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[ニヤリと笑って椅子から立ち上がり、ナサニエルに歩み寄る。
向かい合った右手の指を、胸のタトゥーへと彷徨わせる。それはゆっくりと焦らすように膚に描かれた図像の上を動いていく。]
[フ、と唇が綻んだ。]
[知っているのか知っていないのか、ネリーはボブの言葉に『えっええっ!?』と目を丸くした。そして当たり障りのない言葉を紡ぐ。]
あ、は、はい。そうですね。
明るい子は明るい所で育ちますもの。
[突如として右手をナサニエルの後頭部に腕を回し、噛み付くような口接けを唇に幾度も加える。
その間も左手は忙しく立ち働き、器用に自分のシャツのボタンを外していく。]
ネリーはもう帰れるかい?
[呼びかけながら、運転席のドアを開け――]
なにかあったら言ってくれよ。
[“なにか”の内容はボブの与り知らぬことだっただろうが、そう言い残して車に乗り込む]
ボブ、今日は生憎だったが、また唄を聞かせてもらうよ。
[ナサニエルの右の目元が微かに歪み、ブルーグリーンの瞳が半分だけ瞼に隠れた。
胸を這う指先の感触。女達のそれとは明らかに違うざらついた質感を、膚の下に挿れた色素の影響でほんのりと隆起した皮膚の上で受け止める。]
ふぅん……そんなに珍しいか?このタトゥーが……随分とありふれたもののように思っていたんだがなァ。
[ギルバートのシャツの中に指先を滑り込ませようと、ナサニエルは手を伸ばす。]
あいよッ。もちろんもちろん。
[アルファロメオの運転席に、同じように乗り込む。]
ネリー、ダンナどっか行くみたいだけど帰るかい?
[やはり、ダンナと呼んでしまうようだ。]
どうしましょう旦那様、どちらでもいいですわよ。
家も片づけないといけないですし。
[ネリーはおまかせしますわ、と言わんばかりに答えた。]
う……………ッ!
[ギルバートに唇を噛まれた瞬間、その痛みに思わずカッと目を見開く。]
……痛みを与えるのが、……テメェの、やり口か……?案外いい…趣味、してんじゃねぇか……
[指先の動きのせいか、或いは唇に与えられた痛みのせいか、ナサニエルは「はぁ…っ」とひとつ、溜め息をついた。]
先生?もう用事は済んだんですか?
[結局ソフィーを送るだけだったのか、運転席に向かうヒューバートへ視線を向け]
俺は…自分で帰りますね、自宅近いし。
で、もしよかったらお願いがあるんですけど…
あらゴライアスちゃん、こっちにいらっしゃいな。
[ネリーは膝の上にいらっしゃいとでも言うかのように促す。ニーナの服なのに、既に半ば忘れそうになっている。]
[睨んでくる翡翠色の瞳へ、からかうような視線を返す。
ただ、片耳のピアスだけが燃えるような紅の光をもってネリーを見つめていた─]
なんだろう。あの人……こう、普通じゃないよね…?
[ネリーはつい今しがた、唇を奪われたことさえも忘れて考えた。]
[一度顔を離し、ふふん、というように唇を歪めた。
再度顔を近付け、今度は唇の間に舌を差し入れ、口腔内をまさぐるようにかき乱す。
ボタンが外れたところで、頭に回した手を外して肩を揺するようにして脱ぎ、床に落とした。]
[ボブがアクセルを踏むとまたネリーの背中が揺れる。
既に慣れきっていて、指摘するのも飽きたと言うべきなのか、ネリーはそれについてただ苦笑するのみだった。
しかしネリーに少し気になる事が。]
あら…旦那様? 香水か何か買ったんですか?
――町のどこか――
[どこからどう歩いたのか、憶えていない。
我に返った時には僕は豪雨の中、ずぶ濡れになって町のどこかを歩いていた。シャツもズボンも靴下も下着も、雨に打たれ全身がぐっしょりと濡れ、身体にへばりついていた。水を吸った生地が冷たく肌に纏わりつく気持ち悪さに全身を震わせる]
……ここ、どこだよ。
……なんで僕は、こんなところに……。
[滝のように降り注ぐ鈍色の雨水。目の前にレースのカーテンを
引かれたように視界はぼやけていた]
……なんだ、これ。山崩れか……?
――町のどこか――
[眼前には巨人が手押し車をひっくり返したような土と泥の山があった。へし折れた樹木の枝がところどころに突き出ている。足元を見つめてようやく、自分が今いるのは町の中心部へ向かう道路だったのだと確認した]
……ああ。ここ、町役場に続く道なのか。これじゃあ……
[戻れる場所はなくなっていた。
記憶がしだいに戻ってくる。
映像と音が僕の脳裏に甦ってくる。
艶かしい肌と肉の動き、嘲笑う声と哀願する声、肌から直に伝わってきた柔らかさと温もり。そうだ、あれから僕はずっと一人で、この雨の中を歩いて――]
――崩落した道――
[――そこまで思い出して僕は鈍い痛みに気づく。知らないうちに頬の内側をぎっと噛み締めていた。犬歯に破られた粘膜から血が零れ、唇の端からたらりと流れていく]
『……温かい』
[血の温度。身体の温度。顎へと伝っていくその熱はけれど、降りしきる雨に吸い取られてすぐに消えていった]
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