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[ベッドへとシャーロットを寝かせて。
シーツを掛けると]
……傍に居てあげてください。
一人じゃ、彼女も寂しいでしょうに。
私はナサニエルさんを部屋に寝かせてきますから。
[シャーロットに向かって小さく十字を切り。]
[――おれを一人にしないで]
[鼓膜の奥に木霊する男の声にゆっくりと瞬き、ベットへと横たえられる青の少女を見詰め、牧師が十字を切るのを何処かぼんやりと眺め、視線は思案気に彷徨い牧師へと戻る]
「ナサニエルを、一人に、したく、ない
目が、覚めた時に、傍に、居て、あげたい
でも、シャーロットも、一人だと、寂しい
如何、すれば、良い、かな」
……困りましたね。
[ベッドにはシャーロット。
ソファーにナサニエルを寝かせればセシリアの寝る場所がない。]
……ナサニエルさん床に転がしておきますか?
で、セシリアさんがソファで眠れば一緒に眠れるでしょう。
[男を床に転がすと言うのにふるふる首を振り更に視線を彷徨わせ]
「ナサニエルは、ソファに、寝て、貰う
私は、シャーロットと、ベットで、寝る、から」
――何故、謝るの?
[目を開けたと同時に発せられる声。
はっと状態を起こし周りを見渡せばどうやら一人だったらしく。]
血の匂い……?
[嗅ぎ慣れたその香り、に罪人ばかり集められたというのに殺し合いをしそうな人間はいなかったな、と思考を巡らす。]
薬の効果とやらかしら、ね。
誰が死んだか知らないけれど。
[足を組み、寝過ぎた頭を起こすようにゆるりと首を振る。]
……分かりました。
じゃあ連れてきますので、そこで待っててください。
[そういうとナイジェルを残して、ナサニエルの元へ。]
……男の身体は重いから嫌なんですけどね……
[彼を背負いあげると再び部屋へと戻る。]
[牧師が部屋を出ている間に覚束無い足取りで青の少女へと歩み寄り、頬に張り付くあかく染まった青の髪を伸ばした手が梳いて、また涙を溢す前に浴室へ向かい清潔なバスタオルを濡らし、青の少女のもとへ戻れば血に塗れた顔を、手を、そっと拭って]
………
[美しい両の手を胸元へと重ねて置き見詰めていれば、牧師が男を抱えて戻ってくるのに視線を移し]
「ごめんなさい、ありがとう、ルーサー」
一度に一人しか殺せないのよね、人狼は確か。
[紙きれの内容を思い出しながら、考えたのは「ならば今夜は安全か」、とかそんなこと。]
……人が人を殺してなければね。
[立ち上がり、シャワーでも浴びようと二階へ上がれば人の気配がして何となく歩む。]
……いえ、構いませんよ。
二人の傍に……ゆっくりついててあげてください。
[ナサニエルをソファへと寝かせると毛布を被せて。
幾許か綺麗になったシャーロットを見つめて]
[牧師の言葉に頷き人の気配に開いた侭の扉の向こう、廊下へと視線を移せば女の影が映るだろうか]
「ローズマリー」
[首を傾げ其の名を唇だけが紡ぐ]
……殺されたのはシャーロット?
[悼みや悲しみの色を含まぬ声で、ただ疑問を口にするも
見てわかることなのか返答を待っているでもなく。]
彼女が人だと、宣言してしまったせいかしら。
――私を殺す方が早いのに。
[まだネリーの死を知らぬ身ではシャーロットの死は人狼の仕業だと考えるのが自然だと思ったようで。]
……ええ、まぁ。
[シャーロットだけではないが。
ナイジェルの前で口にすべきかどうか逡巡し]
……そういえばシャーロットさんも人狼に殺されたんですかね……
[ネリーは確かに超常的な力で殺されたが……
どうなのだろう、とナイジェルを振り返る。]
[――…殺されたのはシャーロット?]
[女の言葉に一拍だけ瞑目し、続く言葉に瞳を見開いてふるふる首を振るも、如何否定すれば良いのかも判らず唇は言葉を探し微か震える]
……あ。
[失言に気付いたのか口を軽く押さえ。
逡巡した後、どうせ広間にいけば分かることだろう、と首を振り]
……。
ネリーさんが、殺されました……
[逡巡の後に紡がれる牧師の言葉に見開かれた紫水晶の瞳は揺れ]
「そん、な....」
[張り詰めた緊張の糸は其の言葉に堪え切れる程に強靭では無かった様で、僅か眼を細めた後にゆらと顎が持ち上がり、とさりと倒れ込んだ背後がベットだったのは不幸中の幸いか、両足を床に落とした侭に青の少女の傍ら*意識は遠退く*]
[紡がれる言葉に怪訝な顔をし、]
―― 一人じゃないの?
ネリーも……。
[変ね、と囁く声は少しの甘さを含んでいるか。]
ま、人狼が今夜人を殺したなら、今は安全なはず……。
私はどうやら寝っぱなしだったようだしシャワーでも浴びてくるわ。
あなたたちも、今のうちにゆっくり休んでおくことね。
[体調は回復し、そろそろ次の生者の調査を視野に入れてか
もう一人の被害者の名を聞けばさっさと*自室へ帰ってしまう*]
……。
[言うんじゃなかった、と後悔の気持ち半分。
セシリアをきちんとベッドへと寝かせると部屋を出て。
自室に戻るも到底横になる気にはなれず。
ベッドに座ったまま、*窓を見上げた。*]
[目蓋の裏]
[目覚めぬ]
[青の少女]
[緑の少女]
[夢現に唇は戦慄き迷子の手は中空を彷徨って、震える睫毛がゆっくりと持ち上がれば、握った侭だったらしい硝子細工がシーツの上へと転がり、ぼやける視界に自身の傷以外であかい手が映り込み、瞬いて中空の手は空気を握り締め脇へと降りる]
………
[ゆるりと身を起こし周囲を見回せば差し込む日差しは明るく、既に女も牧師も姿は見えずにソファで眠る男の様子に一つ安堵の溜息を溢し、傍らの青の少女の寝顔を見詰めそっと白い頬を撫ぜる]
「おはよう」
[かける声も応える声も無い侭に、ベットを降りクロークで服を選んで浴室に向かい、あかく染まった服を脱ぎ捨て熱いシャワーを浴びれば、自身の傷は殆ど塞がったと言うのに排水溝へと流れる水はあかく、洗い流されれば傷だらけの肌はしろく]
………
[鏡に映り込む胸元の傷は未だ深いけれどもう塞がり、伸ばした手は鏡越しに爪を立て表情は歪む]
[丈の長い青のワンピースに、菖蒲の刺繍の施された大陸のデザインの靴を履き、部屋へと戻りベットへと歩み寄り青の少女の安らかな寝顔を覗き]
「シャーロットと、お揃いの、服」
[唇だけが微かに何事かを語りかけるも読み取る者も無く、ふわと微笑みあかく染まった硝子細工を手に取り、両手で包み額へと引き寄せればともすれば祈っている様にも見えただろうか]
………
[向き直りソファで眠るへと歩み寄って、直ぐ傍の床へと腰を下ろせば、スカートの裾がふわりと広がり、ソファと合わせて設えられたらしい背の低いテーブルに肘をかけ、身をもたせて男の寝顔を見詰め、そうっと青の髪を梳いているうちにはまた*眠ってしまうかも知れず*]
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