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―望月自室
私と姉さんは、土蔵の闇の中で遊んでいた。
闇の中は、決して恐ろしくはなかった。
その狭くて親密な暗闇が、私たち姉弟を護ってくれたからだ。
震災で、外の世界が滅び去った時、そうだったように。
だが、私は結局――
その闇を……姉さんを見放してしまったんだ。
――ある時。
――それが、私の負っている罪なんだ。
[最後の言葉は、懺悔に他ならなかった。]
[闇][土蔵の、どこか湿った空気]
[触れ合うぬるい人肌][同じ血の流れる、柔らかな]
[……遠い歌声]
[陰惨でありながら、どこか甘美と受け取れてしまう]
鬼は、鬼のまま。
術を術と行使する。
何処まで行っても報われる事なんてありそうに思えませんが、あたしは後悔する事はないでしょう。
鬼とは。そういうもの。
[ふふ、と笑う。]
屍鬼となりぬるお前さん。
暫し辛抱しておくれ───。
[夜桜は刀を下げたまま、三階へ向けて歩き始めようとする。]
闇の中にただ一人、閉じこもるようになっていた姉さんの心は不可思議な世界を作っていった。
闇の中に、彼女の王国を築き、私はその下僕だった。
そのことに、私はだんだん飽き足らないようになっていったんだ。
私は、村の新しくできた友達と野山を駆け回って遊ぶことにも心惹かれていた。姉さんと遊ぶ時間も少しずつ減った。
ある時、私ははやり病にかかった。
私は数日寝込んだだけで起き上がることができた。
残念ながら、同じ病は姉さんにもかかっていた。
悪いことに、閉じこもりがちだった姉さんは免疫力が私よりも低かったのだろう。
病は深刻だった。
……その病は、私が外から持ち込んだものに他ならなかったんだ。
―望月自室
花純-かすみ-姉さんは――
……世間的に言えば……
[――死]
――いや
[――土を掘る音が聞こえる。]
違う――
姉さんは……死んでは……いない。
―望月自室
望月君。
姉さんはね。――死んではいないんだ。
あの日、私と一緒に帰ってきたのだから。
――びっこを引いていた姉さん。
私がかつがなければ、歩けなかったが……
――ああ、死んではいないんだよ。
[過去へといざなわれた眼差しはゆらぎ、うわごとのような声が漏れだした]
死んでないって、病で亡くなったんだろう?
[見捨てた――?罪?]
先生、かすみ姉さんってのが貴方の、罪なのか?
そんなとっくの昔に亡くなった――。
[はっと己の失言に口をふさぐが]
―望月自室
[わずかな間目を閉じ、現れた表情は再び理性を取り戻していた。]
――望月君。
さっき、協力が欲しいって言っていたね。
私にできることがあれば、なんでも言ってくれ。
夜桜さん―――
[声を掛けるけれど、
彼女が何を為そうとしているかなど
火を見るより明らかで。
手を伸ばして、その後を追おうとしたとき]
……江原様?
[酷く動揺した様子の青年の姿が見えた。]
ああ、先生。協力しあおう。
[満面の笑顔で]
俺が、屍鬼だ――。
[言うと同時に詰め寄ると、枚坂の手首を封じ万一の抵抗を防ごうとする]
──二階・廊下──
[翠は戸惑う様に、階上と仁科達の方を交互に見つめている。天鵞絨の瞳が揺れている。何故か、翠が望月を追いたそうにしている様に、仁科には見えた。]
…翠さん?
望月さんの所へ
[「行けば良い」と言い掛けて。
──…夜桜に口付けられた。仁科の口唇の感触が、夜桜にどう伝わるのだろうと思った。]
…現世の鬼。
さくらの鬼。
[花の様な笑みだと思い、僅かに心が静まるのを感じた。]
―望月自室
ああ……
私は姉さんがせっかく帰ってきてくれたというのに、耐えられなくなってしまったんだ。
体に浮いた穢らわしい模様――
――崩れてしまう、膚
姉さんをなんとかして元通りにしようと思っても、医学の知識などなかった私にはどうしようもなかった。
それが――
――本当に恐ろしいことだったんだ。
江原さま──
あなたさまの影はまだ濃い。
ご自愛下さい。
影封じの力を、仁科さんへ。
[白い影が、江原の影と交差し通り過ぎた。明解な答えを残して]
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