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[逡巡している内に修道女がさっさと片付けて戻ってくるのに、申し訳無さと安堵の入り混じった表情で唇は感謝の言葉を紡ぎ、ソファに身を沈める女の様子に気遣う様な眼をするも直ぐに瞬いて、男の言葉には自身の至らなさを思い知るばかりで、僅かに俯きふるふる首を振って]
「若し、怪我、したら、痛い、から」
>>82
[碧い髪の少女の仕草、
両手を伸ばせば、手首に傷。
僅かに動揺する。]
そ、の傷は……
自分で作ったんじゃ、ない、よね――
[彼女にだけ聞こえるような小声で問う。
手首の傷。手首の。――既視感に、ぞくり、寒気]
あ、うん。
わたしは痛いことはされなかったな……
怪我をしてるのはナイジェルと、貴女だけ、かな?
[ステラの手際の良さは見習いたいとすら思う。
彼女が片付けてくれて、危険な其れは消えて。
ナイジェルへの不安も弱まり、
安堵の吐息]
……そうだね。
痛いよね……。
わたしも、前、傷つけた時、痛かった。
でも――
[痛みすら忘れてしまうことの方が怖かった。
けれどナイジェルにとってはそれが当然。
――よくわからない。不思議なこと。]
[戻ってくればローズマリーがその場で眠っていて]
かけるもの、必要ですね。
[盆をテーブルに置いて、その足で一度広間を出る。先日シーツを取って来たところから毛布を持ってきてローズマリーにかけた。ナイジェルから感謝の言葉を受ければやはり「気にしないで」と微笑んで。ソファーに座るとグラスを手に取りワインを注ぐ]
大人の女は危険物の扱いにも慣れてると。
[手早い処理に、およそ修道女へかけるには合わない言葉で謝意を表した]
…思い違いかね。実はママの世話が必要な歳なのかもしれない。
[続いてまるで少女のような笑みを浮かべて眠りの中へ落ちていくローズマリーを目にすれば、その一言。
探して毛布をかけてやればいいのに、布であれば何でもいいとばかりに引き抜いたテーブルクロスで間に合わせ、かける]
[ネリーの呟きが耳に入ってくると、素晴らしいとも言える環境に身を移させてくれたことで感謝の気持ちすら生まれかけていたアーヴァインが彼女達にした事を改めて思い出し、苦々しく洩らす]
抵抗できそうにもない弱っちいのばかり傷つけやがって…
[――もし、けが、したら、いたい、から。
それでは彼女は、痛みを与える可能性を持つ存在を恐ろしく思うのだろうか。
そうなるに至る少女の体のみならぬ心の傷を思って、その答えに明るく大丈夫だとも笑い飛ばせず、無言で頷いた]
>>85
あっ、ごめんなさい。嫌なものを見せちゃったかしら・・・
これは何週間も牢獄にいた時に少しずつ傷めてしまったものなの。あの・・・アーヴァインをはじめとね。 もっとも、この子はもっと酷い目にあってる・・・と思う。
[ネリーは明るく振舞ってシャーロットに答えた。]
[同室の少女の言葉に微か頷くも様子にか眩しそうに眼を細め]
………
[痛いと言うのに一つ頷いて]
「そう、想う、シャーロットは、優しい」
[途切れた言葉に不思議そうに同室の少女を見詰め、修道女が相変わらず手際よく動き回る様子に視線を移して瞬き、其の手に持ったグラスが深紅の液体で満たされるのに眼を細め、男の屋敷の主に対する言葉に対してはまた首を振り]
「私のは、セシリアが、悪い、だけ」
[手酷い扱いを受けた割りには屋敷の主を責める気も無さそうで]
>>89
ううん、大丈夫。わたしは気にしないから。
それより怪我をしてる本人の方がずっと、つらいもの。
……牢獄?そんなところに、ずっと?
あのアーヴァインさんが――?
[アーヴァインが自らに行ったのは、単純にこの屋敷への招待のみだった。けれど彼女の言葉に、あの男への疑心が膨れ上がる]
それなのに、こんなお屋敷に招待するなんて……アーヴァインさん、何を考えてるんだろう。
でも此処に居ればきっと安心だよ。皆、優しい。これって軟禁かもしれないけど、わたし達がお互いを傷つけるようなことなんて、あるはずがないから。
[彼女の言葉に、ちら、と菫色の少女へ目を向け]
大丈夫。大丈夫だよ。ここにいればきっと大丈夫……
[――だと、思いたかった。]
[...は、シャーロットのくすくす笑いに恥ずかしさを隠した笑い顔を作って返す
しかし少女の言った言葉を把握すると、混乱したかのように首を傾げて]
あんな扱いを受けたんだから怒ってやったって…ん、
セシリア……ってのはおまえが嫌がった名前だよな。
おまえのは、おまえが、悪い、だけ…?
>>90
そうなのかな、優しい、なんて
自分ではわからないし、自分で言うのも驕ってるし、ね。
[でもありがと。とナイジェルに微笑を向ける。
不思議そうな視線には、なんでもない、と首を横に振った]
―――セシリア、が?
