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[...は、首を傾げつつ、片手ににゃーのるどを抱えたままでさっき注文したフライドチキンをぱくり]
………………………っっっっ!!!!!
[辛口チキンが当たったらしい。じたばたしている]
は〜い、おやすみなさ〜い。
自分もいい加減、薬飲んでねなきゃなぁ。
(でもレッドホットチキンが辛くてなかなか食べ終えられない奴。
辛いの苦手なくせに、たまに食べたくなる)
[――セリアの部屋。食堂でもらったオレンジジュースをテーブルに置く]
…セリアさ〜ん?
[部屋の中を見回すが、セリアの姿は見当たらなかった]
お部屋には戻ってないのかな?
まさかそのままお仕事に戻ったわけじゃないよね…。
セリアさ〜ん?どこですか〜?
[...は、部屋を出てセリアの姿を探しに行った。
誰もいなくなった部屋の中で、グラスについた滴が一筋*こぼれ落ちた*]
おやすみなさい、ヒューバートさん
[...はパタリと布団の上に倒れ込んだ]
…よく考えると服のまま湯舟に浸かってたり、お酒煽ったりしたんだから体調おかしくなってもしかたがないか。
…此処まで来て何やってるんだろう
[...は溜め息をついた]
[クインジーの『…脆いもんだよ、命ってのは。物みたいに、簡単に治せやしねぇ』が気になりつつも*downした*]
……体がダルイと思ったら、雨にゃのね…。まあ霧雨ってのは温泉の風情をまた違う色で醸し出して、それはそれで美しいものにゃのにゃが…
猫には、単純に、雨はダルイにゃ……。
[にゃーのるどは、さあぁと空気を掠るような、静かな霧雨の音に、耳をぴくぴくさせている]
涙雨のようにゃね…誰かの心がこんにゃ風でにゃければ良いにゃが……。
[にゃーのるどは、後ろ足で耳のあたりをコリコリとかいた。そしてもう一度窓の外を眺め、重そうに、しっぽをゆっくりと動かしている]
温泉は体を癒してくれるにゃが、ヒトの心を癒すのは、本当は誰かの言葉や存在が一番にゃ。ここにいる間に、皆が皆の心の温泉ににゃれば、いいにゃあね……。
[...は雨音で目が覚めた]
降るならいっその事スコールの様に降ればいいのに…
[モゾモゾと起き上がり机の上に置いてあるパンと水を手にする]
……。
…くちゅん!
[寒気を感じて目を覚ませば見慣れぬ風景。
段々意識が覚醒してくると、談話室でうとうとしてそのまま眠ったのを思い出す]
あのまま眠っちゃったのか…。
風邪引いちゃうや…
部屋戻ろ…。
[よっと起き上がると*部屋に戻った*]
[――昨夜、まだ夜も明けぬ頃。
立ち入り禁止の札を風呂場の前に置き、...は壁の修理を始めた。
損傷の範囲が酷く、おまけに人手も足りない現状。恐らく一日では終わらないだろう。
月明かりの中、黙々と作業を進める。
と、後ろに人の気配を感じ振り向いた]
…誰だ?
[振り向いた視線の先には、荷物を持ったセリアの姿。
名残惜しそうな、けれどどこか清清しいその表情が、月明かりの中に照らされる]
……、そうか、行くのか。悩みは吹っ切れたのか?
[ありがとうございました、と深々と頭を下げた姿に、...は静かに声をかけた。
悩み事は何かは知らない。けれど、仕事の合間に思い悩む表情を浮べていたことには気づいていた。
何も出来ぬまま、此処まで来てしまったけれど]
何もしてやれなかったなァ…アンタとはもっと喋りたかったんだが。
皆、感謝してたよ。良く働く娘だと。
忘れるな。此処は、アンタのことを必要としてる。だから…
いつか、落ち着いたら戻って来い。その時は、美味い料理をご馳走してやるよ。皆待ってるからな。
大丈夫、アンタの行く道は【前途洋々だよ】。
…元気でな。
[静かに言うと、セリアはもう一度会釈してその場から立ち去った。
微かに見えた表情は、微笑んでいたと…思いたい]
[その後――作業が半分程進んだ所で、夜が明けてきた。
朝が早い客なら朝風呂に入る時間だろう。
温泉は旅館の名物、一日中閉鎖している訳にも行くまい。
一応露天風呂に向かう道に立ち入り禁止の札をかけると、...は風呂場を後にした]
…雨、か。
[部屋に戻る途中、ぽつり、ぽつりと降り出した雨。
雨は好きじゃない。けれど、疲れきった...にとっては心地よい*子守唄となるだろう*]
[――談話室。窓際に腰掛けて、外の雨を眺めている]
…セリアさん、新天地に行っちゃったんだってね。
女将さんから聞いたよ。
もっといろんなお話、したかったな。
[膝を抱えて、少しだけ顔をうずめる]
あたしはいつも追い越されてばっかり。
昨日は並んで歩いていた人も、今日はずっと遠くに見える。
セリアさん…今頃どうしてるかな?
[...は、一冊の本を取り出した。題名の書いていない、真っ白な本]
…あたしは過ぎ去っていった人のことしかわからない。
[...は、誰にともなく、歌うように語りだす]
人生はまるで本のよう。
楽しいことも、悲しいことも、全部入った一冊の本。
辛いこともあるけれど、ずっとそのままなんてことはない。
ページをめくれば、いつかは楽しいお話になる。
今日のあたし、昨日のあたし。
どちらも同じ『セシリア』だけど、どこかで何かが違ってる。
1か月前のあたし、1年前のあたし。
どちらも同じ『セシリア』だけど、同じだなんて思えない。
あたしが知ってる『セリアさん』も、長い物語の1ページにすぎない。
ちょうどこうして、しおりの挟まった1ページ…。
[...は、真っ白な本に銀のしおりを挿し、ぱらり、とそのページを開いた]
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