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[ふと目を移すと壁に掛けてあるカレンダーが目に入った。]
……まだ、5年……たった5年か……
[小さくそうつぶやく。
蛇口から水の流れ出す音だけがしばらく響いていた。]
出来ればマスター同士が食い合った後、漁夫の利ってのが理想だったんだが……もう少し動いてみるか……。
[ケネスはそう言うと*蛇口を閉めた。*]
−教会・夜−
[窓の外を見つめている。あまりの状況の変化に思考がついていけていない。
あのセイバーが何者なのかもまだ分からず、そして宝具が自分の中から出てくる。覚醒していないと言われ、あまつさえこちらの意思など無関係にセイバーは飛び出していった]
管理者として、いきなりの失態すぎる。何てことだ。
セイバーを制するために市内の調査に出るか、それとも・・・・・・
[胸元の令呪を撫でる]
本当ならばそれでもいいんだが、な。
[令呪。サーヴァントに対して絶対命令の発動を行うマスターの武器。使用可能なのは3回だが、3回使用すると契約が消滅してしまう為に実質2回までである。
だが、心のどこかでこれをまだ使うときではない、と思っている部分がある。聖杯に興味のない人間であるにも関わらずだ。どうやら自分は混乱しているらしい、と独り*苦笑した*]
- 樹那森林公園 南部 (ランサーとセーバーが接触する少し前) -
[ランサーの真名を聞き少し首をかしげる。]
ラーマ?
インド古代叙事詩ラーマーヤナ名前くらいは私も知ってるけど…
内容自体はほとんど知らないな。
知名度はなくないけど高くもないんじゃないかな?
[突然現われた魔力の気配にも気づき、落ち着き始めた意識を再び混乱させるのを抑えて状況を整理しはじめる。
感じられる気配は魔術師らしきものが2つ。先に近づいてきた魔術師が霊呪に反応を示した。
遠くから感知できたサーヴァントの気配。
最後に突然現われた気配。]
うーん、突然現われた気配はサーヴァントのアサシン?
アサシンを含むサーヴァント2組のサーヴァントのペアってこと?
[様子を見てくるというランサーの言葉に頷く。]
確かに視認距離っぽい範囲内にいるのに戦闘が始まった気配がないのは気になるところね。
[先ほど状況をようやく自分なりに整理した久子を嘲笑うかのように非常識なスピードで近づいてくる新たなサーヴァントの気配。
ランサーも気づいたようだ。]
またサーヴァントの気配だわ。速い…
もう、やめてよね…
…
これだけの数の敵が一斉に襲い掛かってきたら、例えいくらランサーが強かったとしても私の身まで守ったりできないわよね…
[状況の整理は諦め、逃走手段を考え始める。
気配はこちらに向かって近づいてくる。
そして、発掘調査現場外少し離れたやや開けた場所にランサーと新たで、現われたサーヴァントらしき気配をもつ男が対峙するのが*確認できた*]
―夜・樹那森林公園―
[美女を前に興奮していたが、ソフィーの提案を聞いて、相手がマスターとサーヴァントだと言う事を思い出す。]
て事は、貴女がマスターで、この可愛い子がサーヴァント……?
[二人を交互に見ながらしばらく考えて、]
ずるいー!お爺ちゃんと交換して!!アタシも可愛い子がいいっ!!!
[駄々をこね始めた。]
[ タイガースマンション615号室。
それは、久仁彦が本を管理するためだけに用意した部屋だった。オムレツとサラダ、それにオニオンスープをジャンヌにあてがった後、自分は何も口にしないままで「調べものがある」としてこちらの部屋へとやってきたのだ。]
…ふん。
神よ、我が神よ、か。ご立派な人生だね。
[ 読んでいたのは、ジャンヌ・ダルクに関するもの。]
神の御告げに従って、信ずる道を突き進んで、挙げ句守っていたはずの奴に罠にハメられ、最後は異端者呼ばわりで火炙りか?
はん、最後の時まで神の名を呼び続けたとか、泣かせるじゃないか。いいように使われて捨てられただけなのにさ。
愚かだよ、ただの愚か者じゃないかそんなもの。人のための生き様だなんて、何の価値があったんだか。
[ 出てくるのは嘲りの言葉ばかり。]
本当に。ばーかな奴だな、こいつも。
[ 声のトーンを落とし呟くと、読んでいた本を棚に戻し、部屋を出ていった。]
さてと。少し寝ておこうかな。
[ もはやいい時間といえる時間じゃない。というか、ジャンヌもとうに食事を終えているのではないだろうか?
