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[──……情欲と食欲に灼き尽くされた脳髄からは、ネリーのことも、シャーロットのことも、炉に落とされた水滴のように瞬く間に蒸発して消え失せた。
もう止めることは出来なかった。]
[彼はナサニエルの肉体を、二つながら貪った。
ハーヴェイの時と同じように、だがそれよりはもっと時間を掛けて、快楽の時を引き伸ばすように。]
…心臓の音が聞こえる。
いいわね、生きてるって。
パパじゃなくて、あなたが死ねば良かったのに。
ずっと、ずっと悪い夢の中にいるみたい。
私、今、あなたを殺したいわ。
理由なんて無い。
ただ、やり場の無い感情の捌け口として。
[ネリーの胸から顔を上げて、ナイフで軽くネリーの上半身の衣服の一部を切り裂いた。あらわになった白い肌に残る傷だらけのネリーを眺める。]
…傷だらけね。
あなたって何時もそういう役割みたいじゃない。
それで…いいの?
[幾度も幾度も愛の言葉をその耳に囁いた──耳そのものを喰らうまで、そして喰らった後も耳孔にそれを吹き込んだ。
上がる苦鳴には励ますように、共に絶頂を迎えんとするように。
啜り、啄ばみ、咬み裂き、呑み込む。]
──あいしている。
あいしているよ。
[声の低さは変わらず。
小さな笑みの形に口唇を歪め、ネリーの利き腕にナイフを握らせ、囁くような声でネリーに告げる。]
──ネリー。
私を殺してみる?
私は…ただでは殺されないわよ。
ましてや考えなしのあなたなんかには。
私が殺される時は、もっと私の事を見てくれる人よ。
[鎖骨や胸元があらわになる。つい先刻、ナサニエルにつけられたものもある。]
この傷は…私が望んだものよ。
みんなみんな、私を想ってつけてくれたもの。
あなたのように、ただの衝動的なものとは訳が違うわ。馬鹿にしないで。
[ふと、リックやナサニエルの顔が浮かんだ。ボブも含まれているだろうか。]
[ギルバートの牙が、己が肉体を浸蝕する。
組織が剥がれ、筋肉が音を立てて裂け――もはや自分の身体の一部ではなく、ただの血と肉の塊になってゆく――]
ああ………
俺の「野性」と、同じ……!
熱い塊が、ゆっくりと、お前に取り込まれてゆく……!
ああ………もっと、もっとだ………!
俺の血を、肉を、お前の牙で「野性」のかたちに還してくれ、ギルバート………!
[目の前で光る赤いチカチカとしたヴィジョンの中で、ナサニエルは首をのけ反らせ、喉仏のかたちを、はっきりと見せつける。]
[気がつくと私はナイフを握っていた。
そしてシャーロットが私に向けて何かを囁く。私は目を一瞬逸らしたが、はっきりとした口調で告げる。]
な…っ
何言ってるの、あなた。
私にシャーロットは殺せない。
もっともっと、つまんない人ならいざ知らず。
あなたは人狼と言うのなら、すべき事ははっきりしているでしょう?
[苦悶の表情、呻き声。]
[あかい、あかい、ひろがる、世界。]
[痛み、苦しみ、全ては、いのち。]
[裂ける音。
砕ける音。
破裂の響き。]
[あいして。
あいして。]
「望んだ傷」「私を想って」
……気持ち悪い考えだな。
それともそう考えないと生きて行けないのかしら。
まったくもって理解出来ないけど。
…ううん、私には関係の無い事ね。
[相手にナイフを握らせたと言うのに、ゆっくりと乱れた髪を掻きあげてネリーを見つめている。人狼として覚醒したものの、或いはまだ人生経験の少ない少女特有の傲慢さがそこにあった。
今までの話の流れも忘れたように、首を傾ける。]
人狼としてすべき事って何?
[仰け反った喉に牙を当て、血管を探り当てて切り裂き、溢れる血を啜る。
こんなにも頭は灼け爛れ、逸っているのに、何故か頚椎を砕かぬように、頸動脈を破ってしまわぬようにと気遣うのは忘れなかった。]
[幾度も幾度も貫き、揺すり上げ、吸わぶり、それがもはや肉体が激しく損なわれた所為で形態的に不可能になるまで、彼の中に肉の剣を突き立てた。]
[――すべては、官能の為に。]
[鳴らない喉が、ヒュウヒュウと音を奏でる。]
[肉体が、少しずつ「目には見えぬもの」へと変貌してゆく心地と、身体の芯を深く深く貫く心地。]
[―――血肉と為った、悦びの証。]
[シャーロットは私個人の本質には興味がないようだった。無知ゆえの行動なのか。笑いと興味の顔を浮かべて覗き込まれる。
シャーロットは私よりも若い。通じるか分からない。いや、常識では分からないが今の彼女には通じるだろう。ネリーは本心を告げた。]
この街には、この街の掟がある。あなたも朧げに見えている筈よ。
それを守り、伝えていくこと。
そして何より――人狼を遺していくこと。子を産むこと。
繁栄、とまでは言わない。でも、守り抜かなければならない。
だから、私は軽はずみに死ぬつもりもないし、あなたを殺めるつもりもない。
[──ネリーの言葉に、
安置所でのヒューバートと濃密な交わりが、唐突に甦る。
一瞬、また凶暴な衝動に駆られたように…──ネリーの首を絞めかけ、すぐに手を止める。
涙が零れて来た。]
──…ネリー。
私はこの町を出て行くわ。何も守らないし、何も伝えない。
パパ以外に誰も愛さないし、誰とも交わらない。
子どもなんて産まない。
[ネリーの上から漸く身を起こして、庭に残されたヒューバートの遺体を涙を堪える為に睨みつけた。シャーロットは立ち上がる。]
っ………。
[思い出したかのように首に両手を乗せられ、目を瞑る。
だが力は込められなかった。]
そう…
[身体が軽くなり、ネリーは上半身を起こした。
シャーロットの顔はどうなっているのか分からない。思わず大粒の涙をネリーはこぼし始めた。
ネリーは起き上がり、気がつくとシャーロットを後ろから抱きしめていた。両脇を通し、彼女の胸の下あたりで優しく腕で覆う。
私の胸が当たるのも構わず、耳元で小さく告げる。]
シャーロット…死んでは駄目よ…
[ネリーに抱きしめられ、驚いたように振り返る。
衝動的に、ネリーの柔らかい身体に抱きついていた。首を横に振り泣きじゃくりながら、]
…死なないわ、ネリー。
だって、愛で死ねたらいいけれど、
それじゃあ人は死なないって、知ってしまったもの。
でも、誰ともしないの。
私は永遠にパパだけのもので居たい。
[…ごめんなさい、ありがとう。
とネリーの耳元に唇を寄せ、シャーロットは微かな声でそう告げた。ネリーから身体を離し、シャーロットは庭へ降り立つ。
再びヒューバートの遺体の傍にしゃがみ込む。
動かないヒューバートの髪を丁寧に撫で、血塗れの額と口唇にくちづけを落とす。]
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