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……はぁ。
[再びの溜息。
ぐるぐると思考が同じ所を回り続ける。
そうしているうちにいつも時間ばかりが過ぎる。
自分の悪い癖だ。]
……こんにちは。
[思い切って扉を開け、傘を閉じながら中へ進んだ。]
[ローズマリーは店の戸口に誰かの気配を感じた]
…誰かいるのかしら…?
[ローズマリーは店の扉を内側からノックしてみた]
[遠退く意識の端で、わたしは男の人の声を聴いたような気がした。
聞き覚えのある声。手を伸ばしたのは無意識だろうか]
あ…せんせ…ぃ…やっと…帰ってきたんです…ね…
――雑貨屋前――
[まだ雨脚の強い中、出て行くニーナを見送ろうと後について店先に出た。突風が雨粒を叩き付けてくる]
ニーナ。
気をつけて。
[それだけ言って後ろ姿を見つめた。店内に戻ろうとして、反対側からやってくる徒歩の姿に気づいた]
[扉をでようとしたところで自分の名前を呼ぶリックの声に少し足を止め]
…何?どうか、した?
[少し首をかしげるも、時折ちらりと扉の外を見やるのは彼女にしては珍しく気がせいているからで]
…ああ。
ハーヴなら会いたいわ。
でも、さすがに私は未成年だもの。
酒場まで追い掛けて入るわけには…。
[ライトが道筋に光ってみえ、丸っこいフォルムの小さな車がもう一台店に近付いて来る。ハーヴェイを見逃したのが悔しかったのか、今度はシャーロットは窓をあけて、雨の中、身を乗り出した。
ライトに浮かび上がる、向かって来るの車の運転席には──、]
……カウボーイ?
[ヘンな帽子、と呟きかけ。
運転席の男、と目が合った気がして、シャーロットはとっさに車内に身を引っ込め、頭を低くした。]
きゃ!
[気をつけて、という言葉に瞳を細め小さくうなずき]
ええ、ありがとう。
鍵は持って出るから、戸締りよろしくね。
[いってきます、と扉を閉める。
小さく息をつくと、傘など邪魔だと、この雨では意味がないばかりに扉の脇に立てかけ、そして雨の中を最初は急ぎ足で、しかししばらくしないうちに駆け出して。
雨で人の姿がないことが幸いというべきか、人通りの普段から少ない道を通ったが人とすれ違うことなくナサニエルの自宅へと到着したころには全身濡れ鼠、それでもかまわず呼び鈴を押して]
[ローズマリーは戸口近くで扉の気配を確かめようとしていた。
扉がひらき、ソフィーが顔をのぞかせる]
あら、ソフィーだったの?
さっさと入ってくればよかったのに。
[と口にしてから、ソフィーに昨日の情事を聞かれていたのかもしれないということに思い当たり、微妙な微笑みをローズマリーは浮かべた]
[扉を開けた所で、内側からノックしようと腕を上げたローズ視線が合い、思わず小さく声を出して驚いた。]
うわっ……あ、………こんにちは、ローズさん。
[心の準備をしていなかったソフィーは、少し上擦った声で答えた。]
―自宅前―
[呼びかけに反応があったことに安心しながら、額へと手を当てる。]
ふむ、少し熱があるね。立てるかい。ほら、こんな所にいちゃダメだ。こんなに濡れてしまって。ひとまず中に入ろう。
[ステラに肩を貸して、立ち上がらせると。扉の鍵を開ける。]
……知らない人だわ。
町の人じゃない。
こんな空が真っ暗になるほどの雨の中。
また、テレビの人…にしては1人よね。
[一瞬、光ってみえたのは琥珀色の瞳。]
……なんだろう。
[車のドアを開閉する音。
しばらく、間を置いて再びそろりと窓の外をのぞくと、アンゼリカの扉に手をかけたギルバートが一瞬、何かを見透かしたように振り返った。]
あれは…
[今日の出掛けの服装は、日焼けする心配もないので白と黒のギンガム模様のノースリーブシャツ。黒のニットのタイトスカート。
あと100マイルと言った所だろうか、雑貨屋から人影が現れ、ネリーとは関係ない方向へ駆けていった。傘模様もなかった。何かのっぴきならない事でも誰かあったのだろうか。
ニーナにも見えるが断定はできなかった。
やがて、ブラウンの色をした八角形の傘が近づき、雑貨屋の屋根に到着した。]
――ルーサー宅前――
[額に冷たい感触。少しだけ身体が楽になった気がした。気休めだろうけども。]
ごめんなさい…わたしっ…いつも先生に…ご迷惑ばかり掛けてる…
[差し出された左肩にしがみ付くように両手を乗せて。わたしは何とか立ち上がると、雨音に紛れて開錠する音を瞳を閉じたまま聞いていた。]
――キンコーン………
[呼び鈴の音が聞こえる。
書斎の鍵を掛け、鍵は鏡台の中へ。
緩慢な動きで、男は玄関まで歩き、扉を開けた。]
ニーナ………
[玄関ですっかり濡れ鼠になった青い髪の少女の様子に、男は目を丸くした。]
どうしたんだい……ニーナ。
そんなに雨に濡れて……!
[そしてもたれ掛るように室内へと足を踏み入れたわたしの身体は、近くにあるソファに座らされる。やわらかい感触に安堵は沸きあがり。]
せんせ…わたし…眠…い――
[遠退く意識に身を委ねたまま、深い眠りへと落ちていった。]
―アンジェリカ裏・シボレー―
[小走りに駈け寄り車のドアを開ける。シャーロットは窓の外のなにかを注視していた。]
ごめんごめん!
ちょっとだけ立ち話してたんだ。
[車のエンジンをかけかけ、シャーロットの視線の先を辿る。]
……ああ。彼はギルバートだよ。
[中であった話を聞かせた]
―自宅 1F 居間―
ほら、これで体を拭きなさい。自分で拭けるかい? 大丈夫? すぐに着替えを持ってくるから、待ってて。
[バスタオルをステラに渡しながら、そう言い残すとルーサーは 2F の一室に向かった。]
確かマリアの寝間着が……
[ルーサーが向かった部屋、そこは彼の死別した妻の部屋だった。もっとも彼女はこの部屋で暮らしたことはない。以前、住んでいた部屋に遺されたものをルーサーがヘイブンに移り住んだときに持ち込んだのだ。
彼は部屋のクロゼットにしまってあった寝間着を掴むと階下に引き返した。]
ステラ、すまない。うちにはこんなものしかないんだが、ないよりはマシだろう。着替えられるかい? 私はあちらでコーヒーを入れてくるから、その間に…… ああ、紅茶のほうがよかったかな。すまない、紅茶は切らしていてね。ミルクを温めようか?
――雑貨屋前――
ネリー!
ずぶ濡れじゃないか、どうして!?
[雨脚が強まったのはネリーがダンソック邸を出た後だったのだろうか。それともあちら側ではまだマシな程度の降りだったのか。いずれにしても、軽装のネリーはずいぶん雨に濡れているように見えた]
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