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[咥えた煙草を上下させるように、言葉を口にした。]
……別に構わねぇけど、何だ?
人に聞かれても平気な話か?
それとも、聞かれたくない類の話か?
人狼の血が目覚めた「血族」は、その過程で肉体が急激に変化する。
人間そのものの身体から、同族のそれに。
そのせいで、精神にも失調をきたす者が出て来る……
[先刻ネリーに告げた言葉と殆ど同じ、だが冷たい硬質の声。]
それはアンタ次第だけど、聞かれない方がいいんじゃないかな。
単刀直入に訊く。
昨日、この家で何があった。
[見詰める視線は硬く、鋭い。]
昨日、この家で………?
[はて…と思いしばし逡巡する。]
……ま、立ち話はアレだから、中に入りなよ。
[そう言ってギルバートを中に招き入れると、書斎の鍵をポケットから取り出した。]
ネリー。掃除してくれんの?ありがと。掃除用具は階段の下にあるから。悪いけど俺、ちょっとギルバートと話あるから。すまねぇな。
[それだけ言うと、ギルバートを無言で書斎の中に招き入れた。]
[まるで自分が自分でなくなっていく感覚。
そしてその過程は事実のものと告げるギルバート。
精神に異常をきたすということは、既に自分は異常なのだろう。
自覚はあった。
自分の過去を暴き、そして同じものを見せられることに酷い嫌悪と殺意という衝動が沸いていたのだから]
あぁ……俺…は……!
[非現実的な事実を突然に突きつけられ、理解も納得もできていなかったが、自分自身は嫌と言うほど「自覚」していた。
認めたくない。そしてこれ以上知りたくないというように、一方的に声を閉じた]
あらギルバートさん。
え?階段の下に?分かったわ。ちょっと行って来るわね。
[ネリーはナサニエルやギルバートから少し離れて掃除を始めた。]
[ギルバートが私に軽くウィンクをした。
私を気遣ってのものだとは分かったが、彼の意志はどこか別の所へ向けられているような気がした。
私は一言『蜂蜜。』か何かを言ってジョークを言おうかとも思ったが躊躇われた。]
――カサリ……
[床に隙間無く敷き詰められた紙片――『記憶』の『兵士』たち――を踏み分けながら、両壁を本棚にびっしりと囲まれた、雑然とした狭い部屋へと入る。ギルバートを入れると鍵を掛け、机の前にある安楽椅子を部屋の真ん中に置き、ギルバートにすすめた。]
……ちょうど良かった。
俺もあんたに聞きたいことがあってな……
[煙草の火を灰皿に押しつけると、しわくちゃのシーツが横たわるベッドの上に座った。]
ここ鍵かかってて開かなかった部屋だな。
その鍵はここの鍵か。
[鍵を取り返そうと必死だったナサニエルの顔を思い出し、少しだけ笑った。]
[見るだに凄まじい混沌の部屋である。
聳え立つ本棚、床一面の紙片。
興味深そうに周囲を見回した後、ナサニエルの勧めに随って安楽椅子に腰掛けた。]
俺に聞きたいこと?
ああ。
[頭を掻き、下を向いてしばし沈黙する。言葉を選ぶように何かを考え込み、そして――]
……お前、あの日に……俺とヤッた日に。
俺に「何かした」か?
[ギルバートの琥珀色の瞳に、ブルーグリーンの瞳をまっすぐに向けた。]
[さすがに本職と言うべきか、仕事は早い。古ぼけた掃除機も器用に使う。ごみや埃はあっと言う間に減っていく。
ネリーは床に落ちている様々なものを拾い集める。その中に一つの紙――紙切れが。]
オリバー・メラーズ。「契約」…?
ナサニエルさんの名字は…確か私が子供の時に見た時はサイソンだったような…
少しいろいろ聞いてみたいわ。知ってみたい事がたくさん。
[一段落したらネリーはナサニエルに質問してみようと*思った*]
[落ち着かない様子のナサニエルをじっと冷静に観察していたが、ややあってブルーグリーンの瞳が真っ直ぐにこちらに向けられるのを見て、]
──ああ…。
なんだ。そのことか。
[得心がいったというように頷いた。]
最初に言ったろ。
俺がアンタに支払うものは、“もっともっとスゴい「取り返しのつかないモノ」”だって。
今になってビビったか? ……もう手遅れだがな。
……いったい、何があったんだ……
[ぼそりとひとつ呟くと、ナサニエルは震える声でギルバートに問う。]
思えばあの時からおかしかったんだ……。お前にこの家に連れて来られた時……いや、お前が俺に触れた瞬間、俺の頭ン中に、何もしてねぇのに「この世に無いもの」が……見えたんだ。ああ、そうだ。アスピリン――頭痛薬とアルコールだけで、「あんな幻覚」は見たりしない……!
最初は、朧気に誰かがぼんやりと見えただけなんだ。顔も分からねえし、まして誰だかなんて……。ただ、クスリきめた時みたいな……いや、それなんか比較にならない程に強烈なモンを見たんだ……
そしてギルバート……
お前とヤッた時に、俺は五感が狂うような……全てのことが、強烈にデカく響くようになった……。聴覚も、触覚も、全てだ。
[ナサニエルの瞳に、仄かに哀願の色が宿る。]
そして………
俺ン中で見えた「幻覚」は、日に日に強烈で、具体的になってンだよ……。昨日は、幻覚にボブみてぇなヤツが現れて、そいつが食い殺された。そして俺が、黒い影に……レイプ、された。
そいつ………ずっと、「ロティ」、って………!
[膝をついて床に落ちたナサニエルは、首を左右に振る。]
………いや。
[顔を上げ、安楽椅子の上で冷たい笑みを浮かべるギルバートを、前髪に半分隠された瞳で見つめる。]
後悔は、無い。
売れない三流小説家の俺が、芸術家よろしくクスリきめて追い求めていた「幻覚」が、容易く俺の手に入った。それは俺は構わねぇ……。
ただ………
俺は、この「幻覚」の正体が知りたいんだ。
[笑みは掌の上の雪片のようにすぐさま解け去り、冷徹な観察者の目に戻った。]
なるほど。そいつは大変だったな。
それでアンタは真実が知りたい、って訳か。
……アンタになら教えてやってもいい。
ただし、先にハーヴェイがここに来た時のことを教えてくれ。
アンタに何かしようとしなかったか?
ハー……ヴェイ?
[キョトンとした表情で、ギルバートの言葉を受け止める。]
ハーヴェイ……は。
俺に、あいつの兄がどうたらって話をして……。ヤッたかどうかっていう話をして……。
そして、俺の喉狙って鍵を突き付けてきた。
多分……殺そうとしたんだと思う。
結局あっちがブッ倒れて、何も怪我無かったけれど……。
…行こう、先生が心配する…
[何かを振り切るように首を振ると、そのまま自宅を出る。バンクロフト邸は少し遠い。近道を…昼でもやや薄暗い道であったが、そこを通ればやや時間は短くなるはず。恐らく、*夜までには──*]
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