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[やがて、扉をノックする音がさつきの耳に入った。小さく呼ぶ声の調子は昨日の朝と変わらない。さつきは何処か安堵した風情を漂わせ、扉を開けて杏を招き入れた]
お早う、杏。
日月があの様に成ってしまったとは云っても、起きた時の挨拶は矢張り、おはようですね。早々に支度は済ませましょう。お客様の中にも、既にお起きの方がいらっしゃるやも知れませんし。
[そう云って微笑んださつきは、杏に手伝わせつつ着替え始める。朝食を取る彼女の脳裏に、深更の事柄が思い出された]
──三階使用人室/仁科の部屋──
[仁科のために食事を運んで来る]
[さつきが口外を禁じていようと、鳶口が現れない事──空にある異形の月により、程なく、異界に陥った事は知れ渡るであろう]
……期待ね。それがどういうものかは知らんし、今のところあえて知ろうとも思わんが。
[と。新たに感じた気配のほうに目をやると]
だんびら片手に食堂に、ですか。驚かさないでくださいよ。
『やはり、天賀矢氏は荒事をお望みなのか』
[望月にも会釈をすると、翠に、紅茶のお代わりとりんごジャムを頼む、と声をかける。]
「今日も素振りを?」
[翠に答える]
ああ、落ち着かなくてね。
[そこまで言ってから、さすがに己の非常識に気づいた。
公衆の面前に、本身の刀を持ち込むとは。
即座に逮捕されても、事と次第によっては文句も言えない]
……済まない。こんなものを持ったまま食堂に来るなんてどうかしている。
随分落ち着いたつもりだったのに、やはり俺は阿呆だ。
──三階使用人室/仁科の部屋──
ねェ、仁科さん。
さっきの話。
実は続きがあるんです。
屍鬼を、
殺した事もあります。
信じるかどうかは、仁科さん次第ですけど。
[浴室内に居る仁科の反応は、浴室の外にいる夜桜からは窺い知れない。]
食事、机の上に置いておきます。
ちゃんと休んで下さいね。
[そう言い、夜桜は仁科の部屋を出た。使用人用の階段を使い、階下へと向かう。]
──仁科の部屋→二階/食堂裏炊事場──
――数刻前・エントランスホール――
[エントランスを抱き包むような曲線を描く階段の一方を、二人の姿が下ってくる。静寂に満ちひんやりとした空間に靴音が反響するさまは、先ほどまでの喧騒に満ちた出来事など無かったかの様だった]
……杏、其処でじっとしていて。
[西洋画の描かれた天井に吊られたシャンデリアの真下に少女を立たせ、さつきは彼女の周囲をゆっくりと歩き始めた。メイドの全身だけでなく、石畳に落ちた影の色、形、濃さまでを見定めようとするかの如く、無言の儘で幾度も回る]
影は――消えては居ないのね。
良かった、と云うべきなのかしら。
[奇行としか思えぬさつきの行動であった。微かに身を震わせていた杏が、正面に立ち止まった主を伺いつつ恐る恐るといった様子で口を開いた]
「あの、……何を」
貴女の姿を――影を――確かめているの。
何か変わってしまった様子は無いか、と。
[杏に向けて小さく微笑み、新たな言葉を継ぐ]
――屍鬼、という化物の事は聞いたことがあって?
[はい、と丁寧に返事をしてから
厨房で藤峰と言葉を交わす。
水は藤峰が持っていくようだった。]
それじゃ、私は紅茶を。
[先に由良が紅茶を頼んだらしい使用人が、
林檎ジャムの瓶を指差してくれた。]
ありがとう。
まったく、騒がせて済まない。
[由良に頭を下げる。しかし、ここまでもう来てしまったのだから、水だけは呑んで部屋に戻ろうと思って翠を待っている。
此方に視線を向けた男(江原)にも詫びながら]
……そちらの御仁は、はじめて、かな?
騒がせて済まない。水だけ呑んだらすぐに退散するよ。
俺は望月というんだ。あんたは?
[沸かしたての湯で茶器を温める。
湯の中で紅茶の葉が踊った。
蒸らしている間に、同僚の青年が声を掛けてきた。]
「翠さん、空見た?」
え―――え、ええ。
「なんだか気持ち悪いな、あんな色の月」
そう、ね。
[翠は曖昧に返事をし、
由良の下へと紅茶と林檎ジャムを運んでいった。
藤峰も望月の方へ水を持って行った様だ。]
どうぞ。
[一言声を掛けて由良の傍に茶器を置く。
翠はやはり刀が気になる様子だった。
サムライ。
江原の言葉を唇で反芻する。]
……江原だ。肩書きはどうでもいいが、
一応今は思想家ということになっている。
[久々に、体に走る戦慄。捨てたものではない。]
[碧子はスキャンダルを気にした事はなかった。常に刺激を与えてくれる人間を知己に選んでいたが、天賀谷はその点でも非凡だった。
黒田の経営するK…という店もそうであるし、ジャズで溢れかえった秘密クラブに出入りするのも面白かった。
あの頃の天賀谷がこうなると一体誰が予想できただろう。]
や、ありがとうございます。
[紅茶とりんごジャムを前にし]
……美容と健康のために、食後に一杯の紅茶
[などと呟いた。翠が怪訝そうな顔を一瞬したのはきっと気のせいだろう。
江原の望月に興味を持った様子に気づき、]
『さて、どういう組み合わせだ?この二人は』
……江原さん、か。よろしく。
俺は刀剣の鑑定と試刀をやっているだけだ。……サムライはおろか、士族だっていなくなって久しいぜ。
[そう言いつつも、微かに緊張している。素振りを行った後の精神状態もあるのだろう。背筋が凛と伸びて、視線が常より鋭い]
── 一階階段裏→外へ ──
[戦争が終結した辺りから──]
[日本という地に、中国より屍鬼の噂は伝わってきた。]
[否] [屍鬼が渡ってきたのだった]
[──あれは東京。
桜が、はらはらと舞い落ちる。
田舎より出てきた女と、夜桜は出会った。
女の名は、西堂伊織──。
四国を郷とする、奥ゆかしい女であった。]
[赫い異形の月。
因習深い麓の村に続く道が、延びている。
むした苔石すら、このあかりの下では奇怪なものとして目に映る。]
『何時の頃からかしら、天賀谷様が私に大陸に存在したと云う不死の話をし始めたのは。』
[最初は全く取り合わなかった碧子も、終いには止めた方が良いと忠告するまでとなった。]
ふむ………。
[望月をしげしげと見つめる。]
君は、なかなか興味深いね。
日本人かくあるべしといったところか。
[銃剣が突き刺さり、名誉戦傷章の決め手となった
左腕の感覚よりも、戦地において日本刀で切りつけられた
感覚が蘇ってくる。期待が持てる。]
まあ、内面はどうかはわからんがね。
[翠に。]
ああ君。別の使用人に、私の部屋に釘が出ていると
思われる箇所があり、気になるから直してくれと頼んだのだが。
[眉間に皺を寄せて。]
どうやら手前たちのことで精一杯なのだろうか。
飲み物は後で何か用意してくれればいいから、
そちらを何とかしてくれるとありがたいのだが。
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