少し足早に、ジャンヌを置いてきた608号室へと戻る。]
とりあえず今日は寝ることにするよ。奥の間にベッドがあるから、好きに使いたまえ。
僕は隣の部屋にいるから、なにかあったら来ればいい。
[ それだけ伝え、扉をぱたりと閉めた。]
[ランサーの持つ武器らしきものは、その姿を明瞭に顕してはいない。周囲の景色を歪ませる事で「その場に在る」事だけが分かる。]
[セイバーが放つ斬撃を、悉く弾き ]
[また反対に]
[ランサーが揺らめくように疾く繰り出す攻撃も、相殺された。]
[互いに退かず、膠着――とも見えたが、その幕切れは呆気なく、セイバーからの撤退という形で終わった。]
[並の魔術師相手なら対峙しても隙をついて逃げおおせられるだろうと考えていたが、直接対峙せず魔力の動きを感じただけでわかるサーヴァント達の規格外さはその考えが甘いことを示している。
幸いこの立ち入り禁止区域内には一般の人間が入ってきそうな入り口からの小道周辺・テントの周り以外に、あらかじめ脱出用に【無数の罠を仕掛けておいた】。
一般人が立ち入る可能性も0ではないので殺傷能力があるほどのものは抑えてあるが、サーバントに対しても多少の足止めくらいにはなるはずだ。
いつでも逃げ出させるようにいつも持ち歩いているリュックを背中に背負う。]
問題は逃げた後、どうやってランサーと合流するかよね。
[一瞬の間考え込む。相手のサーヴァントがどこから持ち出したのか巨大な剣を手にしているのが見える。]
く…
[体から魔力が失われていく気配に思わず声が漏れる。
戦闘状態になったようだ、ランサーの気配が変わる。
始まった激しい戦闘の様子に呆気にとられてしばらく見守る…]
こんなの…人間にどうにかできるレベルを超えてるじゃない!!
[呟く間にも久子の体からは魔力が失われていく。
サーヴァントの召還に魔力を使った後である。]
ヤバイかも…
[丁度そう呟くのと同時に戦闘の現場に異変が起こる、そこに佇むのはランサーだけになっていた。]
逃げたの?
―樹那森林公園入り口・夜―
[目の前にはサーヴァントとして、尋常ではない魔力を帯びている老人、そして自分とそれほど歳の変わらない女性…魔術師であると推測されるため、恐らく老人のマスターであろう。
そこまで冷静に状況を確認したものの、目の前で繰り広がるのは、マスターの頭を引っぱたく老人と、そんなのお構い無しに大騒ぎしているマスター。聖杯戦争につきものの殺伐とした殺し合いとは、到底連想付かない様子にシャルロットは、交渉を始めた己のマスターに小さく耳打ちをした。]
……マスター。
マスターはこういう状況が、お好みなのでしょうか?
[公園には、セイバーにより作られた陥没地帯、軋み声を未だあげる傾いだ樹木、散乱した枝。
美しかった公園の調和は崩れていた。]
[ランサーの肌の色は元に戻り、双眸は漆黒に。
ややあって、ランサーは久子に振り返る。]
そのようです、マスター。
[ランサーは折れた枝を拾い、傍らの傾いだ樹の幹に掌をあてた。]
[予想外の同盟提案に何か言おうとしたキャスターだったが、再び横のマスターの暴走で空気が壊される。
その事に、なんかもう色々と面倒くさくなったのか溜息を吐いた。
老人としてもあまり真面目な空気というのは好きではない。
歌を歌い大騒ぎしたりするのが大好きな人間なのだ。
それでもちょっと今の現状では真面目にするべきだろうと思ったところでこれだ。]
…ちょっと黙ってろ、ボケマスター。
[キャスターは指を少し動かすと、周りの水が集まりマスターの顔を覆った。]
苦しくなったら手を叩けよー。
[何気に女性に酷いことをしているのだが、キャスター的に今の処置はそういう範疇ではないらしい。]
…それで、一体何の目的で同盟という提案をしようと思ったんだ?
