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[ユーインは、人目につくかつかないかの場所で性行為するのを好んでいた。
彼が一番気に入っていたのは、ドナヒュー家の敷地内にある倉庫の中。昼夜問わずそこに侵入しては、ユーインの身体が満足するまで貪り尽くすような性行為を繰り返すのが常だった。
それから一度だけ、広いだけが取り柄の、真夜中のジュニアハイの校庭のど真ん中。さすがにこれは互いに辟易したものだったが。
「いつ誰に見られるかが分からないスリルが楽しいんだよ、ナサニエル?」……と、ナサニエルに身体の芯を貫かれながら屈託の無い笑顔でそう主張するユーイン。
奔放で、世の中の全てが彼の「おもちゃ」に見えるような笑顔。――近所では異常なまでに評判が良かったユーインの、もうひとつの顔であった。]
[だが、今目の前に居る少女は、あの時の清楚でか弱げな面影は無くなっていた。
少女は血塗れだった。
血濡れで膚に張り付いた衣服はその細いボディラインを露わにし、余計に可憐に頼りなげに見せ、汚れていない部分の白い膚は光を放つが如く白く。
少女は、ギルバートの姿を認め、いっそ妖艶と言ってもよい笑みを浮かべた。]
『ああ……そうそう。そういえば……』
[たった一度だけ、ナサニエルはユーインの勉強部屋に侵入して性行為を持つように指定されたことがあったのを思い出した。
家族がリビングでテレビと共に家族団欒を楽しんでいる声が聞こえる中、ナサニエルは木を伝ってユーインの勉強部屋に忍び込んだ。
「天使なのに、空飛んで来ないんだ?」
木の葉まみれのナサニエルを見て、心から可笑しそうに笑い転げるユーインは、まるで家族に見つかるかもしれないという危険性を、さらに自分から広げて遊ぶ子どものようだった。
栗色の髪、上品でありながらもどこか悪戯な赤い光が宿る瞳、そして彼の家族に見つからぬよう、声を潜めて耽る行為――彼の「幻影」らしきものを見たナサニエルに、その記憶が濁流のように流れ込んできた。]
「ギルバート? 良かった、やっと会えた。ずっと呼んでたのよ。」
[だが、その妖精じみた美貌の両の瞳は、身体を染める鮮血と同じ、血濡れの赤に染まっていた。
鮮やかな赤で縁取られた唇をふっくらと開いて微笑む少女に向かい、ギルバートもまた、薄い笑みを浮かべた。]
こんばんは、ウェンディ。
[犬。
それは、ともすればただの犬だった。
しかし、その犬はどう見ても平常ではなく異常であった]
…なんで、こんなところに犬が。
[だらしなく口から涎を垂らすその犬の瞳の焦点が合っているとは思えなくて。
けれどその理由を考える前に既にその犬と自分が対峙していると言うその状況が既に絶望的なものであった]
[チリチリと膚に感じる感覚が伝える、これは「血族」。
しかも、]
『血に狂っている……』
[忌み子、だ。それもかなり血の濃い。]
[体力は底をつきそうだ、と思っていたのだが意外と身体が軽い。街へ戻れる目処がついたためなのか。表情は明るくなかったがネリーはしっかりとした足取りになっていた。]
あ…ら…?
