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だから……。
[僅かに己を笑うように]
異界にあって、鬼と成りきらぬ二人を
喰らわずに居て欲しい──。
[刀と鞘──。]
[夜桜はその話を聞いてはいなかったけれど]
望月君。それは、違う。
君はただ、誰よりも真っ先に目の前の出来事に挑んだだけだ。
君が命を奪わなくとも、屍鬼を仕留めるためには誰かがそうする他なかった。他に手段がなかったんだ。
――鬼手仏心。
医者がメスを取るとき、常に意識する言葉だ。
君が刀をとる心境もそれと同じだったと――そう思っているよ。
―望月の部屋―
ああ、いいよ。鍵までかけなくたって。
[屈託ない口調で言うと、手をひらひらさせる]
協力が、欲しいんだ先生。助けてくれ。
俺も大事なことを教えるんだから、先生も俺に教えてくれ。先生は、屍鬼をつかって何がしたいんだ?
仁科さん。
あたしは、枚坂さんを人間だと解っています。
けれど、
穢しちゃァならないんです。
忘れ形見も───。その母も。
[そこで、枚坂の声をいち早く耳にした望月が階段を上がっていった]
「さつきさんと杏さんの様子を、見てくる。」
──無闇矢鱈に、いじった末──目覚めたとして。
屍として目覚める事を──彼らは望んでいるのかすら、先生は解らなくなってしまったのでしょうか。
[独白のように]
―望月自室
[望月青年の止血を行いながら、話をしていた。]
私も聞きたいと思っていたんだ。
君の首への執着。
その、責務への強い思い。
君がなにを背負っているのか――
そのことをね。
―望月自室
屍鬼をつかって何がしたいか――
それは、簡単なことだよ。
わかってもらえないことかもしれないが、私は命の根源を、不死の謎を知りたいんだ。
どこから話してよいかわからないが、
私は、一度死にかけた人間でね。
望月君は生まれた頃かもしれない。
関東大震災で、東京は一時灰燼へと帰した。
俺のことなど、たいした話じゃないさ。
商売物の日本刀が軍刀にされて使われる、その晴れ舞台って奴にあこがれて出征した。
……そこにあった死があんまり歪で……俺の憧れていたものとあんまり違っていて。
[銃弾で無造作に殺しあう。死の手ごたえさえないままに]
それで頭のねじの緩んだ帰還兵だ。ただ俺はそこで――。
私の母は、浮世離れした人でねえ……
父に離縁されて実家に姉と私を連れて帰ったが、私たちを顧みようとはしなかった。私たちを土蔵に閉じこめては男をひっぱりあげ、遊んでいたよ。
姉と私にとって、暗い土蔵の中だけが安心して遊べる場所だった。
被災したのは、そんな風に母が私たちを土蔵に閉じこめて、男を家に泊めていた日のことだった。
家の中でもっとも頑健な作りだった土蔵だけが全壊を免れ、私と姉の二人だけが生き残ったのは、思えば皮肉なことだっただろうね。
だが、誰もそこに生きている人間がいるとは思わなかった。
私たちは何日も、暗く狭い土壁と残骸の隙間に取り残されたんだ。
[>>150「空涙」と言う望月の言葉に、]
──…空涙ねぇ。
そう言った器用な真似が出来るお方も居られるンでしょうねえ。
まあ、なんにせよ。
望月様ァ、屍鬼自身の事等知ろうとならさぬ事でさ。
魅入られたり、憑かれたり。
ロクな事になりやしません…──。
あたしの様に、ね。
[夜桜に向き合う。]
…──あたしが、今、どれほど望月様が妬ましいのか。
また、心が読めた様にわかってしまうのですねえ。
アァ、夜桜さんには、迷惑をばかりを掛けている。
[仁科は刃を手にした夜桜に、静かに頭を下げた。]
先生、土蔵に一緒に居た姉さんってのは……。
そうして、戦争で見たものってのは?
[戦争のほんの浅い部分しか知らぬ自分すら狂気を負った。枚坂はいったい、何を]
―望月自室
何日もその闇の中に取り残された時間は、凄絶なものだった。
互いのいばりを呑み、姉の膚を舐めてはそこに滲んだ塩を味わった。
それでも、食糧がないその場所で辛うじて生き延びることができたのは、共用水栓が破壊され、水が空間の隙間から滲んできたためだった。
その泥水をすすって、なんとか命を繋いだんだ。
朦朧とした姉が夢を見るように、なにかの唄を唄っていた。
その響きが――好運にも瓦礫を撤去していた人足の耳に届いて――
私たちは救助された。
―回想・階段付近―
[枚坂の、さつきと杏が絶対安静だという言葉に、
翠は困ったような顔をした。]
―――……
[仁科が喰らったという、2人に何を。
枚坂と共に部屋へと向かう望月。
その背になんと言葉をかけるべきか分からずに。]
―望月自室
母も、その愛人だった男も、姉以外の家族は皆瓦礫の下に押しつぶされて死んだ。
私と姉は、そうだね、藤峰君と同じ――
この別荘付近の村にある遠い親戚の家に引き取られたんだよ。
姉は震災の怪我が元ですこしびっこを引いていてね。
外に出てはからかわれていた。
新しい家になじめずにいた。
姉は、新しい家にもあった土蔵に閉じこもるようになってしまった。
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