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……どこら辺までをお望みか知りませんが……
そういう顔されると最後まで教えてしまいますよ?
[笑うと、ふわりとステラを抱き上げて]
[急な浮遊感に小さく声を漏らしつつルーサーにしがみ付き]
…それでも、良いわ。
私が知らないことは、沢山あるもの。
色々、教えて?
[頬を染めたまま微笑んで]
多くの罪を重ねた私達だけど、更に罪を重ねることになるのかしら。
[ルーサーの言葉に小さく笑って。そのまま彼に*身を任せた*]
[はっと目覚めるも身を起こす動きはしなやかで、見開いた瞳は宙を彷徨い傷跡だらけの手は口元を覆うも、其の面は仮面の剥げ落ちた様に鮮やかな印象で、温もりに身を寄せているのに気付いてか、身を震わせはらはらと温かい雫を溢し]
――ありがとう。
[鈴の音を想わせる声は静かに言の葉を紡ぐ]
[うっすらと目を開ければそこは個室の天井――。]
……まだ、生きてる。
[窓の光に手を透かせて、幾度かにぎっては開いて。]
なまじ耐性があると、効くのが遅くてかなわないわ。
[自嘲的な笑みをもらせば腕をそのまま目に当てて。]
[床にこぼれ落ちる赤、朱、紅――。
今までどれだけその美しき色を見てきたのだろう。
初めて人を殺した時も、その色は輝きすら放って床に落ちて。
その時既に魅入られていたのだろうか。
赤、朱、紅――。
綺麗な紅が見たい。
鮮血を、見たい。
内に起こる衝動。
今は然程でもないが、そのうち強くなって行くだろう。
その衝動は今はここには居ない、怒りの矛先へ向かうだろうか]
[一人になる、という意味がわからなかった。
今の状態と、彼がいない状態、何が違う?と。
毎日会っていたわけでもなく
恋人だったわけでもない。
ただ、出会ったら挨拶をして、酒を飲んでいた。
"友達"という存在を考えもしなかった。
それ以上の存在を微塵も考えていなかった。]
いつかセシリアに愚かだと言われたけれど――
今なら心からそう思うわ。
[顔色は既に悪く、日が変わる頃には生きていないだろう。
ゆっくりと、自らの生を振り返れば、そこに在るのは殆どが彼。]
ごめんね、Gilbert……一人で逝かせて。
あなたは私が来ることを喜ぶ?
死ぬことを悲しむ?
――どっちでもいい。今はただ、会いたい――。
[昨日あれだけ泣いたのに、今まで生きた人生分、たまった涙が涸れることはなく、暫くははらはらと*泣いているのだろう*]
[昨日のゲームの後、死ぬことが確定してから感情の起伏が激しくなったような気がする。涙もろい。]
――私らしくない、って言うかしら。
[くすり、と笑みを漏らせばきっと酷い顔をしていると思い、洗面所へと足を運ぶ。]
……人生で二度目の「酷い顔」って言われそうだわ。
[冷水を出し、目を洗う。備え付けのタオルで押さえるように水滴をふき取れば、視界の変化に気付く。]
カウントダウンは、着々と進む――。
[タオルを投げてソファに腰掛ければ、微笑を浮かべて足を組む。いつもと変わらない、*いつものスタイル*]
[夢現に離れてしまわぬ様にか温もりに身を寄せ]
………?
[近く鼓膜を震わす自身のものではない息遣いに、身動ぎ僅か身を離せば顔をあげナサニエルの寝顔を覗き込み、僅か口元を緩め起こしてしまわぬ様にそっと起き上がる]
………
[ナサニエルを見詰めた侭にゆっくりと瞬いて、寄り添っている間は温かかったけれど、眠っている間に風邪でも引いたらいけないと、離れた分を補う様に傍らのブランケットをふわりとかけ、優しくナサニエルの髪を梳いて立ち上がる]
………
[眠る様子をもう一拍だけ見詰め紫水晶の瞳は揺れる前に瞬き、右足を引き摺って牧師を探して歩き始める]
[やがて牧師を見つけ足をもつれさせながら駆け寄り]
「お願い、ナサニエルを、傷つけないで」
[牧師に縋り耳元で囁く声は他の者には聴こえないだろう]
適当にナイジェルの話に合わせながら聴いて。
高見の見物をする特等席は、何処かしら?
思い出して、サイズもぴったりな服、片付けられていたゴミ箱、他にも心当たりはあるかもね。
私とナサニエルを殺したら、きっとアーヴァインは直ぐ現れる。
殺害の前から、家族ごっこをしていた人間を手にかける、可哀想な人狼達の苦悶の表情を覗き見ているとしたら、裏切られる人間の恐怖を味わって居るとしたら――恐らくアーヴァインは数名の護衛と共にこの屋敷に身を潜めてるわ。
今は此の侭にナイジェルを宥めて解放して、後でステラと私たち殺害の段取りでも話し合い、一芝居打ってみる価値はあると思うわ。
嘘がとことん下手そうだからナサニエルには内緒ね。
本気で抵抗されても、人狼の力があれば大丈夫でしょう?
