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[初撃で傷がついたのは肩。
次の攻撃では頬を掠めた穂先が赤い雫を落とさせる。
暗殺女との戦闘は苦ではなかったもののそれは確かに英霊の体内に疲労を蓄積させていた。
石突の攻撃を横に避けると、英霊は小さく舌打ちをし、後方に大きく下がる]
…負けない。負けて、たまるか…!!
[柄を強く握る手、指輪がかみ合ってギリと鈍い音を立てながら白銀に輝くレイピアで相手の胴を狙う]
くっ――!
[ランサーは距離をとり、双眸を半眼に細めた。柔らかな微笑みは、この場にふさわしいものだったのか?
じわり。黒色で分からないが、胴に血がわずかに滲む。]
勝気な性格だ。
私は、ラーマ・チャンドラ。
古代インドに存在したアヨーディヤ国の王。
だがこの身は、人でありながら神の力を振るうがためだけの器。……それほどまでに望むなら、見せよう。
ジャンヌ。貴方が闇の力と感じた、光の力を。
[双眸は赤く、肌はシャクティ(魔力)で青く。それは、人間とは言いがたい容姿だ。]
……滅びの力を。
…性分だ。
[空を切り裂いた剣振りぬき、そして目の前の男の片言に僅かに目を見張る。
赤は、とても美しい色をしていた。
丁度、そう。薔薇のような深く尊い赤]
────!!
[鋭い突きに抗うように全身は白銀の甲冑を纏う。
がぁん、と重たく腕を麻痺させるには十分な重みを支える力。
響くは白馬の嘶き、手には白き戦槍。
共に百合舞う戦場を駆け抜けた白き馬、その存在がゆえに英霊は騎兵であった]
[――ガァン]
[――ガァン]
[――ガァン]
[ガガァーン]
[何度、その鎧の強度が持つのかを試すように、幾度も槍で攻撃が与えられる。"待つ"という行為を知らないように。間断なく攻撃を続ける。]
[音は、衝撃は、鎧を伝って全身に響く。
防ぐのが精一杯、鎧の強度と戦槍で幾度か防ぎきらなければ、すでに自分など無くなってしまっていただろう。
攻撃を防ぐさなか、唇が揺れる]
フランベルジュ グラドゥアーレ
─── 天 使 わ す 白 百 合 の 細 剣 昇 階 唱
[瞬間、槍が炎を纏う。
揺らめく炎すら、英霊を取り巻く色は────白。
炎は揺らめき、熱を発し、槍兵の攻撃を妨げるように彼の槍すら伝い]
−噴水で戦闘が始まる少し前 河原−
[戦闘の跡。
戦闘の時間は短かったがその河原の河原の惨状たるや凄まじい。
そこで死者が出た形跡はなく。
気付いた戦闘の結果は必ず確認しているが、まだ一体のサーヴァントの消滅も確認できていない。]
…やっぱり信じられないあの男がサーヴァントを失ったなんて話…
[焦げた地面、剣を持った青年のサーヴァントの戦闘を思わせる跡。彼の纏う雰囲気はもっともあの男、沖田敬一郎のサーヴァントの可能性が高いと思えた。
考えたくないが川を穿つ裂け目が最初に見た剣のものなら、その力は恐ろしく膨れ上がっている。]
[ランサーを自分が消滅させてもそれでことが終わる…その確信はもてなかった。]
!!
[体から魔力が抜けていく。
ランサーが戦闘を行っているのだ。
彼が全てのサーヴァントを殺し尽くしたら、彼は人類の滅亡を願うという。]
止めなきゃ。
[戦闘の気配を探し走り出す。]
[宗冬は一人さ迷い手押し車を押していた。ここは何処か。ここではない何処か。目隠しをしている宗冬にはここが何処かは分からない。しかし全ては主の導きにより定まっている。]
寒到来……。
[風が吹いた。宗冬は思わず呟いた。ストーブの石油がなくなっていたことを急に思い出したのだった。]
[槍の一打が、白き少女騎士に触れようとした瞬間、少女を中心として渦巻く炎。清廉な輝き。]
グ ゥ・・・・・・
[白。強い陽光に晒されたように視界が一瞬奪われる。
全身に回る炎。酸素は失われ、肌こそ燃えないものの、高温度の炎によってダメージが蓄積し続ける。
僅かな隙。]
[僅かに生み出された隙を狙わない理由など無かった。
確かにそこに躊躇いはあったけれど───]
はぁぁぁあぁぁぁっ!!
[ぐん、と大きく踏み込んで力の限り白煙とともに男を吹き飛ばさんと槍を振るう。
大きくリーチを開けると騎兵は文字どおり風のように白馬に跨る。
白炎は槍から伝い少女も、馬もすべてがそれに包まれていた]
― 噴水 ―
[戦っている相手がライダーであることに気づく。]
なんで!?ランサーやめなさい!!
[叫んでからから気づく。
彼と自分は敵同士、自分は命令をする立場ではないということを。]
[槍を構え、手綱を引けば英霊は唇を揺らす]
モン・ジョワ
───鐘 響 く 浄 天 国 の 門───
[槍を構え、馬に跨る白い炎の英霊は突撃をかける。
黒服まとう英霊に向かって───]
[暫く駅ビルの前で行き交う人の流れを見ていたが、次第に人通りも少なくなっていき]
……この辺りにはもういないのかも。
[歩き出そうとして、異変に気づく。駅の方でぶつかり合う何か]
まさか。
[ 久仁彦はただ、戦いを見つめていた。
身体中の魔力がぐんぐん消えていく。全てライダーへと流れているのだろう。]
…ふん。まあいいよ。どうせ協定なんて最初からたいした意味はなかったんだし。
[ そんなものは、ハナから反故にする気でいた。視界の隅に、ランサーのマスターが叫ぶ姿を確認して薄ら笑う。
ひときわ大きな魔力の喪失感に戦いへと目を戻せば、ライダーの必殺の攻撃でランサーが吹き飛ぶ姿が見られた。]
よおし、倒してしまえ、ライダー!!
[ 叫びと共に、右手の令呪が輝き画のひとつが消え失せた。]
[右手に持った槍は、揺らぎ、
その身を変貌。
頭側から身を反らし、空中から投擲。
狙った箇所は、ジャンヌと白馬が接する点。
槍の切っ先と石突は視えず、全体の2/5のみが視えていた。]
マスター、むやみに近づいてはなりません。
[ソフィーの斜め前に身を滑らせるように現れると、手で己のマスターを庇う。]
お1人にしていて申し訳ありませんでした。
向こうで、サーヴァントが戦っており危険ですわ。
― 川原 ―
[考え事をしながら川原の近くを通りかかったケネスは、地面に残る異様な痕跡を発見する。]
こりゃ……なんだ?……
[自然についた痕とはとても思えない。]
まさか、地面をこんなにしちまうサーヴァントがいるとか?……
[宗冬の方をちらりと見ようとすると、どこにもいなかった。]
……あ、あれ?速く歩きすぎたか?
参ったな、早く見つけないと……
[ケネスは宗冬を探して*歩き始めた。*]
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