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――雑貨屋・店内―ー
[パイプ足の丸椅子に座り、受話器を片手にネリーを見つめた。睨んでいた、と形容した方が多分正確だったろう。そんな意識は、僕の中にはまるでなかったのだけれど。彼女に向かって、手の中のそれを差し出す]
確かめてみなよ。どこでも――今ネリーが勤めてる先にでもいいから、掛けてみればわかるさ。
[意味も無く、挑発的な口調でそう言った]
えっ!?
[リックの『父さん』というフレーズに敏感に反応し、ネリーは主人が背後にでも現れたのではないか、と大きなそぶりで後ろを向いた。]
[何度目かこの酷い環境の中走らされる車はさぞ不満を募らせているだろう。それでも主人にそれを伝える術を持たない車は大人しくバンクロフト家へと主人を運ぶ。
いつもの所に車を止め、傘を差して正門へ、そしてチャイムを鳴らす。ヒューバートかシャーロット、どちらかが不在でも構わない。どうしても模写だけは取りに行かないといけない。学校の課題なのだから]
あ、う、え、ええ、そうね。
[明らかにネリーは平静を欠いている。ウェンディや天候、電話回線の供給もあったが極めつけは雑貨屋の主人であろう。少し冷や汗をかきながら電話を取ろうとする。]
[でるというギルバートを引き止めることもできず]
そ、そうね。
気をつけて、ギルバート。
いってらっしゃい。
車は必要かしら?
『嗚呼、私は──、
私はこの町に何を求めているのだろう。』
[父の首筋に顔を埋め、艶の褪せてしまった髪を撫でながらひとしきり物思いに耽っていたソフィーは、窓を叩く雨音が小さくなったのに気付いて、名残惜しげに顔を上げた。]
雨、止むかしら……?
いや、歩いていくよ。その方がかえって安全だろう。
[と階段に片足を掛けたところで振り返り、ニッコリと微笑んだ。
そして、そのまま彼女の思いには微塵も気付いていないように、軽い足取りで階段を上がっていった。]
[ネリーはリックから受話器を受け取ると、リックに背中を見せ、慣れた手つきでダイヤルを回す。
繋がるのなら、ボブがいれば必ず受話器を取る時間、コール音の回数は決まっている。あの音が聞きたい。しかしその期待は裏切られる。
もう一度かける、やはり徒労に終わる。
じりじり。じりじり。湿度が高い。自分の感情か。周囲の天候か。]
――――――――――――――――
重要なのは、彼らの「求めるもの」にある。
夫・ヒューバートの方と話をしてみたところ、彼は「家族を愛している」ことと「愛娘がいかに美しいか」、それから私にはおおよそ理解のできない美術の話ばかりをしていた。彼は娘の話になると、誰に対してもひどく饒舌になるのだが、妻に関してはあまり話をすることは無かった。
むしろ、結婚生活の話になると、彼はそれを「遠い昔の話」と置き換えるという試みを繰り返していた。――ついでだから、彼から私の過去についての記憶をいくつか聞いておいた(そちらについては別頁を参照のこと)。
――――――――――――――――
そして、妻・エリザ。
彼女の求めるものは、極めて特異なものだった。
――「私にとっての天使は、『ネイ』よ。」
後から調べてみた所(主にローズマリーから聞いた話だが)、「ネイ」というのは、私と同い年の少女だったらしい。そして、既に彼女はこの世に亡い、ということも。
ローズマリーから聞いたことを元に、私は私なりに「ネイ」の像を作り上げ、試しにエリザの元に現れた。
――その時のエリザの顔を、私は忘れることができない。懐かしい記憶が蘇ったのか、彼女はまるで少女の頃に戻ったような表情を浮かべていたのだ。
止むのなら、家に帰らないとね──。
まだヒューバートさんに頼まれた衣装を届けていないし、
ステラさんのツーピースも仕上がってないわ……。
第一このままじゃローズさんに迷惑を掛けっぱなし…。
[会話するように父に語りかけながら椅子の背もたれに手を掛けて、なんとか立ち上がったものの、まだ足元は覚束ない。]
一先ず服を着るのが先かしら。
[軽い苦笑を漏らし、ふらつきながら扉に向かう。]
[酒場を後にして、自宅へ車を走らせている。
アーヴァインから告げられ、血相を変えて飛び出した。
ペット、いや家族のみんなは大丈夫なのだろうか。]
DAMN...こんなときに限って…。
[焦るあまりに、道を間違えてしまったようだ。
こっちは、バンクロフト家の方である。]
こっちじゃねぇっての…!?
