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カタ、カタカタ、カタ
[耳を押さえる。ああ、また鍔鳴りの幻聴が]
カタカタカタ、カタカタカタカタ、カタ
『もうだまされないぞ、大体刀など食堂には飾られていないのだ』
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ……!
[しかしその音はやがて食堂に居合わせたほかの客の耳にも届くだろう]
―2F食堂厨房―
[食器を綺麗に片付けながら声を聞く。
昼なのか夜なのか分からない空。
西に紅い紅い月。]
ええ、
そう―――ですね。
朝からずっとああだから……。
[窓の外を見る。
皿を取り落としそうになって慌てて掴んだ。]
――三階/自室→十三私室――
[其の手紙は、十三叔父に面会した時、必ず直接手渡すように、と父から念押しされていた物であった。間違いなく本人の元に届く事を必要として、さつきに送られてきた物であったのだろう]
……忘れて、た……うち。
……倒れはって、読んで貰えるんやろか……。
[不安げな呟きが唇を衝く。さつき一人しか居らぬ室内に、其の声は吸い込まれていった。それでも立ち上がって鏡に向かえば、映り込んだ中には明確な意志を宿した娘の姿があった]
……もしかしたら、目覚めていらっしゃるかも知れないじゃない。
……他の皆も、起きている様子だったもの。
[だが、さつきのつたない希いの言葉は、十三の部屋へと足を進めるほどに、春雪よりも儚く融け失せてしまうのであった――]
地震?では、なさそうだ。
[望月は食堂の壁を見回す。円月刀や甲冑の類はあるが、鍔が鳴る様な本式の日本刀は見当たらない]
これは……。
[はっとした。その鍔鳴りの音は、望月自身の持つ刀から発せられている]
[夜桜が食堂へと入ってくる。
手早く申し付けられた仕事を終わらせたらしい、翠もだ。
退出したさつきを見送り、それから入れ違いのような形で中へと入ってきた彼女に先生と呼ばれている男にも頭を下げた]
紅茶と…
[――ミルク。
新聞と牛乳を配達する鳶口少年は来なかった。
いつかは無くなってしまうかもしれないが、今はまだあったはずだ。
常に柔和な雰囲気を醸し出していると見え、それでいて異国風な面立ちの中の硝子のごとき碧眼が、時に人をひどく見下しているようにも見えてしまうのは気のせいだろうか。
…だからそんなシロタに、完全に新鮮なものではないと、さつきの師ならば肥えている舌を満足させられずに文句を言われねば良いがと思いながら、盆に載せたそれらを杏と呼ばれるメイドと話す彼の邪魔にならぬよう静かに運んだ]
…お待たせいたしました。
[枚坂が不自然に目を背けたまま語る事に気付いた。
帽子の奥から枚坂をじっと見つめる。]
『医者先生には、もしかして旦那様に死相が見えるのか…。
あたしでも何か不吉を感じる程だ……奇妙な話じゃあ無い。』
細かい話は分からぬのです。
自分には学が無いモンで…。
只、この場所をわざわざ選んで別荘を建てた事、水鏡を求め此処へ籠る様になった事、麓の村に屍鬼が出た──このタイミングで招待状を出した事。
…全ては偶然では無く。
[十三は動かない──未だ眠っている様に見える。
…──掠れた声で。]
何を考えてらっしゃるのです、旦那様。
鍔鳴り……?
[眉を寄せ、一歩厨房から食堂へ歩み出る]
望月様、其の刀―――
[翠の眼が見開かれる。
此の刀は、鳴いているのだ。
血が騒ぐような。]
[ぎょっとして思わず鍔の辺りを手で押さえる。しかし、いっかな音は止まらない]
なんだ、どうしたって言うんだ。
[思わず口走る。こんな鍔鳴り、まるで妖刀ででもあるかのように……]
[長髪の使用人が、紅茶とミルクを運んできた。
……それをいつまで楽しめるかも、今は知らずに。]
ありがとうございます。流石に名だたる名家ですね、素晴らしい紅茶だ。全てにおいて抜かりはありませんな。
……このように奇妙なこととなっても、日々は変わらずに在りたいものですな。
[そう呟いて、ティーカップに口をつける。
が、]
……なんですか、この音は?
[腐っても楽師である。その耳は微かな金音のような響きを捉えていた]
また、いつぞやの幻聴というやつですかね?
この場所……
そう……貴女はどんな話を識っているんだろうね。
たわいもない話だよ。
死人が黄泉がえるとか、動き出すといった話は……
[その声はひどく乾いた響きだった。]
「――振り返ってはいけない。振り返ると死人が――」
[旧い記憶が囁く。
だが、仁科は天賀谷に語りかけていた。
私は、ゆっくりと振り返る。
そこには部屋を出た時そのままに静かに横たわる十三の姿があった。]
どうしたのですか。
其の刀。
お前は――何を呼んでいるのですか。
[不吉な耳鳴りのように
小刻みに震える鍔鳴りは食堂に響いた。]
幻聴でしたら、
皆様の耳に届く筈が……ありませんでしょう。
[コルネールの言葉に小さく呟き、
視線は刀に注いだままで。]
(ふぅ……)
[なぜか感じていた緊張の糸は急に途切れ、私は虚脱したようにその場で息をついた。
眼鏡を外し、眼鏡拭きで丹念に拭う。
少々疲れているのかもしれなかった。
彼に死の予感を感じるとは。]
……?
[水を飲んだ望月が、空を見やって呟いた後耳を押さえ始めた。
失礼と知りつつ怪訝な表情でそれを見てしまい、加減が悪いならば枚坂先生を探し来て頂くべきだろうかと考えていた矢先のことだ。
妙な音が響く]
一体何を……?
[どう見てもそれは、望月の持つ刀から発せられている。
この場で刀を抜くつもりだろうかと、思わず慄いた。
だが気付くまで所持する本人までもが辺りを見回していたのだから、彼の意志で鳴らしているわけではないと思い直す]
刀が勝手に……動いているんですか?
[屋敷を閉ざすかのような赤い光で空に輝く月も奇妙だが、今目の前で起こっていることも奇妙には間違いない。
心もち後ずさり警戒しながらも、注目は続ける]
[背を駆け抜ける悪寒がある。しっかりとどめておかねば今にも刀が鞘走るのではないかという、意味も無い恐れもまた]
止まれ。
[その声は必死だった]
……落ち着け、落ち着くんだ。
[誰かに言い聞かせるかのように言う]
誰か。
は?
[望月の声に面食らいつつ、
鍔鳴りは更に大きくなっていく。
これは拙い。
拙い気がする。
大きく息を吸うと]
失礼します!
[傍にあった硝子のコップを取ると、
望月に向け水を―――]
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