こちらとしても、諸手をあげて歓迎…いや、本音としてはその見た目だけで大歓迎なんだけど、流石にそうも言ってられないからな。
そこら辺を少し説明してもらいたい。
ヒサコ。私を召喚したばかりの貴方を思いやりきれず、戦いに赴いた私を許して欲しい。
[幹から掌を離し、久子に向き直る。]
やだやだ!アタシも可愛いぼが……!?
[水が突然まとわりついてきた。
呼吸ができない。苦しい。
「美しい空気って大切よね」
薄れ行く意識の中、そう思った。]
はあ…よかったー。
[安堵の溜息が漏れる。ランサーの方に歩みよりながら続ける。]
そうなのよー、私の魔力もう尽きそうで。
あのまま続いてたら危なかったかも。
たぶん、もう一戦交える余裕はたぶんないわね。
このままここに留まり続けるのは危険ね。移動しよう?
[マスターの口を封じた老人の所作を見、ソフィーに目配せをすると一歩だけ前に出た。]
ムッシュ、サーヴァント同士で話をしようと言う事でしたら、私にも異存ございません。
……聖杯戦争は、今始まったばかりですわ。サーヴァントは全てで7名。まだ、どんな英霊が呼び出されているのかすら、私たちに情報はありません。私たちが始めて対峙したのが、貴方方だったのです。
まずは情報収集をし、この度の聖杯戦争の全容を掴み、可能であれば出来るだけサーヴァントの数を減らす事が、私の目指す所なのです。それに最も効率が良いと思われるのが、暫定的な共同戦線を築く事だと、私は考えました。
もちろん、最終的には私たちも対峙する事となりましょう。
けれど、初めから不利な個人戦を行う事が有利な事とは私は考えておりません。
私から貴方方に提供できるのは、優れた情報収集能力です。如何でしょうか。
それがいいと思います。
あちらに居る彼らの意思はどうあれ、今はヒサコが休む方が先決です。
[久子に微笑む。]
ヒサコ。何処へ移動しますか?
[移動の用意を始めているのを自発的に手伝いながら。]
[どうやら気を失ったらしいマスターの顔から水を剥がすと、水を使いその場に寝かせる。]
手を叩くことすらせずに気絶しやがったよ…
ってあれ、耳まで塞いだらもしかして声聞こえなかったか?
まぁいいか。
[その後、目の前のサーヴァントであろう女性からの発言を聞きながら何度か頷いた。]
なるほど、確かにこれ異常ない程わかりやすい理由だ。
勝者は一組といっても、最初から一組だけで戦い抜く必要性はない、むしろ複数で組んで周りを倒した後に…というのが賢いやり方であるというのは同意できる点だな。
【だが…それは同盟中の裏切りと言うリスクも同時に背負うことになる。】
[ふむ…とそのまま少し考えを巡らす、確かに最初から仲間を得るというのはこれ以上ないアドバンテージだ、しかも相手が見目麗しい女性の同盟というのなら断る理由などキャスター的に全く無いといっていい。
なんつーかもう、ばっちこい!である。]
…こちらからも条件がある。
これは互いに言えることだが、流石に互いの情報が0の時点で決定できる事じゃないからな。
流石に真名は問題があるだろうから、互いの"クラス"を教え合う事…そして"力"を見せて欲しい。
……ムッシュ、マスターが気絶したようですけれど。
[流石に眉根を顰めて、倒れたマスターに処置をしている老人に問いかけ口調で言い。]
成る程、共同戦線を張るには、お互いの特性を知り生かす必要がありますから、仰る事ももっともな事。
ひとつ、お話をしておきますと。私は先ほどから貴方が"水を自由に繰っている"という事実を何度も目の当たりにしていますわ。簡単な魔法なら、どのクラスでも使えるのかもしれませんが……私には貴方のクラスの推測が、ついてます。
ですので、私のクラスをお教えする番、と言う事でよろしいですわね?
[その言葉は確認口調だった。
しかし、最後の言葉が彼女の小さな口元から消え失せないうちにシャルロットの姿は、地面を蹴る小さな音と共に忽然とその場から消え……
次の瞬間、キャスターの背後に、僅かな気配が揺いだ。]
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