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[…案の定と言うか何と言うか。彼女の父がそうでは無かった]
[念のために言っておくと、
仮にも武道の師範を務める人物で、娘にもそれは変わらない。
むしろ思いっきり負けて世界を知って来い!と豪語した人物だ。
娘の技量を持て囃す事も、過信する事も無い。
娘の晴れ舞台(?)を華々しく飾って遣りたいという
お前は一体何処の親バカだ、と問いたくなる様な
一般的にキモイと称される度合いの親心でも、(幸いながら)ない]
[しかしながら。…気分はそう割り切れるモノでは無いようだ。
まさか娘が優勝するとは、微塵も思っていないが
優勝しないということは…何処かで負けるわけであって。
つまり、その際には負傷している可能性が大きいわけで。
まぁ、そんなこんなを考えている内に
門下生の一人でも、優勝者やら誰が勝つやら…そんな話をすれば、
次の瞬間には鍛錬のメニューが通常の3.5倍(当社比)に
上乗せどころか向こう1ヶ月はなりかねない空気を発していた。
つまりはそういう事だ。]
[それだけ心配ならば参加を許可しなければ良かったのではと
激しく思う所なのだが、そこは娘のお願いに弱い父心。
……つまり平たく言うなら、自業自得である。]
しっかし、今日の父さんなーんかピリピリしてたなー…
メニューも随分ハードだったし、皆にも厳しかったし。
[何かあったのかなー?、と。
不思議そうにこてんと首を傾げれば、少女の蒼い髪が揺れる。
真実を知らぬは本人…と、極一部の者ばかりなり。
まぁ、そんなこんなで父の心中も知らぬまま。
門下生を巻き込みながらも、彼女の一日は、今日も*平和だ*]
[向かう先は教会の方向。
ただ、そこにはステラがいるからか。
少し考えて、そこから離れようと。
何処へ行こう。
あまり騒がしくないところがいいと思って、自然、足は郊外の公園に]
[それから、ふと思い至って。]
しまったな。白妙を置いてきているか…
まぁ、奴を呼ぶなら。
もうあまり明るくもないし…
闇翔、来いよ。
[黒の石に口付け、黒い髪の少女の姿に、ギルバートを呼ぶように頼むだろうか]
─宿屋/朝─
[広場での一件には疲れた。
色々と疲れた。
疲れたせいか、宿に帰ってから眠りに逃亡するまでのタイムラグは、かなり短かった……と思う。
そして、どうやら夢見も悪かったようで、朝起きるなり煙草に火を点け。
一服してから食事を済ませ、ふらりと宿を出た。
がっちりと布に包んだ竿状物体を手に持って]
さて、どこでやるかなー。
昔なら、郊外の公園の裏手か、公園の反対側の森……ってのがパターンだったが……。
[公園だと、目立つんだよなあ、と呟きつつ、竿状物体を肩に担いで通りを進む。
どうやら、街の郊外へ向かっているらしい]
ま、見られたら見られたで、そんときゃそん時、と。
他に芸がないって訳でもねーし。
[芸ってなんですか、という突っ込みは、多分どこからも入らないだろうが。
どうやら、大会に備えての鍛練か何かをしに行くらしいが]
それにしても、出場者内訳を見るに……。
中・遠距離芸だけじゃ、きっついかもなあ……。
[肩に担いだ包みをちらりと見やりつつ、ぶつぶつと呟く。
だから、芸とは違うと思うんですが。
そんな感じであれこれと考えつつ、取りあえずは、森の方へと向かう事に*決めたらしい*]
[闘技場の一角、開催前の今は人気も無いアナウンス室に潜り込み、すっかり棲みついているらしい]
ぐおおおー、ぎょぼー、みょんみょんみょんー
[ごろんと寝返りをうった拍子に、マイクのコードを引っ張ってテーブルから落とし、更にスイッチが入ってしまったとか、もちろん本人は知らない]
んごごごごー!うきゃきゃきゃきゃ!ぶごわああああ!
