情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[心を灼ききる程の集中に虚脱しきった頃、塑像は完成していた。
素材に向かう時には、多くの場合そこに顕れ出るものへの道筋は導かれている。だから、私の制作は時間的には極めて早いものだった。
この塑像は、石に鑿を入れ最終的に作品を作り上げていく前段階の試製の一つに位置していた。塑像の上から乾燥をコントロールするための薄い布をかけ、作業を締めくくった。
最後に瞑目し、「今から私は父親だ」と自分自身に言い聞かせた。私の中の“美術家”と“男”を心の奥底に押しやる。色欲は未だ埋火のように燻り熱を持ってはいたが、自制を損なうものではなくなっていた。深呼吸と共に平静を呼び覚ますと、螺旋階段を*昇っていった*。]
―ナサニエル自宅・書斎―
[メモの木の葉が散乱している机の上には、1冊の黒革の手帳。
そして、1枚の走り書きのメモ。]
「これは人類史上における、最も偉大な『実験』である。
Nathaniel Oliver Mellers」
[その言葉は、空になった咳止めシロップの瓶に踏まれながらも、誇らしげに胸を張っている。]
―ナサニエル自宅―
[“妹”を抱き寄せ、何度目かのくちづけを施した時のこと。玄関の方から、チャイムの鳴る音がした。“妹”にごめんね、と告げると、“兄”は玄関に向かった。]
[扉を開ける。そこにはアーヴァイン。]
………あなたは?
何かあったのですか……?
[“兄”は眉をしかめながら、アーヴァインの話を耳にする。]
村の封鎖……崖崩れ……
電話回線は全て不通。一部停電……
なるほど。俺の家が停電したのは、そういうことだったんですか……。
[アーヴァインは、いつもとは違う様子のナサニエルに訝しげな目を向ける。現在復旧作業を早急に行っているが、万が一のための準備はしておくように、という旨を告げると、アーヴァインは次の家へと向かった。]
―2階・寝室―
ニナ……
[真っ白な寝室に戻ってきた“兄”は、“妹”に外の状況――アーヴァインから伝えられたそれを説明した。そして、悲しげな瞳で語りかける。]
残念だけど、今日はこれでおしまいだ。
リックやウェンディが心配だ。彼らの元に、戻ってあげて。……俺はこんな姿になったから、ニナとは一緒に行けない。ごめん。
また俺に逢いに来て。
それまでは……お別れだよ。
[テーブルに掛けて乾かしていた“妹”の服を手にし、*そっと差し出した*]
[ソフィーに以前依頼した衣装をまだ引き取りに行っていないこと、彼女の誕生日が訪れることを思い出していた。日頃彼女には随分世話になっており、シャーロットの16の誕生日にはドレスを戴いたものだった。
私も、些細なものだったが彼女への誕生日プレゼントを用意していた。
父親の跡を継ぎ仕立て屋を営む彼女の腕前は見事なもので、働くことができなくなった父を支える健気な姿に私は敬意すら感じていた。しかし、かつてそんな話をした時に、エリザの反応はいささか不可解なものだった。
どこか奥歯にものの挟まった物言いで、明確にどこがとは指摘しないがそれでいて否定的な言葉を積み重ねていく。
「なにかあるのか?」と私が問うと、「噂だけど」と前置きした上で「私、イアンがあんな風になったのは、ソフィーのせいもあるんじゃないかと思うわ」と口にした。]
[聞けば、妻を亡くしたイアンをソフィーが誘惑したのだという噂があるのだという。それに類する噂は私も耳にしたことがあったが、私には妻を亡くしたイアンがソフィーに手をつけたのだという噂の方がまだしも真実に近いのではないかと単純に考えていた。
そういった時、女性はたいてい同じ女性の立場を擁護するものだと勝手に感じていた私は、エリザの態度が少し意外でもあった。
「どちらにしても――」と私は言う。「しっかりしなければならないのは父親の方だよ。」
妻が死んだことがどれだけショックだったとしても、父親には娘を庇護する責任と義務がある。守るべき人がいるなら、その立場を放棄することも忘れ去ることもできないはずなんだ。私は熱を込めて話していたのだと思う。
そう信じていたし、そうでありたいと思っていた。世の父親一般もそういうものであって欲しいとも願っていた。]
[黙って聞いていたエリザは感心するでもなく、共感するでもなく、ただ冷笑的な笑みを浮かべていた。]
「……そう。それなら、あなたは安心ね。」
[私が仮にでも妻を悼まない人間に見えたのだろうかと、慌てて言い添えた。
もちろん、君に何かあるなんて考えもしないことだけど、と。
彼女はただ微笑んでいただけだった。]
―アトリエ―
「これから帰るとお電話があってから随分経ちますが、まだ奥様は戻ってきていません」
[マーティンの言葉に心の中を不穏な暗雲が垂れ籠めはじめ、様子を見に外に出ようかと考え始めた時だった。不吉な知らせを運ぶ来訪者が、重い足取りで我が家の扉を敲いた。]
なんだって!?
