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>>137
ダンソックさんはとても素晴らしい方よ。彼の持つ音楽の世界を理解しようとする人が少ないのは、大陸にとってマイナスだわ。
[「あんな男(ノーマン)と比べるまでもないわ」と誰にも聞こえないように続ける。
ニーナの視線がどことなく痛い。]
[必死に手を伸ばすナサニエルを見遣り、]
この鍵がそんなに大事なのか?
[ちゃり、と指で摘んで鍵をぶら下げた。
琥珀色の瞳には、少し面白そうないろが浮かんでいる。唇は笑いと素面の中間で歪んでいた。]
[男はギラギラと見開いた目をギルバートに向けた。]
それは、俺の……………!
[ギルバートがヒラヒラと動かす鍵に手を伸ばした。]
躾 の な っ て な い 犬 は
糞 ほ ど の 価 値 も な い
――――
重々しい叢雲が空を圧する湿原を、父は右手に銃を携え猟犬を引きながら歩みを進める。
それは、成犬になればかなりの体高となるはずのアイリッシュ・ウルフハウンド。しかし、未だ幼犬だった。猟犬は力ない泣き声を漏らしながら徒労にも似た努力で、待ち受けるであろう運命に抗うかのように脚を踏ん張る。しかし、分厚い筋肉とその周りを鎧のようにまといついた脂肪で重々しいほどの威容を誇る父の豪腕に、為す術もなく引きずられていった。
「なにをしている。早くついて来い」
気乗りしない私の足取りは重くなっていたのだろうか。父は私を叱咤する。ふと、通り過ぎた脇の直立した喇叭のような植物が目に入った。食虫植物、サラセニアの長い壺状の葉の中はじっとりと潤い、捕らえた蝿を溶かしていた。
バンクロフトの邸宅が灌木と木立の影に隠れた頃。芦原の開けた場所で、父はウルフハウンドを放り出した。
「よく見ておけ」
猟銃を構えフォアエンドを引く。ショットシェルがチャンバーに送り込まれ、カチリと音を立てる。装填の正確な機械音が張り詰めた空気の中で明瞭に耳に残った。
こちらを見つめる子犬はもはや逃げようとはしていなかった。父の爛々と燃える瞳に射すくめられたかのように。ただその円らな瞳は絶望に黒々と塗りつぶされていた。
大気を振動が震わせると同時に、対峙していた絶望は粉微塵に砕かれた。
「次に同じ事があれば――」と父は言う。「お前が同じことをするんだ」 私はうんざりとしたように首を振り、天を仰いだ。OK、ダッド、となんとか気の入らない返事を返した。
「いいから、よく聞け」 父はほとんど握りつぶすほどの力で私の上腕を掴み、睨みつけた。
「我々は、“獣”を飼い慣らして“家畜”にしなければならない。それができなければ、滅びるしかない。
これは、何よりも重大なことなんだ。
家族を守れ。
妻に文句を言わせるな。
子供を聢り躾けろ。
口で糞をたれる前に、己の義務を果たせ」
父は、「わかったか」と言うように腕を打ち据えた。
Yes、ダッド。
――それが、父の教えだ。
――――
―雑貨店―
[発熱しているソフィーの頭をせめて冷やすことができるものはないものかと、私は雑貨店の中へと足を踏み入れていた。
食料品をクーラーボックスで運搬される際に用いる冷媒が冷凍庫の中で冷えている。私はタオルを一時拝借し、氷嚢の代替とさせてもらうことにした]
これ……は?
[冷媒とタオルの代金を、レジに残しておこうとカウンターに近づいた時だった。一冊の見慣れぬアルバムに目が留まる。それは、商品のように陳列してあるわけではなく、不規則な並びから誰かの忘れ物かと察せられた]
誰のだろう。持ち主の名前はあるかな……
[パラパラとアルバムをめくりかけた手が止まり、双眸は凝固する。そこには予想だにせぬ嬌態に彩られた情景が映し出されていた。戦慄く指先で慌ててページを繰る。下着で発見されたネリーのことといい、写真の内容といい、よく見知っている筈の雑貨店が突然異界に堕ちたかのようで現実感が遠のいていくのを感じていた。
「躾だ」
父の言葉が頭蓋にゥワンゥワンと響動する。
「内なる獣を飼い慣らすんだ」
喉がカラカラに乾いていた。]
ロティ、まだかい?
ソフィーが、熱が出ているみたいなんだ。
早いうちに送り届けた方がいいと思うんだが。
[店の奥に声をかける]
ネリーはどうだい?
一緒に乗っていくかい?