[斯くして、闘技場の外まで大音量で響き渡る奇怪な音声。警備員達が駆けつける頃には、きっと闘技場に巣食う怪物についての新たな都市伝説か産まれているに違いない…飼っているのはアーヴァインとか、尾ひれもついて]
―宿屋兼酒場―
[武闘会開催を目前にして、観光客でごった返す酒場に
ハーヴェイはヴァナルガンドと共にいた。
――……アーヴァインのツケがきく、この宿屋兼酒場なら
建物の内にヴァナルガンドを連れて入る事も出来るので
昨日銀髪長髪の青年を送ったのもここだ。
ハーヴェイ本人も昨日の相棒の非礼を詫びようと
彼に確実に会うことが出来るように、同宿屋に部屋を取り
起床後は、彼がいつ宿を出ても判るように
宿の1階部分で経営されている酒場でボンヤリしていた。]
─郊外の森─
[森の中の開けた空間、その中心に佇んで。
一つ、息を吐いてから、担いでいた布の包みを解く。
中から現れたのは、深い藍色の柄と、銀の穂先を備えた、槍──穂のサイドに翼型の刃を備えた、パルチザンと呼ばれるタイプの物。
それを両手に構え、す、と目を閉じ深呼吸。
刹那の静寂。
それを、藍色の翼槍が上げる唸りが切り裂く]
[……で、そのまま一日を鍛練に費やしていたらしい。
昨夜の件について、ちゃんと考えてるのか、と突っ込まれそうな勢いで]
[酒場で聞こえてくるのは、薬物使用者の噂、
アーヴァインについての悪評
(それでもアーヴァインに縁があるここは、
他所よりもその噂は少ないのだろうけど)
それに、武闘会で行われる(非公式の)賭けに関する話題。]
[ハーヴェイはその中でも、薬物使用者に関する噂に耳を傾けつつ
銀髪長髪青年が、酒場を通過して外に出てくれることを祈りながら
(宿屋ロビーは酒場と隣接はしているがまったく一緒では無い為
銀髪長髪の青年が、そのまま外に出れば
ハーヴェイは気づくことはできないだろう)
紅茶とサンドイッチをのんびり食べているだろう。]
[そんなこんなで、時間軸は現在へと至り]
さってと……。
そろそろ真面目に、色々考えねーとなー……。
[思いっきり動いて、ストレスを発散させた所で、槍を元のように包みつつ呑気に呟く]
どっかに呼び出せれば、後はどーとでもなるんだが、さて、どーしたもんか。
[きゅ、と包みを紐で縛り、それから、煙草を出して火を点けて。
意識はしていないものの、やはり、喫煙量は増えているらしい]
えー?
闘技場で、恐竜の子孫が見つかった?
いやいや、人間が生み出した恐怖の象徴だ?
獅子と山羊と蛇を足したものかもしれない?
昨日火を噴くところも見たから間違いないって?
[ なんだか尾ひれというか、昨日の死食品も混じっている。
こどもたちにとっては、この街は話題が尽きない場所のよう ]
……んー。
武闘大会だから、仕方ないんじゃないかなあ。
[ その認識も色々と間違っている。]
[黒の少女が向かうのは、町とは反対の方向で。
まさか森に?
と思って、そちらをみやりつ……ふら、とどこか疲れを覚え、ベンチに腰かけた]
あ、そういえばねえ。
武闘大会、エントリーしてみたんだよ。
[ えっへん、と言わんばかりにVサイン ]
「えー、すっげー!」
「大丈夫? 怪我したら危ないよ」
「ていうか、なにで戦うの?」
[ 羨望や心配の眼差しを受けながら、得意げな表情。
けれど最後の質問を聞いて、ぱんっと手を打つ ]
うん、それなんだけどねえ……
[ ごにょごにょ、ないしょばなし ]
んー、取りあえず、薬物使用者の情報流す……とでも言えば、飛びついてくるかねぇ……。
[ぶつぶつ呟きつつ、あれこれと考えていると、不意にシエルが何かに気づいたようにぴくり、と震え]
ん、どした、シエル?
[その動きに、小さな相棒の見つめる先を見やれば、そこには黒髪の少女の姿が]
……おんや?
こんな時間に、女の子が森を一人歩きするのは、危ないぜ?
[ごく軽い口調で声をかけつつ。
気配を感じさせずに近づいてきた事への警戒は、僅かに滲んでいるだろうか]
「……え、別にいいけど」
「うん、うちにもいろいろあるけど」
「そんなので、武器になるの?」
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
だって、刃物だと、重いし、痛いもん。
スポーツマン精神に乗っ取って、正々堂々とやるのだ。
[ 全部を通して聞いた者がいれば何か違うと思ったろうが、
あいにく、こどもたちにそんな常識は通用しない。
そっかと納得して、武器(?)の貸出を了承したのだった。
お礼に、もし優勝したらみんなにお菓子を奢ると約束して。
――交渉成立 ]
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