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待って、お爺ちゃん。
相手はこちらに気付いて近付いてるのよね……?
ここはタロの気持ちに任せましょう。
[美貴はタロと繋がるハーネスに神経を集中させている。]
一気かよ、大丈夫か?
しかし、妖術師ってのは怪しげだなあ。
まあ、買い物がてら「柳生一族の歴史」とか言う本を読んでみたんだが、兄貴と父親は結構有名だよな。
兄貴はかの柳生十兵衛だし、その父も有名な剣豪政治家と来てる。
[あるいはそのどちらかが出てくれれば、などと言う考えがちらりとよぎった。]
……まあ、それに比べるとお前さんはやや地味で目立たないようだが、それなりに生きて、4代め将軍、徳川家綱の師範とかしてるみたいだし、それなりに良い人生じゃないの。
[家綱の師範ってのがまた地味だがとも思ったが、ケネスはそれには触れないことにした。]
[所々にある街灯の明かり。それに灯されて一瞬見えた姿は女性。犬を、連れているようだった。まだ遠目で、それがマスターであるのかどうか、わからない]
マリア、気をつけて。サーヴァントが、いる。
[小声で話しかけ、そのまま歩き続ける]
犬の気持ちって…一体それに何を任せるんだ…。
[思わず力が抜けそうになる…が、前方から近づいてくる気配がそれを防いだ。]
【あー…、地味にまずいな。
魔力は十分だし手も無数にあるが…やはり水が少ないって言うのは決め手にかける。】
……えっと、どうする?
お爺ちゃんに手があるなら従うけど……っ!
[近寄る魔力の気配を感じ取り、隣に従うサーヴァントに無言で意見を求める。]
(……?)
[先ほどに比べ、己のマスターの様子がおかしい。何か気になる事があるのだろうか。
ソフィーの言葉に小さく頷き、気配を遮断したまま……ソフィーとの距離を更に詰める。]
あれ、引き返していったかな?
[感知している二つの魔力。
魔術師らしきものと、サーヴァントらしきもの。
それらを結びつけた結果、一組の魔術師とサーヴァントのペアだと判断する。
浮かんだ疑問を口にする。]
うーん、なんで魔術師の方が先行して近づいてきてたのかな?
敵意がないっていうアピール?うーん…
[やがて、相手の顔を視認できるくらいに近づき]
……わけがわからない。
[相手はおそらく魔術師。けれど犬を連れている。
戦いになるかもしれない状況で、――恐らくはペットであろうと予想し――犬を連れている女性を不思議そうに見つめ]
!
[突然女性の手を離れて犬が駆けてくる]
様子見でしょうか。
[様子は窺ったままだったが。左手で右の腕環にふれていたが、気配の遠ざかりと共に離した。]
サーヴァントの方へ戻っていくようですね。
どうしますか。
[飛び掛ってくる犬に身構えると、さっと避け、首輪からたれているハーネスを掴んだ]
……大丈夫、怯えないで。危害を加えるつもりはないから。
[なおも暴れようとする犬に向かい話しかけ、飼い主のほうへと歩いていく]
おっ!
[相手の顔が確認できたと同時に、そんな声が漏れる。
理由は当然、見目麗しい女性のペアだったからだ。
これはもう声をかけるしか…と思った時。]
お嬢さ…!
[犬が自分の前を走り去っていった。]
おいマスター…。
そう!そうなのだ!父上や十兵衛は派手だ!ずるい!
いや、父上や十兵衛だけじゃない。
もう一人友矩という兄がいるのだが、あいつなんて三代目の将軍様である家光たぶらかして父上から刺客送られて殺されるという波乱万丈っぷり。『柳生一族の陰謀』でもやられ役とはいえ、良いポジションだしよ。
で、弟に列堂義仙っているんだが、あ、こいつ出家しているのね。こいつも暴れまわるもんだから、寺から追放させようとしたんだが、またまた暴れまくる。仕方ないからそのままにしておいたんだが、あぁくそっむかつく!400年経っても胸糞悪いとはな!
いや、実は今回の召還オファーも始め十兵衛に来て友矩、父上、列堂、石舟斎、軍兵衛と盥回しの上で最終的に私のところに来たんだよ。十兵衛が言うのね、「お前は生前地味だったから、今回の戦で名を挙げてくるのだ。特別に三池典太を貸してやろう。」とかさ。うっさいうっさい、本当にあの兄貴は面倒と思ったのは、全部私に回してくるんだからよ……。
[酔った宗冬の話はまだまだ続くようだった。]
ちょ、……タロ!……待ってよ!
[愛犬に引かれるまま、魔力の渦巻く個所に近寄った。
己がサーヴァントも惹かれてきたことに安堵とも何ともつかない気持ちを抱きつつ、その場に立ちすくむ。]
あ……えと……。
はじめまして、こんばんは。
[精一杯の笑みを浮かべた。]
......Oh! la la!!
[突然、己のマスターが犬に吠え立てられ、驚いて気配遮断を解除しソフィーの傍に立った。]
大丈夫ですか?
[目の前の女性に笑顔を向ける]
こんばんは。犬の散歩、ですか?
犬の散歩は、飼い主が制御するもので、犬が主導権を握るものではないと思います。
[素直な感想を述べて、相手の女性と、そして遅れて現れた老人を交互に見る]
[ランサーの言葉に魔術師らしき気配を確認する]
確かに魔術師の気配が二つ?
サーバント一体に魔術師が二人?
もうわけわかんないわ。
はあ…もう疲れた!!
このまま帰ってくれるなら帰ってほしいわ!
[警戒の姿勢はとり続けるものの、とりあえず身の危険が去ったらしいことに安堵すると、先ほどの右腕の痛みが気になって確認しようと右腕を捲り上げた。
そこには見慣れない三角からなら図形が浮かんでいる。]
このボケマスターァァァァァ!
[キャスターはマスターの頭を思い切り引っぱたいた。]
時と場所を考えろ!
サーヴァントの気配がするって言ったろうが!
そんな小さい犬なら力負けなぞせんだろ!抱き上げるなりなんなりせんかい!
[叫んで捲くし立てるキャスター。
なんかもう色々といっぱいいっぱいに近い様子だ。
というか色々ぶち壊された、主に自分が声をかけるタイミングを。
なんとか自分を落ち着かせ、相手の方へと視線を移し…]
…どうも、見目麗しいお嬢さん!
こんな所で立ち話もなんですしお茶でもどうでしょう?
[いつもの調子に戻っていた。]
[予想以上に多くの言葉が出て来たことに、ケネスはたじろいだ。
こいつには酒乱の気でもあるのだろうかと、ふと思う。]
なんか予想以上に鬱屈と言うかコンプレックスと言うか、いろいろ溜まってんだな、お前さんも……
[そう言うと空になったグラスに酒をついでやる。
とにかく今は*聞き役に徹する事にした。*]
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