[目の前に何かが見える。まだ200メートルはあるだろう。人と人が対峙しているように見える。
悪寒がネリーの中を走った。あの空気は危険だ。直感が教えている。近づくべきではない。しかし真実もあの中にある気がしてならない。 咄嗟に身を隠せるものはないかと辺りを見回していた。]
[きっぱりと自分の中で断言できるものがある。どちらかでも見つかったらかなり危険だ。逃げ切る自信はない。
後ろを向かって走るだけでも感づかれてしまいそうだ。
ネリーは後ろを向かず、少しずつ距離を拡げ始めた。]
「リックと一緒に待っていたの。でもリックはね……」
[妖精じみた血塗れの少女は、壊れたラジオのように一方的にギルバートに向かってまくし立てた。
瞳孔の開いた赤い瞳に宿るは、まさしく血の陶酔と高揚。」
──そうか。すまなかったね、ウェンディ。
[彼は蜜のように甘い声で語り掛け、近付き……腰から抜き放ったナイフでウェンディに切りつけた。]
―安置所前―
[試みに、ユージーンにどれほど時間が経っていたか訊ねた。
ユージーンは、待つのは苦にはならないよ、と云った。ここでの仕事は楽しいからね、と。その口ぶりから、私が随分長い間彼を待たせたことが察せられた。
私は少々赤面しながら礼と詫びを告げ、心付けを渡した。
ユージーンの姿が遠ざかり、ロメッシュのシートに身を預けた。少しの間瞑目し、躰全体をいまだうっすらと帯びる熱が滑り落ちていくのを待つ。
だが、目を閉じれば、闇の中から甦ってくるのはシャーロットの蒼白く輝く絖肌と淫らにうねる柔肉の感触だった。意識を遠ざけようとするほどに、埋火が熱を帯び始めるのを感じる。
私は諦め、別のことに意識を向けようと上着のポケットから慎重に油粘土を取り出した。安置所に入る前、私の掌の中に包まれていたそれには安置所の鍵のかたちがくっきりと写し取られている。
直感像資質を持つ私は、鍵を凝視することさえできるならそのような方法に頼る必要などなかったのだが、念には念を入れたのだった。
油粘土を金属のケースに移し替え、イグニッション・キーを回した。]
[しかし、アクセルを踏みこもうとする私の足は固まったままだった。
そこから去ることができない。
シャーロットはいつも私のそばにいたのだ。
これからの毎日、彼女の温もりの感じられない家で眠りにつかなければならないことなど、想像もつかない。身を引き裂くほとの絶望が襲ってきた。
苦悶の呻きを上げ、ハンドルに額を押しつける。
私はほとんど叫び出しそうになっていた。
安置所から彼女を略奪し、そのままどこかへ走り去っていきたい衝動に駆られる。
どこへ? その自問に答えはない。
――何処へ――?
――――どこ……へ……… ]
――――――
「……パパ」
不意に幻聴が耳に響いた。
ハッとして隣を見る。助手席でシャーロットが微笑んでいる。
眩い陽光に肌は蜂蜜色に輝き、青味を帯び艶めく髪は風に流れそよいでいた。
眠りを誘うほどにゆったりとした白い波濤が、寄せては返しさざめく波音とともに優しく手を差し招いている。柔らかに頬を愛撫する海からの微風は、夏の息吹を含みながら潮の薫りを運ぶ。
――違う。
――これは、“今”ではない――
目を閉じ、あまりに鮮明な記憶が視界から消え去るのを待った。
――
―車中―
[私自身が自暴自棄になるわけにも、逃避に身を委ねるわけにもいかなかった。ただ一縷の希望があるならば。
やがて意を決し、アクセルを踏み込んだ。]
ロティ。いつか――
[そう願うしかなかった。]
[ナサニエルが回想に思考を傾けている最中。
こちらを見つめてくる目から顔をそらせない。
何故だろう、殆ど接点のない人だったのに。
どこかで、どこかで共に行動したことでもあっただろうか?]
………
[見られたことによる羞恥を少しも感じさせないその男に、無意識に足は近づいていく]
あぁん、ステラ、イク、いきそう!
そこ、もっと!
[ローズマリーは快楽を与える立場と与えられる立場とを自在に行き来し互いが頂点に達することができるよう、ステラを攻め立てた]
[甲高い絶叫が夜闇に響き渡った。
しかし、]
『浅い』
[彼はチッと舌打ちした。首を薙ぐ筈の刃は、ウェンディが腕で庇ったことで、彼女の前腕を切り飛ばすに留まっていた。]
[普段しない化粧をしたのは、病み上がりの顔色の悪さを誤魔化すためでもあったが、これから向かうバンクロフト家を礼節を持って訪れる場と感じている証拠でもあった。]
[イアンが頻繁に心を閉ざすようになってからは、店に立てぬ父の代わりに娘のソフィーが仕事を引き継ぐ事となったが、3年間彼に師事し仕立てを学んだとは言え、まだ若く、所々未熟さの残る彼女では、すぐに満足な収入が得られる程の注文をとる事は難しかった。
そのため、仕方なく近隣の少し大きな町からの下請けで糊口を凌いでいたが、そんな中、昔と変わらず店に通ってくれたのがバンクロフト家の当主ヒューバートだった。]
[何やら取っ組み合いになったように見える。
しかし遠すぎて趨勢は分からない。もし普段のネリーであれば止めに入っていたかもしれない。だが保身の直感がそれを許さなかった。]
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