[久々に口にしたその名前。
彼女のことではない。彼女はナイジェル。セシリアじゃない。]
>>92
牢獄と言えば言葉が重たいけど、私がここへ連れてこられるまでにいろいろな事があったもの。
きっと、シャーロットさんあなたも・・・何もなかった、という事はないですよね・・・みんな何か訳があってここにいるはずですし。
私は大丈夫。心の平衡感覚は決して鈍ってないはずだもの。けして。
[ネリーはシャーロットの言葉がまるで自分に言い聞かせているように感じられた。]
[漸く席に着きながら少女達が自分の事を口にして居る様子に不思議そうな視線を送り、気遣われているのに言葉を探し視線は彷徨うも自身の状態を想えば大した言葉も浮かばず]
「其の内、治る、から」
[遠慮がちに微か動いた唇が紡ぎ、男の問いに一拍は其の顔を見詰め]
「私は、セシリアじゃ、無い」
[男の双眸を覗く紫水晶は何処までも静かで、他人の事を語る様に其の名を紡ぎ、同室の少女の言葉にも淡々と頷いてカナッペに手を伸ばし]
「セシリアは、壊れちゃった、から」
[サクリ]
[何時も通りの様子でカナッペを齧り手当てして呉れた少女の視線に瞬く]
>>95
確かに此処は何か訳がある人ばかり、みたいだけど……
[罪――罪――しかし、与えられる筈の罰ではなく――]
[――此処は虚飾の牢獄なのか――]
[―――否。良い方向に考えよう。それが一番だ。]
理由はどうであれ、わたし達はアーヴァインさんに……
保護というか。買われたというか。
彼が心の優しい方ならば、良いのに。
[ふっと息を吐いて。
翡翠の少女へ向き直り、微笑んだ]
杞憂ばかりでは気が滅入るものね。
それよりもっとたのしいことを。
[ナイジェルにつられて、カナッペに手を伸ばし、
はむ。と咥える。久々の食事。]
壊れ、た――そう。そっか。
ナイジェルにとってのセシリアは
……その。身近な人、だったの?
そのうち治る、か。
[そう答えているのを見るのは何度目だったか。
いつだって痛いとか苦しいとかそんな苦痛に塗れた弱音は一言も洩らさず、少女はただそのうち治ると答えるのだ。
悲しげに目を伏せるが、それでも遠慮がちに唇が動くのを見とめ]
ああそうだったな、悪い…。おまえはセシリアじゃない。
[――せしりあは、こわれちゃった、から。
人の名であるはずの「セシリア」を言い表して「壊れた」と伝える唇の動きが、どこまでも静かな紫水晶の瞳とは対照的にぞくりと背筋を震わせる]
壊れた…。
死んだ、とかじゃなくてか。
[それを治めるべく俯いて自分の首筋に手を当て、問いながら、返ってくるかもしれない答を顔を上げて確認*できるのかどうか*]
「アーヴァインは、人を買う、罪人」
[同室の少女の言葉に誰にとも無く唇は小さく呟きサクリとカナッペを齧って、続く問いには答えを持ち合わせていない様子で長い時間かけ視線を彷徨わせ]
「近くて、遠い、と、思う」
[カナッペを食べ終え指先に着いた破片を舌が舐め取り、男の言葉に頷き続く問いに不思議そうに瞬き、顔色一つ変えず其の双眸を見詰めて]
「壊れたから――」
[続く言葉を唇が紡ぐ前に口を噤みふるふると首を振って]
「悪いのは、全部、セシリア」
……罪人。
[ぽつりと少女の言葉を復唱する。
信じてみたかった男性だったけれど
彼女の言葉は余計に信じたくて――ジレンマ。
思索の内に、カナッペを一枚、食べ終えた。]
悪いのは、セシリア。
ナイジェルは、悪くない。
それだけで、わたしは十分だよ……
[菫色の少女はわからないことが多くて。
でも目の前にいる彼女は悪くない。悪くない――]
ナイジェル……先に戻ってるね。
[かたん、と席を立ち、彼女へ微笑を向け、
*広間を後にした*]
「ありがとう」
[同室の少女にふわと微笑み見送れば男へと向き直り]
「セシリアが、壊しちゃったから――」
[まるで逆の言葉を音も無く紡ぐ唇は、長い前髪に隠された其の表情は、纏う雰囲気は、面に出す出さないは関わらず此処に着てからの様子を見てきた周囲を驚愕させるに充分過ぎる程に冷たく艶やかで]
「――殺されたの」
[そっと胸元に手を置いた侭に普段の表情に戻れば右足を庇い立ち上がって]
「私も、休む、おやすみなさい」
[残る者達に就寝の挨拶をして頭を下げ同室の*少女の後を追う*]
[目の前で揺れる赤い液体。神の血とも呼ばれるその液体を口にして]
…血は、もっと甘く甘美よね。
[ふいに口を突いて出る。言葉にしてから己の紡いだ言葉に首を傾げた。
私は血を舐めたことがあった?
何故甘く甘美だと知っている?
己の中で何かが変化しているような気がした]
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