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―夕刻から、夜へ―
[2階の寝室にネリーを1人残し、ナサニエルは庭先に出た。手には、大きなトマトケチャップの缶と、中身を失った咳止め薬の瓶が2ダース。そして、紙片。]
[瓶を全てダストシュートの中に放り込むと、ナサニエルは芝生の上に座った。
カチリ………
ライターの火が、紙片に点る。]
………さよなら、ルーシー。
[薬物独特のにおいを撒き散らしながら、静かに煙を上げ、紙片は燃えている。]
「まだ生きているから」
[ニナの懇願に、私は否定とも肯定ともつかない動作で首を振る。
青白く輝く14歳のニナに触れても、そこには少女の肉体の感触はなく、あくまで不思議な温度を持った光でしかなかった。
それに、柩の中に横たわる彼女はあどけない子どもでは無く、私よりも年上の女性なのだった。]
[私は床に倒れ、ニナに覗き込まれた姿勢のまま、
女性の骨が示した方向のくすんだ石壁を見上げる。
そこに刻まれているのは、バイロンの言葉…──。]
…これが何か?
[──…旅人はすでに訪れていたの。
彼女は答える。
…でも、それは私も知らないもっと遠い過去の出来事。
…新大陸へ移る以前の出来事。
あなたには私の記憶を見せてあげる。あなたが何者かが理解出来るように。]
[私は女性の骨があえかな言葉の響きで指し示すヴィジョンに目を向ける。それは石壁に刻まれた文字の上に水のように広がり、彼女の過去へと私を誘う。
ニナをはじめ、かつてヘイヴンの住人だったであろう室内にある青白い光達は、骨の声にもヴィジョンにも*気が付けないようだ*──。]
[紙片から手を離し、トマトケチャップの缶の中に落とすと、次々と同じ紙片を缶の中に放り込む。
奇妙なにおいを放つ焚き火を眺めながら、ナサニエルは煙草に火をつけた。]
死の、におい………
お前は、やっぱり、そうだった。
もはや「夢」や「幻覚」なんかじゃない。
アレは現実だ。
[ナサニエルのブルーグリーンの瞳に、赤い火がゆらゆらと映る。]
全てお前がやったんだな………ギルバート。
[煙草の先から、紫煙がたなびく。]
[炎に向かい、語りかける。]
ローズマリーが、ステラに食われるヴィジョンが見えた。
ステラがお前を憎み、そしてお前がステラを殺そうとするヴィジョンも。
ああ、そうか……としか思えねぇけどな。
だってお前は、「そういう存在」なんだろ?
[じりじりと静かに燃える炎を見つめ、呟く。]
………「死」の、官能、か。
………なぁ、ギルバート。
お前……さ。
俺にこんなものを「与えて」、いったい何がしたかったんだ?
本能?
それとも、何か意図があってのこと?
[唇を歪めて、静かに笑う。]
……どうでもいいか、そんなことは。
[炎のゆらめきに焦点を合わせる。赤いその先に、ギルバートとステラの姿が見えた。]
………うん、分かった。
[誰にともなく、ぼそりと呟く。
静かな――しかし、ひどく具体的なヴィジョンが、「契約」相手が死んだという事実を宣告した。]
[背筋に、甘い痺れ。
炎と、死の宣告が、かつて彼が愛したものよりも強く激しい官能をもたらした。]
[紙片――LSDは、ゆっくりと空へと昇る。]
ルーシー………お前は
そらに行くんだなァ……
ダイヤモンドを手にしてさ………
[甘い甘い官能の中、ナサニエルは白くたなびく煙を見つめている――*]
流れ者 ギルバートは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
―地下作業場―
[傍らには、フェイマス・モンスターズ・オブ・フィルムランドやスクリーン・ストーリーズ、マッドといった雑誌が重ねられている。]
やれやれ……
こんなものまで拵えるとは、正気の沙汰じゃないのかもしれないな……
[バーナーで溶かされた銀の燦めきは、鋳型に流し込まれていった。
やがて、工具の揃えられた作業台にカートリッジが並べられる。ブレッドの取り外された薬莢に、鋳造された新たな弾頭が取りつけられた]
聖水や十字架は、信仰心のない者が持っても役に立たないだろうな。
あまり頼りにする気持ちにはなれねえ……
[そんなことを考える自分自身がどこか滑稽にも思える。
