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天賀谷さまは、
余程、水鏡と屍鬼に腐心されておられたのですねェ。
[聞こえるか聞こえないか、ギリギリの小さな声。
枚坂と雲井の会話が始まろうとしている。
夜桜──神居零は、翠の傍へと近づいた。]
翠さん、間違えちゃならない──。
[耳朶を息で擽る程近くへと]
──(回想)/三階・天賀谷自室…→二階・書斎──
[夜桜から受けとった手拭はヒヤリとしていた。張り付いて血塗れの顔を其れで拭う。生物の様に床を這う血液が内階段を伝い、書斎に向かって行くのを、呆然と眺めていたが…──。]
『…行かなくては。
旦那様のコレクションが。』
[血の後を追う様に、内階段の手摺に上半身を預け、滑る様にして書斎へ降りた。(階段はまだ血の海で到底、人が降りられた物ではなかった。)
無意識に手拭で両手の血を拭う。手拭は既に真っ赤に染まっていた。]
[仁科が降り切った後の書斎に、既に雲井の姿は無い。
血液が意志を持って、書物の方へ向かって居る事に気付く。
慌てて、机の上に転がっている物を全て回収しようとして、最初に目についた明らかな十三の自筆の絹張りの本の様な何か──を手に取った。書き付けの様な物だろうか。]
とりっく…時計仕掛け…?
[...はおずおずと尋ねる]
もしそうだとして…いやしかし…
しかし…旦那様がお亡くなりになったこと、あれは…とりっくでは無いのですよね?
[これがただのトリックで、それなのに何の手がかりも無く天賀谷が殺されてしまったのだとしたらそれは何と絶望をもたらす事実か]
いや…いや!血が蠢くなどと…
映写機で映されたものが、足を血で濡らしますか?
やはりこれは、仕掛けなどではなく…っ
[せめてこれは我々への道標であってほしいと、どこか縋るような目を枚坂に向ける。
確信したかのような夜桜の声はむしろ救いだった。
どこから持ってきたのか、刀を握る翠の声も同様に]
ずいぶんはっきり言うな夜桜さん。
それに…翠さんも?
あなた方にはまるで迷いというものが感じられないようにも、俺には聞こえる。
何か知っていることがあるなら、言ってはくれないか?
[板坂に]
貴方も識っているでしょう。
大陸で、先進的軍事研究と称して、どれだけ荒唐無稽な事象が研究されていたか。
貴方たち医官も随分動員されて居たはずですよ。
困ったことに、その中の幾つかは……完全に荒唐無稽とも言えなかった。
「屍鬼」はその一つですよ。
私も詳細まで知ってはいない。
何度か軍が遭遇した事件から、最初は日本への所謂テロルとして追及されていたものが、ある時から「高次の機密」に格上げされたという事くらいしかね。
それは「死んでも死なない技術」の研究だと噂されていた……。
[次に、中国の墨文字で書かれたと思しき巻物が目に付いた。
恐らく美術的な価値のある物か──其れとも、屍鬼に関係のある物か。]
『駄目だ…なんて気味が悪ィ…──。』
[ガクガクと差し出しかけた手が震える。
遡って机の方へ向かって来る血の流れが恐ろしくて、仁科は巻物を回収する事が出来ず、壁際に下がった。
後は──…その巻物を染めた血が仁科が居るのとは別の壁に向かい、血文字を描き終えるまでを──…只、呆然と見つめる事しか出来なかった。
何時の間にか、扉が開き──雲井や夜桜達が入って来ていた。]
[翠にやってきた藤峰青年、天賀谷の使用人であった彼らが主の敵の名に色めくのは無理からぬことのように思えた。]
屍鬼……
ちょっと待ってくれ。
この中の誰かの中に、そいつが潜んでいるっていうのかい?
[「居る」と云う翠の言葉にも未だ確信めいた現実として受け入れられずにいた。]
[夜桜の声が直ぐ傍で聞こえる。
耳にかかる息にびくりと身を振るわせた。]
……な、に……を?
[瞳を夜桜へ向け、問うた。]
[その音が発せられ、そして空(くう)に消えていくと。
瞳に僅かに光が戻った。]
……雲井様。雲井様にお会いしなければ。
[だがその表情はまだ、夢中にある者のそれであり、現が見えておらぬ者の瞳であった。]
屍鬼に殺されたものは、屍鬼になると……
[望月の声にハッと目を向ける]
それでは、やはり?
