹筋や胸筋は、少女の柔肌の感触に歓喜に満ち打ち震えた。]
この身は――
肌も、血も、肉も……
……すべて
[舌がしなやかに撓るを首筋を這い、歯が触れる。]
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