情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
元愛人と愛息の担任教師の遺骸を安置所に収めて帰って来た夫は、頭を骨と脳髄が覗くぐちゃぐちゃの塊に変えてキッチンの床に横たわっていた。
傍らには、マグカップの破片と零れたコーヒー。
妻は、子供部屋で先生の死に心を痛める息子を寝かしつけながら、どうやって死体を片付けようか考えている──。
[死者にはもう興味がない、と言わんばかりにヒューバートに背を向け、悠々と室内に戻って行く。
亡骸を抱いたシャーロットを後にして。]
[私はギルバートをただ見つめ、見送っていた。
彼にはきっとまだこの街で残された事があるのだろう。
私は依然「彼」を抱いたまま、ギルバートや父娘を見つめていた。]
[一糸纏わぬ姿の男の唇が、開く。]
―――素晴らしい。
[ナサニエルは、喉の奥から這い出すような音を響かせた。]
ところで、ギルバート……
俺はお前に、頼みがあるんだ。
聞いてくれるか………?
[ギルバートを、チラリと見やった。]
─ナサニエルの家1階の小さな部屋─
[結局ぶち破った窓からもう一度中に入ることにした。
窓際のネリーの頭をぽんと叩くと、奥のナサニエルに向かって歩いて行く。]
[少しだけ首を傾け、ナサニエルを見詰める。
その瞳は黄金に染まったまま──元々の輝きを取り戻したままで。]
頼み、か。
ちょうど俺もアンタに話があった。
[ギルバートがナサニエルに近づく途中に私と私と擦れ違った。その際頭をすこし叩かれる。
いろいろな感情が入り混じり何とも表現できないものであったが、これまでの長いやりとりが生んだものかもしれなかった。
私はそれを好ましいものだと感じた。]
まずは、くだらない身の上話からさせてもらおうか………
[小さく、笑う。]
俺は最近、ヒトをひとり殺してきたんだ。
お前が俺に与えた、「死」の官能――俺は他人の死を感じる度に、俺はどんなクスリよりも激しく甘い恍惚を手に入れることができる―――そんな身体になったモンでな。
―――ならば。
誰かが誰かを殺すのをただ待ちわびて居るよりも、自分で誰かを殺せば良いじゃないか――と思ったわけだ。
[大仰に両腕を広げ、声を張り上げた。]
結果は、どうなったと思う……?
[ヒューバートの腕は動脈が大きく切断されているのであろう。
腕の傷口から血飛沫が舞い上がる。噴出する勢いで血管が更に破れ勢いは増す。
腕の中で、愛するものの生命が完全に失われる音を聞いていた。心臓が停止する最後の音まで。──ただの人間で有れば、聞くはずの無い音を。
じっと、愛する男の目を見つめたまま。
涙腺は壊れたまま、滂沱の涙が落ちる。]
[ギルバートが室内へ入った事には反応せず。
動かなくなったヒューバートを、丁寧な動作で地面に横たえ。シャーロットは、ヒューバートの頬に両手を差し伸べると、彼に深くくちづけた。]
……………世界で一番愛してるわ、パパ。
[ギルバートが窓から完全に室内に入ってしまってもまだ、シャーロットは長い時間を掛けてキスをしていた。
暫くして、ヒューバートの下唇を噛むように強く吸い、唾液を滴らせながらくちびるを離す。
シャーロットは焦点の合わない目のまま、ギルバートの入って行った方向。そして、ネリーを見た。]
[目の前の一見華奢な少女にドキッとする。
彼女はこれほど意思を持った人物だったか。私が言うのもナンセンスだが、それだけの何かがある。]
あなた…シャーロット…?
結果は………………
[目を細めて、ギルバートを見つめる。]
―――最悪だったさ。
人間の身体を、ただの血と肉の塊に還す「作業」が、こんなにも退屈で、骨が折れるものだとは思わなかった………!
いやァ、お前にゃ頭が下がるよ。
毎夜毎夜、狩りをする本能――所詮「血族」でしか無い俺が真似しても、何の意味もねぇってことだな………
[ククッ…と小さく喉を鳴らし、そして――]
――やはり、俺は「お前が与えた『死』」でないと、勃たねぇみたいなんだ……
どうしてくれンの?俺のこと………
[低く囁くような声。]
…ネリー。
あなたはどうして此処に居るの?
それに、あなたが抱えてるそれは何?
[シャーロットはすでに窓際まで来ている。
ウエストに挟み込んでいたナイフを取り出し、無造作にネリーが抱える荷物を包む布を切り裂こうとする。それは、柄が極端に短く、刃ばかりが異様に鋭利な特殊なナイフだ。]
[短い間。短い沈黙。]
[目を上げて手を伸ばし、ナサニエルの頬に触れた。]
──では。
本当の「死の官能」を、お前にやろう。
[呟いて、静かに息を吐いた。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新