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―屋敷庭、井戸前―
[月が朧に、陽は揺れて
金色の幻のようだ。
歩いても歩いても、あの泉には辿り着けない。
仕方なしに、翠は井戸の水を汲み上げて頭から被った。]
……っふ
[さながら禊である。
痛いほど冷えた水が肌を刺した。]
……確りしないと。
[雫を掃い、髪を拭く。
屋敷のほうで、人の話し声が聞こえ、
翠はついと立ち上がった。]
……皆様起きてきていらっしゃる。
惚けている場合では無いわ。
――屍鬼が居たって、私が。
[屍鬼の話。
天賀谷は翠に何度か語って聞かせた事があった。
自棄に真実味を帯びた言葉。
そうして時に翠の稀有な色の眼を瞬きもせず見つめたのだ。
美しい刀の眠る部屋で。]
……仁科さん、大丈夫かしら。
[ふと呟く。
彼女は昨夜外に居たはずだ。
あれから顔を見て居ない。
翠は足早に自室へ向かった。程なく*常の制服に袖を通し現れるだろう*]
─3F自室─
……うう、脳が煮えてきたみたいだ。
[思考がまとまらない。というか、そもそも何か考えていなくては、という気はするものの、何のために、どのような事を、というものが欠けている。]
───思考それ自体が自己目的化している、ってか。やれやれだ。
[デスクの上から降り、空気でも入れ替えようと窓のほうへ近づく。]
?
[自分の腕時計と室内に備わった時計を見比べ、窓の外に目をやる。
───直接であれ、雲に隠されているのであれ、本来ならば太陽が天にあるはずの時間のはずなのに───]
なんてこった。夜が明けてない。
[窓を開け、身を乗り出す。昨日飽きもせずに眺めた花蘇芳も
その桃色が褪せたかのように月に照らされている。]
──回想・使用人部屋/浴室──
[湯に浸かれども仁科の身体は一向に暖まる気配は無い。
真白いまま変わらぬ肌の色を人事の様に眺め、これではまるで死人の様では無いかと。]
…昨日から、急激に──…おかしくなっちまった。
兄さんの話を、聞きに行くべきじゃなかったかねえ。
否、思えば旦那様がずっとおかしかったてえ事には、何の変わりも無いのか。
[ぴちゃり]
[ぴちゃり] [ぴちゃり]
[耳障りな水音…──。]
[煌煌と照りつける血の様な満月の圧迫感は、酷くなって行く。風呂どころでは無い。
薄赤い光と視界の下半分を覆う闇…──。
見慣れた部屋が赤と黒に彩られ奇妙に歪んで見える。]
[──…瞬き。
この風呂の湯は血で出来ているのではないか。
真っ赤だ。]
[仁科は浴槽の中で、恐怖に駆られ立ち上がる。]
…──え?
[唐突に、仁科の首筋にゾッとする様な冷気が吹き付ける。
何かおぞましいものの気配を感じて振り返れば──…何故か広がる──広大な真っ暗な闇の中に。
一瞬だけ、白い貌だけがすっと近付いて消えた様な気がした。]
……なんか、飲み物でももらってくるか。
[2〜3度かぶりを振ると、頭に帽子を載せ、食堂へと向かう。]
─3F自室→2F食堂─
[入り口の前で立ち止まり、誰かいるか、と声をかけてみる。]
あの、すみません。お手数ですが紅茶でもいただけませんか?
[仁科の傍を誰かが通り過ぎた。
強い、強い、怒りの感情を伴って…──。
其れは、時間軸と空間軸の捻れの為か、一瞬の出来事だった。怒りの理由までは分からず、その貌が仁科も見知った碧子の物である事にも気付かない程の短い時間。
只、天賀谷十三の命がもう長くは無い──その事実を仁科は確信した。]
──……っアァアア!
[全裸のまま、濡れた髪を掻きむしり、目を見開いて悲鳴を上げたが。
──…呻く様な僅かな声にしか成らない。]
…旦那様は死ぬ。
死ぬ、死ぬ、死ぬのだ。
怖い、怖い、あたしは怖い。怖い。
アァ、アアア、どうすれば良いンだ──っ。
[メイドに紅茶と苺ジャムをもらい、ロシアンティーをすする。見知った藤峰や翠の姿は見えない。]
……ま、天賀屋氏があんなことになったから、そちらに追われてるんだろうな。
にしても、この状況は……。
―3F天賀谷自室前―
[飲み物と果物を幾つか。
それを白磁器の器にと共に部屋へ運んだ時も、天賀谷は時折低く笑みを漏らすだけであった。]
……
[翠は同僚の使用人と顔を見合わせると、
静かに扉を閉じた。]
―3F→2Fへ―
[(中止になった)晩餐会時にはろくすっぽ見られなかった水鏡に目をやる。]
───そもそもあれは、屍鬼ってやつを見つけ出すためのものらしい。と言っても見つけ出すことのできる者は限られてるらしいが。
そういえば、首を切らないとなんてことも天賀谷氏は言ってたようだが
このご時勢、そんな事のできるやつがいるもんかね?
強いて言うなら───
[関東軍に在籍していたと思われる男。名は雲井、と言っただろうか。]
―庭―
七十六、七十七、七十八……
[刀の素振りを延々繰り返している。全身に汗ばんで、背中などぐっしょりと霧でも吹いたかのように濡れている。
それでも望月は素振りをやめようとしない]
『ああ、そうか』
[ともすれば湧き上がる自嘲の笑み]
『もう、このごろの人間は山田浅右衛門など知らないのだな』
[昨夜の事を思い出す。水を差しだしてくれた夜桜が、望月に問いかけた言葉だ>>164]
「どちらかの剣豪の血を引いておられるのですか?」
[それ以上のことを話す前に、彼女の意識は仁科に向けられてしまった]
『そうだな。斬首刑は明治の昔に廃止された。八代にわたって斬首を司ってきた山田浅右衛門の一族など、遠い昔の物語か』
[雑念を振り払おうと素振りをすればするほど、思いが募っていく]
『骨董を扱う狭い世間ならいざ知らず、時代はもはや人の首を切り続けた武士の一門など忘れているだろう。
……だが、天賀谷は忘れていなかった』
[手を止めて空を仰いだ]
―2Fの廊下で―
「ねえ、そう謂えば」
うん、何?
「鳶口君、来てないんだって。
藤峰さんが謂ってた」
[何の気のない同僚のいつもの他愛もない雑談。
けれども、それは翠に1つの確信を引き起こした。
――出られない。朝のように。
――入れない。外からは。
此処は、もう。]
「翠?……翠?」
え、あ、ああ。ごめんね。
ちょっと、考え事。
[いぶかしむ同僚を微笑みで誤魔化して、
翠は昨日の騒ぎの渦中にあった水盆へと足を向けた。]
[ぶつぶつと思考を垂れ流しつづける。おそらく、今の状態では頭の中でのみ思考をまとめようとするよりましな気がして。]
───とはいっても、雲井一人だけにそういう事を任せてもおけまい。となるとあるいはその手の荒事のできそうな人間が他にも?
……ヒューさん、もしかして、俺をここに来させたのは荒事をやらせるつもりだったってのかい?
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