枚坂先生が仰っていたように、可能性はあったんですね…?
旦那様が再び目を開け起き上がる、その可能性が!
ならば…
[憂う望月に懇願する、しかし強い目を向ける]
ならばあのままにしておきましょう!
首を切り可能性を失わせてしまうことこそが、いけないことだ…
死んでも死なない…。
そんなものがいるんだろうか。
[雲井の言葉に素朴な疑問を投げかける。望月の屍鬼への知識は噂話の寄せ集めに過ぎない。だから、それについて思うことも、個人的な感想にすぎないのだが]
それはもう、生きている者じゃない。
自分が死んだことを受け入れることが出来なくって、迷ってるだけなんじゃないのか。
『この中の、誰かが、本当はもう、死んで、迷って』
[来海が目を覚ますと屋敷のベッドの上だった]
そんな…… あれは、夢、まさか……
[呆然とする来海に屋敷の使用人が説明する
天賀谷の死を目の前にして動転した来海がふらふらと歩き出して廊下ですぐに倒れたこと
それからベッドに運ばれて眠っていたこと
それにしても腑に落ちない
あの感覚が、夢?
そのとき来海は声をハッキリと聞いた
『バカガ ニゲラレルト オモッタノカ?』
!!??]
[確保した十三の書付と思しき本を抱えたまま、]
──…施波さんやら。
名前が無い者が居ますやねえ…。
あたしの名は、多分此処では旦那様しかご存知無いのに「美蘭」と書かれている。
此れは…一体。
――ほう
雲井さん。貴方、よくご存じのようだ。
貴方は一体何者だい?
[雲井は私に向けて「識っているはずだ」という。まさか、あの場所のことを識る者が……?]
無論、様々な研究が行われていたことだろうね。
そして、君は「荒唐無稽」というが、そこに居た研究者は皆大まじめだったことだろうさ。
「死んでも死なない」そういう現象もありえるだろう?
人は簡単には死なない――。
[望月の言葉に頷き。]
そうでしょうな。
だが、あの頃その違いを云々する者は居なかった。
致命傷を負っても戦い続ける兵士が存在し得るなら……。
命令さえ聞くなら、それが生きていようと死んでいようと、気にしなかったでしょうな。
[翠にだけ聞こえる声で囁こうとした夜桜は、だが、藤峰が尋ねかける声に口を噤んだ。──が、再度、藤峰の注意が、望月や雲井達へ向くと、口を開いた。]
さつきさまは、屍鬼ではない。
[翠にだけ囁く。問い返そうとした翠へ向け、指をあてるとそれ以上の追求を留めた。雲井達による話が始まっている。]
[藤峰をじっと見る。その狂おしい思いのほどを量ろうとするかのように]
天賀谷さんを死なせないということは、あの人を生きられない身にするということじゃないのか。
[首を静かに横に振りながら]
藤峰さん。あんたは天賀谷さんを輪廻転生の輪から弾かれて、生きておらず死んでおらぬ惨めな彷徨い人にしたいのか。
自分が死んだことを受け入れることが出来なくって、迷ってるだけ…?
だが望月さん!
[首を横に振り]
自分が死んだことを、それに自分が死ぬことを受け入れることができる人間なんて、果たしてこの世にいますかね?
誰だって生きてたいはずだ。
誰だってずっと、死にたくないはずだ。
旦那様もきっとそうだった。
生きている者じゃないとして…
死んでもいない者なら、旦那様がまた目を開け身を起こし手足を動かせるなら…
それでいいじゃ、ありませんか……?
如何にかして、この屋敷を元の世界に戻して、自由になる術を突き止めねば……
[異界の闇の中では、白い貌が冴え冴えとした聲で呟いていた。
その重たげに半分だけ閉ざされた瞼の奥の、夜より黒い瞳が冷たい光を放った。]
[藤峰の言葉に首を振る]
それでもいいかも、知れないね。
ただ屍鬼は、人を襲うらしいよ。
それが、正確にどう謂う意味か迄は解らないが。
君の旦那様が、もし身を起こし手足を動かして……此処に居る我々を襲い始めたら……それでも、いいかな?
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