まさか……
いや、ああ……そうか。
これが……
[男から震える手で黒拍子の冊子を手にとる。字体を確かめただけで中を読む気になれず、玄関に入ってすぐのウォークインクローゼット脇の椅子の上に置いた。
寒気を感じたのは土砂降りの雨で低下した気温のせいだけではなかった。]
ああ。わかった。場所はだいたい察しがつく。
……知らせてくれてありがとう。
[男を見送ると、急いでウォークインクロゼットから雨具と傘、レインシューズを引っ張り出す。振り返ると、姿の見えないシャーロットに張り上げた声で呼びかけた。]
ロティ!
少し出てくる。危ないかもしれないから、お前は家にいなさい。
何かあったら、マーティンを呼ぶように。
[そして、返事が帰ってくる暇も惜しむように戸外へと*飛び出していった。*]
――酒場二階 ローズマリーの部屋前――
[ソフィーの、探るような視線を無視するようにわたしは彼女と彼女のお父様を残し部屋を後にしようとしたその時。ドアノブを捻ろうとする手が一瞬妙な軽さを覚える。
と、同時にわたしはドアと共に軽く引き摺られるような形になり、バランスを崩しかけた身体は前に倒れそうになった。]
[それでも身を護ろうと反射的に踏み出した次の足は、床ではなく人の足に着地しそうになり。わたしは再び慌てながらも何とか踏み止まり、前に倒れる事も誰かの足を踏む事もなく無事体勢を立て直した]
あっ…とっ…ごめんなさいっ…ギルバードさん。お怪我はな…く…て――?
[真っ先に視線を落とした足許。そして瞬時に反転する瞳に映し出された姿に、わたしは申し訳なさそうな表情を作り彼を見上げた]
[そんなわたしに、ギルバートは微笑を投げ掛けようとする。それは物腰の柔らかい男特有の癖とも言えようか。
彼らは常に微笑みを投げ掛ける事で、相手との距離を縮め時に物事を円滑に運ぼうとする。それは獲物を落とす時も変わらない。
男にとって女とは獲物であり、女を落とす事は狩猟と同じ事。]
[ギルバートもまた楽して獲物を取るスタイルを貫き通す男だろうと、わたしは初対面時に向けられた人懐っこい笑顔と気負いしない態度にそんな予測を立てていた。
そう、見上げた視線先に投げかけられた微笑の意図する事を読み取るまでは――]
[香染色の瞳が鋭く光ったような気がした。そして歪んだ口許に浮かんだ微笑。
それらは明らかに好意的なものではなく。言うならば裏を見透かしたような、圧倒的優位に立った物が見せる示威のような色合いを湛えているように思えた。]
[見透かすような透き通った瞳。訳あり物同士で交わされる秘密のやり取り。
瞳は語る。
「秘密を…欲望を紐解いてやろうか?」と――]
『冗談はよして。わたしが一体どれ程の苦労を積み立てて今の平穏を手に入れたのか…。あなたには解らないでしょう?』
[しかし無言で見つめ返す瞳には本心は滲ませる事なく、訳が解らないと言わんばかりに不思議そうに微笑を返して。
わたしは無言で彼の横を通り過ぎ、階下へ続く階段をゆっくりと踏み締めた]
―回想 自宅―
[ステラの悲痛な告白に塞ぎながら、ルーサーは2階の執務室へと向かった。
彼が部屋のデスクに腰掛けたとき、部屋の電話が鳴る。その様子はまるでそれがその時間に鳴ることを知っていたかのように落ち着き払っていた。2回目のコールで静かに受話器が上がる……]
ルーサー 「はい、私だ……」
?? 「やあ、ドクター ラング、調子はどうかね」
ルーサー 「無駄口はいい。用件を言え……」
?? 「頼んでおいた件はその後どうなっている」
ルーサー 「昨日、『因子』のサンプル採集に成功した。実験体はもう死に掛かっているが、やはりというべきか、投与している薬物に対して面白い反応が見られたよ。」
[ルーサーは、患者の人懐っこい笑顔を思い出し、胸が痛んだ。]
?? 「それを聞いて安心した。この電話は盗聴されている可能性があるので、また連絡員を寄越そう。それまでに報告をまとめておいてくれ。」
ルーサー 「用件はそれだけか? 切るぞ。」
?? 「相変わらず愛想のないヤツだな。そっちの生活はどうだ? 慣れたか?」
ルーサー 「別に何も変わったことはない。」
?? 「君はタフだな。私が『狼の足跡』を辿れと言われて放り出されれば、そうはゆくまい。やはり君を派遣して正解だった。」
ルーサー 「……」
?? 「こっちはそうだな…… 調査部によれば、君の父上は奥方の誕生日にこっそりとプレゼントを買いに行ったらしい。仲のよろしいことで。」
ルーサー 「きッ、貴様ッ!!」
?? 「それだよッ。今日はじめて君の声を聞いた気がする。」
[電話口の向こうで乾いた笑い声が響く。]