[Uターンしようと思ったそのとき、雨によって
タイヤがスリップしたようだ。思わず急ブレーキ。
その音は、あたりに聞こえたかもしれない。]
……ぐ、ぐぐ…ぐおぉぉぉぉぉぉ…。
[うめき声をあげる。すんでのところで、転落は避けたものの、
サングラスが外れてしまったようだ。
アルファロメオの中から、うめき声が響く。]
──バンクロフト家──
[ハーヴェイを最初に迎え入れたのはマーティンだった。
旦那様は半時間ほど前に慌ててお出掛けになりました。と言って、エリザの事も含め、ハーヴェイにもアーヴァインが告げて行った内容を告げた。シャーロットは自室で眠っているようだったので、ヒューバートを追って出掛けないかが心配でまだ起こしていないのだとも。
ハーヴェイさまがいらしたのなら、お嬢様を起こすよい頃合いかもしれません。エリザさまがおいたわしい。
と、ハーヴェイと共にアトリエへ向かってマーティンは歩き始めた。]
――自宅――
[沈黙の儀式は、その後どれ位の時間を掛けて行っただろう。
薄いカーテン越しに感じる外の明るさが、先程よりも明るくなったように思え、わたしは視線だけ覗けるような隙間を開け様子を伺う。
雨は小降りになったようだ。]
この調子だと…もうすぐ止みそうね…。雨――
[すっかり落ち着きを払った左腕の子は、わたしの呟きに一つ欠伸をして大人しく蹲っている。それは背中の子達も同様に――]
そういえば…アーヴァインさんの話だと、道路封鎖とか言っていたわね。大丈夫なのかしら…。
[わたしは気を紛らわすかのように、酒場近くで得た情報を口にする。そうする事で自分の次の行動を決めてしまい、この子達を眠らせてしまいたかった。]
──アトリエ・自室(回想)──
[シャーロットは、何か別の事をイメージしようとする。
と言っても、ヘイヴンに住み、テレビのチャンネルはエリザが管理している、雑誌を買うにも叔母の店しかない、そんな環境にあるシャーロットに保健の時間に習った以上の知識は無い。
指先でその場所に触れる事をおぼえたのは何時、何がきっかけだったのだろう。家にあったダヴィンチの解剖デッサンのみを集めた画集を見た後、好奇心から浴室でこっそりと鏡で自分の性器をはじめて見た後だっただろうか。それとも、今日のようにモデルを勤めた後、身体の熱を感じて知らずに手を伸ばしたのだったろうか──。]
[書斎にある画集や作品集の中には、美術として当然のようにエロティックなものも含まれていた。シャーロットが気に入ってる作家『通称:大ガラス』正式名称『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』を作った作家の作品に、確か妹の結婚祝いに送ったと言う『貞操栓』あり…──、その立体のカーウ゛を思い出しながら、いつか、私にも誰かを…──身体の内側に招き入れる事があるのだろうかと、思い。同時に、そのような事が永遠にあり得ないような気がして、快楽の中で苦い溜め息を漏らす。
今はまだ16歳。もしボーイフレンドが出来たとしても、両親とも健全な交際を望むだろう。外部の学校へ通っていた時、すでにロストヴァージンを終えたと自慢している少女も居たけれど。普通、かたい家庭の娘は、ボーイフレンドを自宅に招いて両親に紹介しても18歳まではそういった行為はしないものだと、シャーロットは信じていた。]
[リックの、ネリーにとって最も恐れる表情が、そこにあるとは露知らず、ネリーはもうたくさんよ、と言わんばかりに受話器を置いた。]
やっぱり駄目だわ。せっかくアーヴァインさんが町中走り回っているというのに。
神様というものはかく残酷なものを与えると言うのかしら?
[冷たい石膏のオブジェが熱い肉に変化し、シャーロットは自分自身がその塊を受け入れるところをイメージする。自分自身でもまだ、その入口にしか触れた事の無い内側へ──。]
…あぁ、だめ。
[二度目の否定の言葉。
シャーロットはそこで何を想像してしまったのか。想像に罪悪感をおぼえ、今度は一転してお仕置きを受けた幼い頃の記憶を甦らせる。振り下ろされるバドル、けれども少女の尻をそれで打つ事に抵抗があるのか、打つ度にやさしく撫でる父の掌…──痛みと、くすぐったいような優しい感触が交互に……。
三度目の否定の言葉を口にする前に、眉を小さくよせたまま*シャーロットは落ちた*。]
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