だが、客観視した理性ではなく、より根源的な直感が、なにより私自身の体を流れる血や肉がその存在を確信し顫動していた。
あの、黄金の眼差しに射すくめられた瞬間の血液が沸騰するかのような恐怖と裏腹の亢奮――
今は、それがどんなものであれ頼みとしたい心境だった]
――劫初の起こりから存在し続けるかのような
根源的な鳴動が激浪となって押し寄せる。
魂を震わせるその波を感じたのは
それから間もなくのことだった――
――自宅――
[ギルバートの殺意がわたしに向かってきた時。なぜかわたしは密かに隠し持っていた聖水の瓶を彼に向かって投げつけていた。
彼はわたしに死を与えてくれると言ったのに。でもそれがわたしの本心なのだろう。わたしは神から死を奪われた人間ではなく、自ら逃げてきた人間だったのだと。その時改めて思い知らされた。]
[一瞬の隙を突いて逃げ出した刹那、わたしはギルバートの手から逃れようとバランスを崩して、勢いよく階段から滑り落ちてしまった。
激しい音が耳を裂く。でも不思議と痛みは感じなかった。ただ息苦しさが…わたしの胸を締め付けていた。]
[喘ぐように呼吸を繰り返す身体。ぼやける視界の先にギルバートの歪んだ微笑が見えた。透き通る黄金色に見える瞳が、彼が普通の人間ではない事を物語っている。]
『嗚呼、やっぱりわたし死ぬんだね…。もし願いがかなうのなら…死ぬ前に一度だけ…あの人に…抱かれたかった――』
[生と死の挟間でわたしが脳裏に浮かべた人は、迷う事無くバートその人だった。
もし願いがかなうのなら。わたしは彼の腕に抱かれてもう一度眠りたかった。性欲の捌け口としてではなくただその温もりに。]
[私はナサニエルの寝室でまどろんでいた。
ただ、身体を求め、与えられたという私にとっておおよそ初めてに近い喜びと言うものを知った。後ろのほうは覚えていない。]
私…
[今、私は起き上がり、シーツを被っているだけ。
何も考えず、今はただ濁った意識のままでいたい。そう感じていた。]
――自宅――
[再び目が覚めると、死んだはずのわたしの身体は、柩ではなくベッドに寝かされていた。]
『あれ…?これが死の感覚…?にしては…随分とリアルね』
[痛む身体に顔を歪めながら、視線だけで辺りを見渡す。と、そこには意識を失う前あれ程逢いたいと懇願したバートの姿が映った。
わたしはあまりの突然の出来事に、心臓が止まるかと思った。そのまま息が出来なくて嬉しさで死んでしまってもいいとまで思った。実際死んでいるのであれば、随分と変な話だけど。]
あ…バー…ト…?
[わたしは掠れる声で、近くに居る彼にだけ聞こえる声色でそっと呼びかける。これで気付いてくれたなら。わたしは生きている証拠だろう。]
[果たして彼は気付いてくれた。ほんの僅かだが眉を上げて答えてくれた。近くにはどうやらハーヴェイさんが居るらしい。彼に気付かれないように表向きはある一定の距離を保つ態度を取って居たけれど。]
『嗚呼…駄目よバート…その手の感触を味わってしまったら…。わたし全てを投げ出してしまいたくなるの…』
[髪を梳く優しい手の動きが、彼の本心を言葉ではない物で伝えてくれる。]
[緑の髪がウェーブを描き、胸元まで流れている。私は指で髪を掬い、人差し指に一巻き、二巻きと弄ぶ。
前髪はしっとりと下へ降り、唇あたりまで達しているだろうか。]
私、このままでいたい…でも、
でも、私にしなければならない事が、きっとある…
[髪筋越しに伝わるバートの優しさ。それは人言えぬ恋と解っていながらも断ち切れないわたしの弱さに、浸透するかのように染み渡り胸を熱くする。]
[いけない恋ということは解っている。同性愛と不倫、そのどちらも人には認められない恋だということは百も承知。でも愛さずにはいられない。慕わずには居られない。
たとえ誰からも理解されなくても。愛した本人達から最後には見向きもされなくても。]
バ…ぁト…?何故…あなたが此処に?
[わたしは雑貨屋での彼の素っ気無い態度を思い出しながら、ふと疑問に思ったことを訊ねてみた。あの時彼ははっきりとわたしにこう告げたのだ。
「一人の友人として――」と。
ねぇ、今此処に居るのも。そしてこうして目を盗んで髪に触れてくれるのも…あなたの言う【一人の友人として】の行動なの?]
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