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−駅前−
[駅から、帰宅途中の学生や会社員の群れが降りてくる。足を止めて歩き、不自然なスピードを隠す。
あがった息を整えて、教会方面の空を見つめる]
お願いです、マリア……。どうか早まらないで。
[扉の前で、シャルロットの髪が微かに揺れる。
それは風のせいではなく……
ナイフを握り締める指に力が入る。爪が手のひらに食い込む感触、未だ治癒されぬ皮膚の焼けるような痛み……]
私が望むのは
(本当に望んでいるのはなんだろう)
[チリチリと心が焼け付く]
(英雄になるとは、どういうこと?)
英雄とは即ち……
君の成した功績は誰に評価されたんだ。
歴史に残った君は、唯の暗殺者。
君は革命を起こしたかったのではないのか。歴史を変える聖人になりたかったのではないのか。
今の君は、黒く汚れているな。そのまま英霊の座に居続けるか。
−西ブロック・教会近く−
[ドクン、と魔力が騒ぐ。何の痛みかはわからない。令呪が痛んだ]
教会が、見えた。
[前方に教会。何事もないようにそこに佇んでいた]
……そう。
私は歴史を変えたかった。
私は英雄になりたかった。
そう。
私は"人類"に評価されたかったんだわ。
だから私はサーヴァントとして世界と契約した。
だから、今こそ、人類を救おう。
真の英霊になるために!
もう、惑わされませんわ、沖田敬一郎!
[そのまま扉に手をかけた。
扉はあっけないほど、静かに開いた。
正面からこちらを見据えていたのは、沖田敬一郎。]
…いや、食べなくても、いいんだけどね。
ほら、やっぱり傷を治すには食べて血を作って英気を養わないと。
[息をつく。
食べたところで、傷が治りはしないだろうが。
…もう、何かは諦めないといけない段階かもしれない。
昨日だって、二対一の戦いを強いられた。
こちらよりも、相手の回復の方が早いのは間違いない。
沖田敬一郎というイレギュラーもいる。
守りながら戦える、そんな戦況では、もはやない。
いかに相手を倒すかになるんだろう。
窓の外を見る。]
あー。
これを言うと、「彼」は怒るかもしれないけど。
ちょっと、庭の手入れの前に、聞いてほしいことがあるんだよね。
これからの戦いを考える上でさ。
「近くにマスターの気配を察知していた。
少し離れた距離に居る事を確認し、扉に立ちはだかるように立つ。]
ええ。
決まりましたわ、沖田敬一郎。
私の願いは"真の平和"
人類が、この星を守るよう、歴史を、変える事。
[つぶやいた声には、もう迷いは無かった。]
食べなくていいならそんな声出さなくてもいいでしょう。
[呆れたようにリチャードを見る。]
……聞いてほしいこと?
いいわ、聞いてあげましょう。
[何を言い出すのかといぶかしげにしつつ
長い話になったときのため壁に寄りかかった。]
[教会へと走る。闇色に染まったワンピース姿のシャルロットと、剣を掲げた沖田敬一郎。入り口から、半歩下がり、中を見つめた]
……マリアの、服はいったい。白かったはずなのに。
[ポツリと呟く。そして腕の令呪へと手を伸ばした]
令呪よ。
シャルロットの力となってその宝具へと宿れ。
[令呪の一画が光り、そしてその輝きを失う]
うーん。
[どう言えばいいものか。
隠すのは気がひける。
だが、言ってしまえば躊躇が生まれるかもしれない。]
…。
えぇと、ね。
うーん。
[右手の中指で、眼鏡をつり上げる。]
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