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―書斎→天賀谷自室
[額を壁から外すと、天賀谷の居室に担いでゆく。
今は一つとなったさつきと杏の後ろ、扉を開ければ真っ先に見える壁面の中央にその絵を飾った。
それだけ済むと、天賀谷の部屋の錠をかけるよう女中に頼み、その場を後にした。]
―三階廊下→自室
[仁科の告白も、ましてや仁科が私を殺すよう嘆願していることなど、知るよしもなかった。
漸く私にしかなしえぬ事を行い得たのだ。
重い疲労が体を包んでいたが、心は満ち足りていた。
ゆっくりと自身に宛がわれた居室へと戻ってゆく。]
―三階・居室
[熱いシャワーが肉体に精気を呼び戻す。
あまりに多くの人が損なわれた。
生者も狂気に落ちてゆくように思えてならなかった。
荒ぶり、凶刃を振るった来海を思い出していた。]
来海さん、貴方も最後は取り憑かれてしまったんだな……。
なるべく早く、事態の収拾を図らなければ。
混乱と狂騒が、おもわぬ破壊をもたらしかねない。
―三階・居室
[部屋の壁には尚も血文字が躍り、じわじわと蠢いていた。]
“天賀谷さつき ――屍鬼殺害”
[その文字はさつきの施術後も変わらずそこに刻まれていた。]
――まだ、時は満ちていない。
蘇生には、今しばしの準備が必要だ。
[あるいは、異界に落ちたこの場所は現世とは異なった時の流れ方をしているのかもしれなかったが。]
[部屋に持ち込んだ小さなガスボンベで湯を沸かす。
碧色の透明な薄い玉-ぎょく-を、注意深く洗う。
玉は彫刻を施されていた。
複雑に刻まれた面が光を跳ね返しキラキラと光る。
消毒液のみの洗浄ではなく煮沸を行ったのは、むしろ迷信めいた清潔観の故だっただろう。]
これも迷信の類か。
あるいは――
[狂気の沙汰であろうか、とその言葉は*発せられることはなかった*。]
―江原自室/回想―
そろそろか…影と影の交わる刻。
[静かに目を閉じ、宿命の刻を待つ。]
………………。
[時間だけが過ぎる。]
手応えがない。当然だ。私が死ぬはず……だが。
[不思議。江原の思い描いた瞬間が訪れない。]
………ッ!?
枚坂さまを……。
[確かにアレは野放しのままには出来ぬであろう]
仁科さん、あなたは如何程まで保っておられますか。
[人を喰らうをとどめるは]
[ふと、見渡す視線を望月の上に視線を止め、>>119。]
望月様は。
屍は泣かぬとお思いなのですねえ。
…マァ、屍鬼の気持ちなぞ分からぬ方が、いっそ生者らしくて宜しいでしょ。
其のまま、現(うつつ)に帰りなさればいい。
あたしは屍鬼では無い、望月様が
妬ましくて。
妬ましくて。
妬ましくて。
──…此のドス黒い爪で其の目を抉り出して遣りたい程。
[現(うつつ)、と小さく呟き、]
アァ、でも。
──…やっぱり。
あたしを殺して戴くより、枚坂先生を殺して戴く方が先です。
あたしが先に逝き、此の屋敷が現世へと戻り。
先生様が、まんまと死体を手に入れて──逃亡なんて事もあり得る訳で。
先生様は立派な車をお持ちですからねえ。
残念ですけど、あたしは運転してカーチェイスなんぞして差し上げられませんし。
あたしは先生の死を確認してから逝きましょうや。
[三階に視線を向けていたが、夜桜の言葉に向き直り首を横に振る。]
異界と此の場との距離が近付けば、もう誰かが直ぐに[と言ってまた全員の顔を見渡す──。]お陀仏で。
果たして、何刻…保つやら。
[また三階に視線を戻し、]
此のまま、江原様にはお会いせず逝く方が…なンて、チラと考えたりしてみた物の。江原様にあたしの影を封じていただいている間に、枚坂先生を殺して戴くのが一番良いのやもしれませんァ。
『──…さすれば。』
『あたしが江原様を殺してしまうやも。』
『…アァ。』
[江原との間に何があったのかは、今此処で、誰にも告げる気は無い様だ。
内心を*仁科は表には表さない*。]
……嫌、
『だって一緒に笑っていたのに。
お酒を飲んで、酔っ払っても上手に運転する仁科さんが
優しい仁科さんが』
――逝くなんて、
[堪えきれなかった泪がまた落ちた。
どうしてこんなに弱いのかと、自分を責めながら。
首を横に振る。
仁科と夜桜の声が遠い。]
ごめんなさい―――
[仁科は喰らいたく無かったと謂った。
苦しいのだろう、と思った。
今命を絶つことこそ、彼女が望むことなのだろうか。
そんなことを思いながら枚坂の死を願う仁科の声を、*聞いていた。*]
―天賀谷自室
[溶液の注入が完了した。
さつきの体温を測定する。
0度近い溶液と周囲の冷媒によって、彼女の体温は7度程度を維持していた。
酸素ボンベを準備し、彼女の血液から血液型検査・抗体スクリーニング検査を行う。
彼女の血液型は――]
ああ……
[思わず天を仰いだ。
無論、あらゆる血液型の輸血用血液を、しかも人一人の命を満たすほどの膨大な血液を常時持ち運んでいるわけもなかった。
今になって、外部との連絡を取ろうとして果たせなかった最初の刻のことが悔やまれた。]
―三階・バルコニー
[天賀谷の自室を出て、見渡しのよいバルコニーから外の風景を眺めた。
月と太陽が浮かび、禍々しい色に澱む空を忌々しげに睨む。]
天賀谷さん……。
貴方はどう収拾をつけるつもりだったんだ。
この空は、晴れることがあるのか?
貴方は何も語らないまま逝ってしまった。
貴方が何を願っていたかさえ、わからない。
せめて……さつき君や貴方が世話をしていた人たちにくらい本当のことを話しておいてもよかったろうに……。
[そして、目を閉じると大きく息を吸った。]
「あなたさまには教えられない」
[そう言った、夜桜の毅然とした表情を思い出す。]
なぜだ。
――わからない。
だが、真実を――聞かなければ。
――手遅れになってしまう前に――。
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