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[ギルバートの言葉に、自失した表情が向けられた]
――ギルバート……
これはどういうこと……だ……
[まるで、彼が答えを知ってでもいるかのように]
[シャーロットは、何度も瞬きをして立ち尽くす。
腕をもがれたヒューバートが地を転がる。
──得物を狙う金色の瞳。
一体、目の前で何が起きているのか理解出来ない。
永遠のような一瞬が流れ、シャーロットは電流にうたれたように身体を震わせると、ギルバートとヒューバートへ駆け寄った。]
ロティ……
[掠れた声でその名を口にする。
闇の中から現れた彼女は、幻なのか――
肘から先を喪った右腕と、手指の骨を砕かれ力を失った左腕を、彼女を抱きしめるようとするかのように掲げ上げる。]
[口唇を僅かに震わし無表情で、倒れ伏したヒューバートを見つめる。──ああ、腕が。彫刻家の、何度も自分に触れた愛しい父の腕が。ジリと足元の砂利を踏みしめる。
シャーロットは、ギルバートの『声』に弾かれたように反応し、瞳孔の開いた瞳のまま、ギルバートを見つめ返した。一体、何を聞くのかと言うように。]
シャーロット・バンクロフト
…パパの娘よ。
“シャーロット・バンクロフト”
[その名は、今は厳かな響きを帯びて瞭然と私の耳に届いた]
ああ……
[忝涙が滂沱のように双眸から零れ落ちる]
ロティ――
『──なるほど。お前がでは、ヒューバートの愛娘か。
はじめまして、シャーロット。』
[莞爾と微笑み、獣は優雅に身を屈め、古風な挨拶をした。]
[それは「聴く耳」を持たない者から見たら、ただの滑稽なパントマイムのようにしか見えなかっただろう。]
[囁きのようなくぐもった音が頭蓋を擽った気がしたが、それは明瞭な響きとして意識されない。
シャーロットに典雅な為草で挨拶をするギルバートをどこか茫洋とした表情で見つめていた]
[ギルバートのしなやかで大仰な身振りに、片眉を持ち上げ、]
どういたしまして『ギルバート』
[彼には聞かねばならない事が山ほど有る。
けれども、今はそれどころでは無い。睫毛を伏せて、無惨な姿となったヒューバートの腕へ視線を戻す。心臓がギリギリと痛んだ。そのまま、シャーロットは涙を流したまま茫洋とした表情を浮かべる父の傍にしゃがみ込んだ。]
『ようこそ、新たな同族よ。お前の覚醒と生誕を寿ごう。』
[それは、漸く得心のいく作品を作り上げた歓びの微笑に似てはいなかったか。]
[覚醒と生誕と言う言葉に、大きく眉を顰めた。
鮮血がしゃがみ込んだシャーロットの顔に飛んで来る。失われゆく生命を、心臓が苦しくなるほど実感するのは、すでに自分が人狼だからに他ならない。]
……パパ。
死なないで。
[傷口には触れないように、ヒューバートの首に腕を回し壊れ物を扱うように抱きしめた。]
ロティ……
[シャーロットを抱きしめる。
その柔らかな感触は確かに私の中の真実そのものだった]
ギルバート……
愛する人が居る者の答えは常に――
ただ、家に……
……かえ……り……たい…………
[馥郁とした芳香に夢幻と誘われながら……
――私の意識は*落ちていった*]
……さよなら、ヒューバート・バンフロフト。
最期に娘に会えて良かったな。
[自らが死に追いやった男に、彼は低く囁いて、手向けの言葉とした。]
谷間の町は死に瀕していた。
外界から隔たったこのヘイヴンの、更に小さく土砂災害によって切り離された一画で、あちこちから悲鳴や怒号、銃声が上がった。
打ち続く災厄が人々の心を打ち砕いたのか、閉じ込められた恐怖が本能に火をつけたのか。
理性の軛が外され、人間の奥底に潜む獣性が解き放たれた。
アーヴァインの屋敷は再び炎に包まれていた。
倉庫は彼が一次保管していた救援物資を奪う為に鍵がこじ開けられ、屋敷内もめぼしいものを奪うために荒らされた。
たまたま強奪者に行きあった電気工事工の親子は、発覚を恐れた強奪者によって口を開く前に射殺された。
「自衛」に熱心な猟友会の手によって不審な余所者が捕らえられた。
その男はほんの数日前にネリーを襲おうとしてギルバートにのされた、あの大男だった。彼は食料を奪おうとしてある家に押し入り、不首尾に終わって取り押さえられたのだった。
その場で死ななかったのが彼の不運だった。「善良な」町民達は、撃たれて重傷を負った彼の首に縄をかけ、容赦なく引っ立て、小突き回し、大きな木の下に連れて行った。
凄惨な私刑の末に、男は木の枝に吊るされた。
汚物を垂れ流しながら痙攣する男の周りで、それを祝うかのような銃声が鳴り響き、人々は歓声を上げた。
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