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―三階・廊下―
「ひと……
足掻くもの、嘲笑う者……
何処までも、ひとで―――あった、と。」
[翠の声が告げる。望月の表情はしかし、動かない]
――そうか。
[それ以上何も言わず、首を携えて階段へ向かった]
[口元を拭った指先は氷の様。
そして藤峰の血に染まっている所為で、普段は紅も塗らぬ仁科の口元は妖しいまでに紅くぬらぬらと光るばかり。]
[階段からは、水鏡のそばに佇む夜桜と仁科が見える。
少々興味を惹かれたが、腕の中の首を見てその思いをひとまず打ち消した。]
手を、貸して頂けますか。
[凝っと見詰めるまま、問う。
階段上の望月からは、白い着物を着込んだ(上から下まで真っ白の)夜桜の姿が見えた事だろう。近くの水鏡の表面が、最後に、
ふつ……
と、淵より震えて平らになった。]
―由良の部屋外、廊下―
……
[首を振る]
……人が誰かを殺すなら。
……其処に私の意味が、あるのです。
[首を持ち、去る望月の背を見送る。
体が動かない。
彼岸が自分を呼んでいる。]
……水……。
[ふらり、と手摺に縋るように立ち上がった。]
碧子様が、旦那様をあの様な無惨な死に──。
[影見をずっと求めて居た仁科だったが、実際に其の言葉を、屍鬼の名を告げられるのは、想像を遥かに越えて重い出来事だった。]
碧子様と十三様は長い間柄だと…。
アァ、でも。
夜桜さんが覚悟の決まった人で在る理由は、此れ…なのか。
―二階階段そば―
「碧子様が屍鬼」
[そのまま井戸へ向かおうとした足を引きとめたのは、仁科の言葉だった]
…なんだって?
[振り返れば、水鏡の表面が妖しく震える様が見て取れた]
今、なにを言った。
[佇む夜桜は白装束。それは花嫁の白無垢とも、死者の経帷子とも見える]
[二階廊下中央の声はよく響き、階段を降りようとする私の耳にも届いた。]
大河内碧子……
――彼女が屍鬼…
[私の貌に薄い微笑みが浮かぶ。――ついに。]
[現世はイロの世界。
彼岸は白の世界。
喪服が黒と定められる前、白は死の色であった。]
あたしは、色々見過ぎてしまっただけです。
覚悟なんて大層なものじャ、ありません。
[何かが見れるだけではない。
戦争だけでもない。
東京大震災だけでもない。]
望月さま。
[夜桜は望月を見上げた。
その向こうに居る枚坂は、耳聡かったのか、呟くように話していた会話が聞こえてしまったようだ。]
大河原…碧子さんが屍鬼?
そう聞こえた。
[首を携え、血のこびりついた姿のまま歩み寄る]
それを知りうるのは影見だけ。だが、夜桜さんの名は血文字の中にはなかったはずだ。
……。
[夜桜は仁科の動作に、何も言わずに見詰めていただけであった。熱をもったような温かい手の温度が、仁科に伝わってゆく。
血のこびりついた、シロタの首持つ望月の問いかけに。
そっと*目を瞑った。*]
―二階廊下―
[夜桜と仁科を見やりながら、癇症に首を横に振り]
わからん。俺には判らん。
[踵を返して井戸へ向かう]
『この首を*清めなければ*』
―水鏡前―
すいません、……大丈夫、です。
……ああ、でも。手だけ……貸して頂けると。
[申し訳なさそうに枚坂に願い]
……夜桜さん……
仁科さん……?
[対峙する望月と寄り添う二人を見た。
何の――話を。
そう思ったとき、望月が謂った。]
――大河原様が……?
[屍鬼。
翠は夜桜を見た。
――さつき様は屍鬼ではない。
そう謂った、彼女を。]
[夜桜は真に影見なのだ。
触れた指先は、仁科が狂おしく求めた首筋と同じく、白さの向うに生き生きとした血管が透き通る桜色。今は熱を孕み熱い程…──。]
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