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キ……ル…カ。
……キ…エ……ラ、…タ……。
[ノイズに一瞬だけ明瞭な音が混じった。]
[──が、それも僅かな間のこと。]
[再び、沈黙。]
[この人こんなんだったっけ…と頭をひねるが、芸術家とは得てしてこんなもの。自分の教授だって一歩間違えれば変人だ]
お元気そうで。お出かけですか?
あんまりとっちめすぎてそのスイートハニーがスパイシーボーンにならないように注意して下さいね。
俺は別にそれが誰でも興味ないですけど
[缶切りを振るローズマリーには無表情で必要最低限の応えを]
…いえ、缶切りあったんで…お手数かけました。
飲み物だけ、頂けますか?先生と同じで結構なんで。
──自宅(早朝)──
[まだ朝陽も昇り切らぬ時間。ソフィーは藤の揺り椅子に深く腰掛けた男の柔らかいブラウンの髪を丁寧に梳っていた。]
When you wish upon a star
Make no difference who you are
Anything your heart desires
Will come to you
[簡素な室内には、清潔に整えられたベッドと淡い緑の葉を茂らす小さな観葉植物の乗ったサイドテーブル。
それに男の座る揺り椅子だけがあった。]
[何がどうと言うこともなく、私は廊下を歩いていた筈だ。]
……キ…エ……ラ、…タ……。
ッッ!!
[私は前のめりに倒れてしまった。
こんなの、エレメンタリースクールの頃以来ではないか?]
あら、そうなの?
缶詰のお礼ができないわね。
それじゃ、この紅茶はおごりね。
[ハーヴェイにヒューバートと同じ紅茶を淹れてだした]
えーっ 旅人って、ほんとかよ。
それだけ?
[疑わしげに瞳を覗き込む。]
いやさ、これからは、『Smile A Little Smile For Me』をかけてもマジ怒りされずに済みそうだって思ったのにさ。
[いつか、励まそうとしてかあるいはからかってだったか、そのフライング・マシーンのヒット曲をかけたらローズの瞳の端に光るものがあって、私はその冗談があまりに不謹慎だったことを知ったのだった。
彼女はまだクインジーのことを引きずっているのではないかと思っていたのだ。
それだけに、新しい恋愛に進展があるなら応援したい気持ちだったのだが、彼女にはぐらかされたもので、私はそれ以上追求するのはやめておいた。]
[6年前幾重にも及ぶ偶然によって、わたしは彼、ヒューバートと出逢った。初めて逢った当時はわたしは商売を仕込まれたばかりの花売り娘で、彼は一夜の花を求める客だった。]
[わたしと客の間で行われる行為は、本国を出る前に強要されていた行為と然程変わりは無かった。男達はわたしを罵り跨り、そして欲を吐き出した。そう先の契約でナサニエルが羅列させたその物を、素肌の上で繰り返すばかりだった。違ったのはその行為の前後に金銭が与えられる事。]
[そんな客を自尊心を傷付けられる者と仲間は嫌がって居たが、既に全てを失ったわたしにとって素肌をなぞる脂ぎった男達はどれも同じに思えた。
【肉人形――】
彼らもまた、わたしにとってはそれ以上でもそれ以下でもなかった。要は同じ穴のムジナといった所だろう。]
If your heart is in your dream
No request is too extreme
When you wish upon a star
As dreamers do
[部屋を満たすザァザァという雨音に紛れて、子供をあやすようなゆったりとしたリズムの歌声が、紅も引かぬソフィーの瑞々しい唇から零れ落ちる。]
[誰か暴漢にでもまた襲われるかもしれない。
そうでなければウェンディゴでも現れたのか。激しく息を繰り返し、振り向く――]
はっ、はっ、はっ……
[おそらく私の気のせいなのだろう。
はしたなくも唾液を口元から零していた。何事もなかったのように拭き取る。]
─雑貨店─