私達を殺すふりをしていればアーヴァインや護衛にも幾許か隙も出来るだろうし、頭を抑えてしまえば烏合の衆なんて取るに足らない。
[背をあやされ身を離されるのに泣き出しそうな顔で]
「お願い....」
[ナサニエルの所へと戻ろうとか踵を返しかけ首を傾げ]
「....ローズマリーは」
[部屋に運んだと聞いてか一つ頷いて]
「ありがとう、ルーサー
如何か、自分を、責めないで」
[唇だけが紡いだ言の葉は果たして単なる芝居だったのか]
[女の部屋へと向かい遠慮がちにノックをして、返事を待ってか待たずか扉を開け部屋に踏み入れば後ろ手に扉を閉め]
こんばんは、ローズマリー。
貴女って人は、本当に、最期の最期まで愚かね。
[言葉とは裏腹に鈴の音を想わせる声は哀しげに響き]
其れで、今はどんな気分かしら?
まぁ、訊かなくても酷い顔、してるわね。
存分に堪能してるんじゃないの?
――生を。
[女は答えたのか答えなかったのか小さく一つ息を零し、そっか、と小さく呟いて泣き出しそうな微笑を浮かべ]
お疲れ様、そして、さよなら、ローズマリー。
若し――
[何でも無い、とふるふる首を振って静かに部屋を出る]
[向かった先は青の少女の眠る部屋、日の暮れた室内は暗く青の少女は相変わらず静かに眠っていて、ベットへと歩み寄ればそっと傷だらけの手を伸ばし、白い頬を優しく撫ぜて]
シャー、ロット....
[浮かぶ表情は、纏う気配は、出会った頃の様で、鈴の音を想わせる声すら拙く名を紡げば、其れはナイジェルの声なのかも知れず]
私が、弱い、ばっかりに、ごめんね
シャーロットから、沢山、貰った、のに
ずっと、怖くて、何も、返せなくて
[傷だらけの手は青の少女の冷たい手をそっと取り、何時の間にか零れる涙に濡れた自身の頬へと引き寄せ、ゆっくりと目蓋を下ろす]
前に、進めたの、シャーロットの、お陰
――ありがとう
――……この屋敷の中に、ね。
[セシリアからの話を思い起こせばふむ、と顎を撫でて。
黙って銃から弾を引き抜けば、それをいじりはじめる。
傍目には分解整備しているようにしか見えないだろうが――]
莫迦を騙すには、丁度いいだろう。
[くつりと笑うと、空砲を仕込んだ銃を捻じ込んだ。]
[セシリアが去った後、足音も遠くなり、また静寂が訪れる頃]
あなたは、私みたいに愚かじゃないけど、
私と違って馬鹿だった……かもね。
その不器用さは、嫌いじゃなかったわ。
[くすり、笑みをもらして]
さぁて、最期をどう飾りましょう?
[濡れた睫毛を持ち上げ青の少女の手を其の胸元に戻し、そうっと其の髪を梳きながら唇からは微か天使の様な歌声が零れる]
Calling me, callin’ me
Just call my name...
I wish I was not in love with you
I’m painful..., thinkin’ of you
Just call my name, just call my name
If you don’t call my name, I break my heart.
Just call my name...
Just call my name...
Calling me, Calling me...
[其の声が自身の名を紡ぐ事が無くなったのすら自身のせいで、髪を梳きながら其の寝顔を見詰め紫水晶の瞳は揺れ]
あの人が、歌ってた、歌、だけど
シャーロットに、返せる、もの、他に、思い、付か無くて
歌、しか、なくて、ごめんね
[青の少女の髪からゆっくりと手を引き]
何時か、そっちに、行ったら、沢山、お返し、出来る、様に、ちゃんと、頑張って、生きる、から
ごめんね、ありがとう、シャーロット
[ベット脇から離れれば服を選び取って浴室でシャワーを浴び、たっぷりの布を使った白い膝下丈のワンピースに同じくポワントを合わせれば、一見すればバレリーナの様かも知れず、足首から膝下にかけては幾らか古傷が覗いて居るが、もう隠す気も無さそうで、前髪をピンで留め鏡に映り込む面は唇を引き結び]
私達は、生きる。
[自身に言い聞かせる様に言の葉を紡ぎ、部屋を出れば広間へと降りて、ソファで眠るナサニエルの傍らに腰掛け目蓋を下ろす]
………
[其の横顔は静かに時を待っている*様でもある*]
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