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[娘がそこに居る。愛おしさに思わず駈け寄って抱きしめたくなる衝動をやっとのことで抑える。
私には為さなければならないことがある。
彼女に伝えなければならないことが――
束の間の瞑目の後、彼女に向かう眼差しにはやや厳しい意志が宿っていた。]
――ロティ。
私は君を罰しなければならない。
罰を受け入れるかい?
[バンクロフト家の掟に従い、一つ一つの言葉を句切るように明瞭で厳粛な声音で告げていた]
[「娘」は、窓の外を見つめていたその視線をゆっくりと下ろし――「父」をじっと見つめた。]
[ためらいがちに目を伏せ、唇をキュッと噛む。]
[双の手が、自分の腕を掴み――そして、静かに、頷いた。]
来なさい……
[私は“彼女”を椅子の前に導き、頭を左側に、腰を右側に、彼女の体を私の膝の上に預けるように四つんばいにさせる。シーツをまくりあげると、真っ白な双球が顕わになった。
今や、その姿はシャーロットそのままの姿に変じていた。
彼女と重ねた時間のすべてを、その光景を私の“目”は克明に記憶していたのだ。その記憶がナサニエルの纏うなにかの気配に感応するかのように、甦っていた。]
なぜ――
罰を受けなければならないかわかるね?
[私の指先が、右手に巻かれた包帯を、その傷が痛まぬようそっと撫でる]
君は、危険を充分に意識することなく、猛犬に自ら近づいた。
その理由が好奇心なのか、他にあるのかはわからない。
だが、それは無用のことだった。
君は、なにを得るわけでもないのに
腕に怪我をすることになった。
それは、罰するに価する行為だ。
[「父」の膝の上にその身体を乗せられ、「娘」はその身を硬直させた。纏っていたシーツをそっと捲られた瞬間、静かな溜め息が唇から漏れる。]
[右手をなぞられた瞬間、「娘」の指がぴくりと動いた。]
「何故罰を受けるのか、わかるね――」
[身を捩らせ、潤んだ瞳で「父」を見つめる。少し思い澱むように顔を伏せ――頷いた。]
[柔らかく白い肌に赤いあとが残される。私は、その痛みを和らげるように、あるいは愛おしむようにやさしくそっと撫でる。
一つめには、と私は続ける]
君は世界が君に与えた価値に対して報いなければならない。所有するということは、同時にそれに付随する義務を負うということだ。
君は何よりも、自分自身の美しい躰を大切に扱わなければならない。不注意や、無警戒や、あるいは怠慢によって損なってはならない。
いつも気を配り、愛おしみ、注意深く守っていかなければならない――
[言葉をかみしめるように、切々と綴る。
彼女にその意味が充分に伝わるように。
そして、私は再びホーンブックを掲げる。]
…………………ッ!
[ホーンブックが鋭く降りる音に身を硬直させ――おそろしいものに「おそろしい」と意思表示する暇も与えられぬまま、臀部に痛みを与えられる。その痛みに歯を食いしばるが、鼻と歯列の間から、大きく素早い息が漏れ出る。]
[右手の怪我に言及されたからか、頭を左右に振り、「父」から見えぬよう、シーツの中に右手を隠そうとする。]
何…? この、恐ろしいものが空気をねぶるような感覚…
[私は急に不安感に駆り立てられた。少しでも油断すれば竦み上がりそうだ。]
[再び、新たな赤い跡がその肌に刻印される。私は震える指でその跡を撫でた。]
……私は……
自分自身の全身全霊をかけて、君を守護すると誓う。その義務を果たすよう努力する。
だから君は――
――君も、できたらその責任に答えて欲しい
[“彼女”に言い聞かせながら、いつしか私の両頬を雫が伝っていた。
彼女を傷つけたのは、彼女の好奇心だっただろうか。
だが、私は彼女を守ることができなかったのだ。
それは、私の罪でもあった。]
ギ、ギル…
[私はギルバートの神経を逆撫でしないように、ギルのすぐ後ろまで歩み寄った。そして不安を隠しきれないように声を漏らす。]
ギル…私、怖い…
一瞬でいいの。ごめんなさい、私に力をちょうだい…
[私はまるでおねだりをするかのように囁く。]
[ホーンブックを臀部に打ち付けられた「娘」は、おそろしさのあまり「父」の膝の上から逃げだそうともがく。]
[自身のからだを傷つけてしまったこと、自身のからだを「父」のために大切にできなかったこと――そんなことが頭を過ぎり、「娘」は羞恥のあまりその頬を真っ赤に染めた。]
[臀部に走る、鈍く鋭い痛み――その場所が赤く染まっていることを、「娘」は見ずともその上に響く熱で、感じていた。]
[背後に迫ったネリーの気配と頼りない囁きに、彼は振り向いた。
そして、]
………。
[無言のままその唇に、深い口接けを与えた。]
二つめに、君は、私の忍耐力を過大に評価しすぎてはいけない。
私がなにに耐えられ、なにに耐えられないかを知らなければならない。
[今や、その声は震えていた。
嗚咽で喉が詰まる]
君は、自分自身の怪我の痛みに耐えられると思うかもしれない。
だが、私が君の怪我に耐えられるわけがないのだという事実を忘れないで欲しい。
[そこまでやっと言葉を紡ぐと、もう耐えられなかった]
……ああ、ロティ……
耐えられるわけがないだろう!
君が怪我をすることに――
君を喪うことに……
……あぁああああぁ……
[私は今は“シャーロット”であるナサニエルの背中を抱きしめ、泣き伏していた]
[同時に── 一つの住所と場所のイメージ。]
『俺に何かあったらそこへ行け。いいな。』
[唇を離し、彼はネリーに背を向けた。]
[臀部に広がる赤を撫でられ、「娘」はハッとして顔を上げた。]
[身を捩らせて「父」の顔を見上げる。
――「父」は、泣いて居た。]
………………。
[父の言葉に、ゆっくりと頷く。]
……。
[柔らかく暖かい口づけを施され、沸き起こる安堵感。
と同時にギルバートが2本の足でこれだけ堂々と立っていられるという羨ましさ。
唇が離れた。 もう私は私の力で立っていられる。]
――はい。
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