[ニーナをからかいながら釣りを受け取り、紙袋3袋ほどに纏められた品物を受け取る。
それらを難なく両腕に抱えて出口に向かう。塞がった手の代わりに肘と脚を使って扉を開けた。]
じゃあお世話様。
[戸口で振り返り、ニーナに向かってウィンクした。]
ヒューバート、別にその曲をかけても、もう怒ったりなんかはしないわよ。
わたしはフリーでいたいの。
結婚なんかもうごめんだわ。
[あきあきした、というような表情をつくってヒューバートに肩をあげてみせる]
[そんな貶し合いの日常の中で、わたしはヒューバートと出逢った。彼は初めて逢った時から他の客とは一線を画していた。
良く言えば純粋、悪く言えば子供染みた彼とのセックスは、実に単調で逆に新鮮だった。型通りの流れでよくわたしの中で果てた。それはそれは素直に。
それでいながら、わたしを買う時は必ずと言っていいほど紳士振るのだ。
「イタリア料理でも食べませんか?」と、まるでデートの誘いでもするかのように――]
[その当時裏切りに裏切りを重ねられ味わい尽くしてきたわたしは、この世の中すべての物を意趣し、また猜疑していたのだが、躰を重ねる度に何故か彼だけには心を開いてもいいような気がして。
許してしまった。何もかも全て――]
そして彼を愛してしまった…。ははっ…この世の中に裏切りは腐るほど溢れていると判っていたのに…ね――
あはははっ…ホント、わたしってお馬鹿さんねぇ。
[苦笑交じりの自嘲はいよいよ持って大きさを増し、わたしはひとり雨の中口嗤う。不謹慎な声を攫うかのように、雨足は強さを増し、容赦なくわたしに降りかかった。]
ああ、そうだ。ハーヴェイ。
例のものができたよ。
手伝ってくれてありがとう。
[私は、ハーヴェイに肩から提げているホーンブックを渡し、見せた。]
[無意識に、カウンターに置いた本をパラパラとめくる。
このあたりの土壌は大体、平坦な古世代の粘土や頁岩、砂岩層から成っていて、その中に石灰岩および石炭の層が挟まれている。
こうして形成された台地は長い間の流水や土石流で開析され、比較的急峻な斜面を形成していた。
こうした開析谷の更新世の地層には、氷河によるアウトウォッシュや氷縞粘土などが堆積しており、地層の断絶、露岩の風化と、粘土岩や頁岩の風化生成物による下方へのクリープは元々地滑りの潜在的要因として存在していた。
――そこへきての暴風雨であり、この雨だった。
私は本を取り上げ、そこに書いてあった内容をかいつまんで話していた。]
今度は被害が出なければいいんだけどな……。
[雨がしきりに窓ガラスを敲く。滲む景色に一瞬目をやって呟いていた。]
[ローズから紅茶を受け取ると小さく一口。
ローズがあんなことをしていても、紅茶は変わらずに自分好みである]
…お言葉に甘えて。ご馳走様。
そういえば先生、この間のホーンブック、どうでした?俺結局完成品見てなかったから完成したのかなと思って。
[手渡されたホーンブック、子供の手に丁度いいあつらえで、その外見も綺麗に出来上がっている]
へぇ…。いい出来ですね。
俺も自分で作ってみようかな、こういうの。
子供の勉強用ってだけじゃなくても色々使えるし。
[大人しくソフィーに髪を弄らせている男は、焦点の合わぬ瞳を部屋に一つだけの小窓に向け、厚い雲に覆われた灰色空をじっと見上げているようであった。]
雨、早くやむといいね。
このまま降り続いたらまた大変な事になるわ。
あまり酷いと、また道が塞がってしまうし……。
[一旦歌を止め、優しい手付きで髪を梳きながら世間話に移る。
男からの返事はないが、ソフィーが気にした様子はない。]
[紅茶を飲むハーヴェイに微笑んで、そのままその微笑みをヒューバートに向ける]
そんな人達は勝手に嘆かせておけばいいのよ。
[窓に向かってつぶやくヒューバートに軽く頷いて]
ええ、そうね。せっかくもとの日常が戻りそうになったと思ったのに…。
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