五人までなら大丈夫だから、送ってくぜ。
――酒場 アンゼリカ――
[ローズから施される愛撫にわたしは戸惑いの声を上げるけれど。でも彼女は撫ぜる手を止めようとはしない。
やわらかく押し倒される躰。背中越しに感じる革の感触が吸い付きそう。軋むスプリング。外は雨が上がり、差し込む光に虫達が騒ぎ出す。静かだった。何もかも。]
「穢れているとは思わないわ。少なくともわたしは…」
[ふいに耳許を掠めるローズの甘い声。蜂蜜よりも濃厚にブランデーのように強くわたしを酔わす。嗚呼神様、あなたは意地が悪いお人…。わたしの心を惑わすような誘いを、どうしてこうも容易く振り掛けるのですか…?
今彼女に一つの禁忌を赦されてしまったら…。わたしは更に欲深く求めてしまうではありませんか。
犯した罪も受ける罰も、そして未だ誰にも言えない心の闇を、彼女には全て曝け出し、許しを請いたいと――]
―雑貨店―
[ソフィーの頭に氷嚢をあて再び雑貨店に戻ると、奥の部屋から店の中へとシャーロット、ネリー、そして店に居たのかニーナが顔を覗かせていた]
ニーナ、帰ってたのか。随分静かだったから……
[言いかけ、ボブの名前に過敏にすぎる彼女の反応に目を瞠る]
なにか……あったのか?
えっいいんですか?ヒューバートさん。
お言葉に…甘えてしまおうかな?
[足取りはおぼつかないようにも見えるが、れっきとしたネリー。シャーロットと共に外へ姿を見せ、ヒューバートに促されてシャーロットの後ろをついて行き、ヒューバートの指すほうへ*足を歩み始めた*]
嗚呼ローズ…、わたしはあなたのその言葉だけで、今とても幸せな気分に浸っているわ。世界中の人がわたしの事を嘲笑(わら)ったとしても、わたしにはあなたが居てくれさえいれば、何も怖くはないの…。
[ゆっくりと押し倒されていく躰のまま、わたしは純白の本心を唇に乗せた。今此処に嫉妬も傲慢も色欲もなにも無い。欲に裏付けされた心ではなく、ただ素直に彼女へ抱く紛れも無い真実をあなたに――]
でもね、ローズ…。まだあなたはわたしを知らなさ過ぎるの…。だからさっきの言葉は――
[そう言ってわたしは緩やかに彼女の体を起し、自らもまた上体を起こすと]
これを見て…それでも穢れないと思うのなら。もう一度口付けをして?今度は…あなたから――
[シャツの釦に手を掛け。するりと上体の着衣を乱していく。そして全て剥ぎ取ったその姿を。彼女によく見えるように。
――晒した。]
[ローズマリーはステラの曝した背中の入れ墨に見入った]
ステラ…。
[ローズマリーにはその入れ墨の意味することはわからなかったが、これを入れることでステラが死ぬほどの痛みを味わったのであろうことは容易に想像ができた]
かわいそうに、どうしてこんな…。
[ローズマリーはステラの両肩にそっと両手を乗せ、ステラの入れ墨を丁寧に舐めあげた]
[入墨を晒す事。それは私自身が犯した罪を晒す事を等しかった。せんせいには宗教絡みの罪への罰としか言っていなかったけど。そんな生易しい物なんかでわたしは一生背負って生きていかなければならない罰なんて背負わない。
そう、これは――]
「ステラ…」
[ローズの息詰まった声が聞こえる。わたしはその声には答えずに、彼女の視線をただ黙って受け止めていた。
意味など解らなくてもいい。でも、わたしが思う以上に穢れていることを、罪深き人間である事を、知ってもらいたい。
その上でのあなたからの裏切りなら、わたしは喜んで嚥下しよう。そしてまたわたし自身も裏切りる前提がある事を、あなたにも与えてあげる――]
「かわいそうに、どうしてこんな…」
[同情の声が背筋をなぞる。通り過ぎる実に人間らしき感情に、わたしは身動ぐ。
さぁ、あなたは何に対して同情をしたの?]
[でも答えはすぐ与えられた。柔らかな風が露にした素肌をを掠めた。肩に置かれた手の感触。
――温かい。
そう、思った次の瞬間――]
――んっ…ロー…ズ…?あっ…そんなっ…どう…して…?
[一瞬だけ戸惑う口内の水音。そろそろと落とされた生温かいやわらかい感触が]
[罪の色を舐め盗るかのように滑る。勤勉に。]
[ローズマリーの舌が入れ墨をたどる。上へ下へ。
輪郭を。入れ墨をいれた時のステラの痛みをそぎ取るかのように。
入れ墨をたどりながらローズマリーは涙ぐんでいた。
やがて、ローズマリーはステラを後ろから抱きしめ、耳元に囁いた]
痛かったでしょう、ステラ。
こんな…酷い…。
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