ルーサー 「家族には手を出さないという約束だったはずだ!!」
?? 「人聞きの悪いことを言うなよ。我々は忙しい君に代わってご家族を "ケア" しているだけだよ。尤も、君が妙な気を起こしたときには、我々は不本意ながら "ケア" から手を引かざるを得ない。そうしたら彼らが急に事故に遇わないという保証はないがね。」
ルーサー 「悪魔め…… いつか…… いつの日にか貴様らには神罰が下るだろう……」
?? 「その悪魔とやらに魂を売ったのはどこの誰だね。『結社』は君の活躍期待しているんだよ。これからも仲良くやろうじゃないか。」
ルーサー 「黙れ……」
結社の男 「君が同罪だということを忘れるな。奥方を生き返らせたいんだろう。」
ルーサー 「……」
[ルーサーはペンダントに手を掛けると押し黙り、何も答えなかった。]
―― 一階 酒場内――
[階段を下りて店内へと進むとそこにはボフがピアノの前に座り、ローズに向かって何かを申し出ていた。内容はよく解らなかったし客と店主の会話に部外者が入るべきではないと思い、気にも留めなかった。]
ねぇローズ、わたし一旦家へ帰ってもいいかしら?暴風雨で家の中の事も気になるし…。
[会話が途切れたタイミングを見計らって、わたしは上でのやり取りを手短に話し、嘘の帰宅の旨を伝えた。ソフィーが父親の面倒を見るといっている以上、わたしが居ても彼女達の邪魔になるだけに思えたし、第一わたし自身が一人になりたかった。]
うん、家の物を片したらすぐ帰って来るから…。あ、そう…これ良かったら飲んで?町の外に買い物へ言った際、手に入れたの…。茶葉に蜂蜜パウダーが振り掛けられている…珍しい紅茶なの。
[そう言ってわたしは彼女にこの町ではなかなか手に入らない嗜好品を手渡し――]
じゃぁ、暗くならない内に戻ってくるわ…。
[道路封鎖の情報を携えてやってきたアーヴァインとすれ違うように、わたしは酒場を後にし自宅への道を辿った。]
結社の男 「おっと、そろそろミーティングの時間だ。名残惜しいがここまでだな。そうそう、それから未確認の情報なんだが、我々がずっと探していた『獲物』がそっちのほうに向かったという報告があった。」
ルーサー 「獲物?」
結社の男 「狡猾なヤツでなかなか尻尾が掴めないんだがね。我々の調べている過去の事件に少なからず関与していたことは判っている。ソイツがヘイブンに現れるようなことがあれば、いよいよヘイブンと『人狼』の関係をもっと本格的に調査することになるだろうな。まあ、それはともかくとして、もし、ソイツと思しきヤツと接触するようなことがあれば、あまり深追いはせず、直ちに報告してくれ。」
ルーサー 「ああ、分かった…… どんなヤツだ。」
結社の男 「それがな、調査部のやつら我々に詳しい情報を出そうとしないんだ。ずっと逃げられ続けているんでどうも失点回復を狙っているらしい。」
ルーサー 「それで、私にどうやって見分けろと?」
結社の男 「意地の悪いことを言うな。調査部のヤツらの鼻を明かすチャンスだろ。それじゃな。」
[ルーサーは苦々しげに電話を切ると。ステラのいる階下へと向かった。]
―回想 自宅―
ステラ、調子はどうだね。
[彼女の寝ていたソファのほうへと声を掛けるが返事がない。彼女に着せたはずの寝間着が畳んである。そしてその上には置手紙が]
この雨の中を…… バカな……
[彼は弾かれたように飛び出した。]
ステラーーッ、ステラーーーッッ。
まだ、そう遠くには行っていないはずだ……
[車に乗り込んで、キーに手をかけたとき、何かが彼の手を止めたような気がした。]
私が彼女にできることは…… 今ここで追うことではない、か…… そうだね、マリア……
[ルーサーはひとりごちるとペンダントに手をやりながら天を仰ぐと、家の中へと引き返した。]
>>21
――雑貨屋周辺――
[ネリーの問いかけに振り返る。倉庫の鍵は扉の鍵穴に刺さったままだった。背景には雨音が続いている。ウェンディは一体この雨の中、どこへ――その疑問は、彼女にとっても当然のものだと思いながら、僕は首を振った]
ん……っと。
それがさ、正直なところ、わからないんだ。
家の中には居なかった。
車を出した様子もない。ウェンディは運転、できないけどね。
『そして、ここにも居なかった。
まさか居るとは思ってはいなかったけれど……』
じゃあ、どこに? っていうのが、今一番判らないこと。
何をウェンディが考えてるのか……さっぱりなんだ。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新