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あっ…ローズ…ごめんなさい、呼び出したりして…。あのね、わたしのカードケース…見なかったかしら?茶色の…これ位のサイズなんだけど…。
[少し気だるそうに、ため息を吐きながら顔を出したローズにわたしは、縋るような表情で指でケースの大きさを示し、問い掛けへと変えた。必要以上に表情を盗み見てしまったのは――…]
ロー…ズ…?
[わたしはローズの中に、何処か思い詰めたような、しかし明らかに何かに囚われている女特有の雰囲気を見出してしまい、胸が甘く痺れるような感覚に陥った。]
[咲き零れる花びらの先端から、とろりと零れる誘惑の吐息。自分の性を知りそれを逆手にとって艶麗に変える様は、きっと無意識の内にローズの中で行われている嬌態の一つだろう。世間体にも囚われない自由であるが為に得られた術。それは決して純潔など馬鹿らしいものを崇拝していては手に入れることなど出来ない。]
[わたしは教壇に立つ度。純真無垢な生徒達に潔癖と純潔の尊さを説く度、子孫繁栄に繋がる行為との矛盾した関係性に反吐が出そうになる。
「子供を作るには唇を重ね、胸を弄り、舌と指でお互いの性器を舐めあい興奮を高め、潤滑油となる体液を零しあいながら激しく体内を突き上げる事だ」と、真実を声高々に言えたなら。どれ程楽になれるだろうかと常に思う。そして教壇に立つわたしだって、男の性器を弄り、女の胸に舌を這わせて居るのだと言えたなら――]
[それに子供達だって本能で悟っているだろう。自分達がキャベツ畑の中凍死寸前で発見された事も、コウノトリによって脳内貧血を起しながら母の手に抱かれた覚えも無いことを。ましてや処女懐妊など夢のまた夢。
しかし、まれに疑う子も居るだろう。そんなことは嘘だと言い張る子も居るかも知れない。でもわたしは微笑を湛えて言い放ってあげるの。
「だったら何故お父様とお母様、男女が対になって夫婦として認められているの?」
「今度お父様とお母様の寝室を覗いてらっしゃいな?きっと薄っぺらなゴム風船が、しわくちゃの紙と共に見つかるのだから」と――]
う…ぅ…
…に…ぃ…さ……ん…
にい…さ…
[シーツを握り締める手は白く、血管が浮き出ていた。
額には酷い寝汗が浮かび、うわ言は途切れ途切れに。
巡る夢─
鞭を振るう父の恐ろしい形相
熱湯を浴びせた母のさげずんだ目
そして─]
何で…なん…で…
[ヘイヴンの町に来て知り合ったローズは、わたしの心の代弁者のようにいつも思う。周囲の偏見な眼差しを一蹴し、自由気ままに男を誘う。それはありとあらゆる拘束で縛り上げているわたしの憧れでもあり…嫉妬の対象だった。]
[彼女を愛しく思う反面憎く思い、快楽の淵で覚めない夢をお互いに与え続け惑溺してしまいたいと願う反面、地獄の底まで引き摺り落とし二度と這い上がって来れない様に押さえつけてしまいたいと求めてしまう。
でもそれは決して表には出してはいけない感情だと、きつく鍵を掛けたパンドラの箱――]
ローズ…?どう…したの?何かあった?
[わたしは心配顔を装って、彼女に近付く]
[するり――]
[左腕の結束は解け――]
[はらり――]
[床へと向かって螺旋を描き落ちていく。同時に罪に裏付けされた欲望が目覚めていく]
誰か…誰…か…
[何かを求めるように手を伸ばす]
[ビキ、パキ…ン]
[罅はいり、欠けた部分は勢いを増してその範囲を広げていく]
── 傷の熱が頭に陽炎を落とす ──
[あれは…いつだったか…。
兄に抱かれたり、兄を抱かされたり。
もう精神的にも身体的にもボロボロだった。
夢の中で俺は泣きながら兄の上に跨り、首を絞めていた。兄さんは笑っていた。
『死んでくれよ、ユーイン。お前が卑下し続けた、たった一人の弟の最初で最後の頼みなんだよ…!』
くすくす笑うユーイン。
あの顔で笑いかけられて、胸騒がぬ少女などいなかっただろう。それでも弟から見れば吐き気がするほど嫌悪を覚えたあの顔。
『いいよ、死んでも。俺はハーヴの願いをかなえあげる。
だからハーヴも俺の願い…叶えてくれるよ…ね?』
約束…そう、約束。
忌み嫌うこの土地に、何故戻ってくるのか。
何故忘れたい兄をいつまでも忘れられないのか]
[『ずっと俺だけを愛してて?
俺が死んでも、ハーヴェイが死んでも』
『いいよ、ユーインだけ愛しててあげる。
だから、俺を俺だけにして。
この世からいなくなって。』
結局俺はその時ユーインを殺せなかった。
だから頼んだ。死んでくれと。
ユーインは自分で遺書を書き、俺だけが知っている町外れの林の中で死んでいた。
ナイフを胸に突き立てて。
発見された時は、腹を食い破られ、内臓を引きずり出されてぐちゃぐちゃにされた死体が転がっていた。
きっと林の中の獣が食ったのだろうと推定され、近くに落ちていたナイフから、刺殺と『推測』されたのだ]
[両親はユーインの棺に取り縋って泣いていた。
最愛の息子を失った悲しみだろうか。
それともあとはこの出来損ないの息子しか残っていないという絶望感だろうか。
俺は後ろからそれを見て笑った。両親のそばではじめて笑った。
自分から手を下さずに、やっと開放されたのだ。
そして同時に、両親に死ぬ以上の悲しさを与えてやった。
とてつもない優越感と達成感で、噴出しそうだった。
それなのに、ユーインは決して俺を解放してくれなかったのだ]
[僅かな下着だけを残し、裸よりも扇情的に剥かれ、腕を拘束されて視界までも塞がれているネリーは、か細く声を漏らしながら不自由な躯をよじらせていた。
どうしてこのような事になってしまったのだろう。
決して私が望んだ事ではない。決して――]
ウェンディ――リック――
[ネリーは一人ごちる。]
[何とかここを抜け出さねば。出来る事なら誰にも知られずにここから脱出したい。
お店には破れた私の服もあるはずだ。あれに気づけば私の異変を察知してくれる人もいるかもしれないけれど。
ネリーは腕に力を込める。]
く…ん…んん…っ。
[カチャカチャと鎖や金属の拘束具が音を鳴らす。だがそれは矢張り、意味のない裸踊りに終わってしまうのだった。
かえってただ腕を痛めるだけに終わってしまう]
はあ…はあ…
あの時と…同じだわ……何もかも。
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