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だとすれば…誰かが変えて行った…。でも誰が?何の為に…?
[そこまで呟いてわたしはいくつかの仮説を組み立てる。店にはソフィーが居た事。彼女が何らかの理由で降りてきた際にわたし達の行為を覗いてしまい、思わず外に出た際プレートを変えて行った。或いはギルバートという男が――]
でもその二人が変えて行ったというのには、今ひとつしっくり来ないけど…。でも解っているのは酒場でのやり取りを誰かが確実に見ていた…ということかしら――…
[確認するように一人語ちながら、わたしは頭を抱えた。何故これ程までに頑なに隠してきた思いを、あんな無防備な状況で晒してしまったのだろうか。幾らリックの事で混乱していたとはいえ、わたしがこの地から迫害を受け追い出されたらもう二度と身を寄せる場所など無いというのに]
[常軌を逸脱してはならない。それは痛いほど解りきっていた事実。だからローズへの思いも三年以上の間押し殺してきたのに。湧き上がる欲望は契約で宥めても彼女への思いは誰にも打ち明けずに過ごしてきたのに――]
迂闊…だったわ――
やっぱりパンドラの箱は開けてはいけないものだったのに…。
[わたしは口惜しさを紛わすかのようにきつく唇を噛んだ。そして逆恨みのようにあのギルバートという男の、人懐こい笑顔と何処か見透かしたような眼差しを思い出し――]
あの男に会ってから…わたしの歯車は狂って行ったわ……一体何者なのよ…あの人――
[忌々しく吐き捨てた。そしてローズが彼に首ったけになっていた事実をも思い出したわたしは、今し方まで彼女が触れていた部分が間接的にあの男に穢されたような気がして]
気持ち悪いわ…ローズも…彼女に触れられたこの體も全部…。早く洗い流してしまわないと…
[気が触れそうな感覚に陥りながら、わたしは自宅への道を急ぎ室内に入るなり着ていた衣類を全てゴミ箱へと投げ捨て、熱いシャワーで全身を隈なく洗い流した。]
[赤く染まるまで擦り流した膚に描かれた罪達は、滴るような色艶を纏って。
主と共に柔らかいベッド、深い眠りへと落ちていく――]
──町に隣接する森の中──
[男は何かから逃げるように森を走っていた。
靴を履いていない疵だらけの素足には乾きかけた泥がこびり付き、何処かにひっかけでもしたのか、汗と泥で薄汚れたシャツは継ぎ目が裂けて肩が露出したりしていた。]
[艶の褪せた茶髪に木の葉を絡め、今も腕や顔に小さな擦過傷を増やしながらも、男は痛みを感じないかのように、ひたすら前だけを見据えて薄暗い森を駆けて行く。]
[強いメンソールの香りを纏ったナサニエルが近づいてくる。
鏡を見るのは嫌いだった。
自分の姿は兄そっくりだったから。
だから自宅には鏡がなかった。
アンゼリカでもバンクロフト邸でも、鏡は決して見なかった。
だが、自分を見つめてくるナサニエルの瞳を見てしまった。
そこに写るのは、何に見えたのだろうか]
…兄さん…あぁ、ここに…いたんだ…
[表情のない顔、虚ろな目で答えを返す。
ナサニエルの髪に触れた手は冷たかった]
ハッ……ハッ……ハッ……。
[男の線の細い痩せた身体からは肉が削げ落ち、一見すると急な斜面や起伏の激しい地形を有する森を駆ける体力など残ってはいないかに見えたが、不思議と息を乱す事もなく、獣のように浅い呼吸を繰り返し、奥へ奥へと進んで行く。]
[やがて一本の巨大な楡の木の根元にぽっかりと空いたうろを発見すると、足を休める事無くちらりと後ろを振り返り、誰も追って来ていないと知るや、転げるように中へと駆け込んだ。]
[光の届かない暗い穴の中で、男は膝を抱えて震えていた。
真っ赤に充血した眼は辺りを窺うように闇の中でぎょろぎょろと動き、時折聞こえる鳥の羽ばたきに一々びくりと肩が跳ねた。]
── 回想 ──
ギシギシと鳴るベッドの上でユーインは自分のペニスを俺の中に突っ込んだまま、面白そうに笑っていた。
お互い溶け合ってから既に数度絶頂を迎えていたがそれでも離してくれなかった。
確か、シャーロットと一緒にいた所を見つかったか何かで彼は異常な程しつこく俺を求めていた。
俺を見下ろすユーインの手には安全ピン。
何をされるか分からず、懸命に抵抗したが、数度に及ぶ行為の後で力は入らなかった。
「ねぇ、ハーヴ。俺達、ずっと一緒だよね?」
うっとりしながら呟くユーイン。
そういいながら、安全ピンを俺の耳に当てた。
「…俺以外を見るのは許さないから」
ととても綺麗に笑い、針で俺の耳を貫いた。
涙を流す目の前は真白に、それを見る目の裏は真赤に染まった]
[しばらくすると落ち着いたのか、膝を抱えた体勢のまま瞳を閉じ、薄汚れたその身を照らす陽の光が地平線の向こうに姿を消すまで、しばしの休息に身を委ねた──。]
[その後彼がねじ込んできたのはあのアレキサンドのピアス。
光源によって光が変わって見えるのだという。
満足そうに、真赤に腫れた俺の耳にキスをして笑って言った。
─『一つの石に二つの色って、俺達みたいだろう?』
嬉しそうに笑うユーイン。こうすることで俺を束縛したかったのか。だが俺は違った。
赤い光は太陽の下、青い光は影の中でしか見えない。決して混ざらず、同時に見えることもない二つの色は完全に別なもの。
俺はこのピアスを兄と自分の境界線としてつけていたのだ。
だが、今はもうこの境界線が薄れつつある。
自分を見失いそうな、そんな予感が した ]
「兄さん」……?
「ここにいた」………?
おい、ハーヴェイ?
何があったんだ………
[触れられた手の冷たさに、背筋が凍るような心地を覚え、ビクリと肩を震わせた。]
――――
She had no way of knowin' I was leavin' home for good
娘は私がずっと家に戻らないのだということを知るよしもない
I turned around and there she was again
私が振り向くと彼女はまだそこにいた
As she said to me
こう云いながら
Daddy, don't you walk so fast
パパ、そんなに早く行かないで
――
―車内―
[イアンをこれから探しに行くというのに、あまりに不吉な歌詞だった。私は苦笑いしながら、チューナーをいじる。
スコット・マッケンジーの『San Francisco』がかかった。]
Summertime will be a love-in there〜
私は小さな声で口ずさんだ。
…兄さん…
あぁ、この人……この人が……
[ぎょろり、と目だけでナサニエルを睨む]
[シーツの中の左手、チャリンと何かをつかんだ]
──車内──
[スピーカーから聞こえて来た歌詞に、窓の外へと向けていた瞳をチューナーを操作するヒューバートの手へと移す。]
[Daddy, don't you walk so fast
Daddy, don't you walk so fast
Daddy, slow down some 'cause you're makin' me run
Daddy, don't you walk so fast]
[すぐに違う曲へとチャンネルが移されるが、
一度耳に届いた歌詞はしばらくソフィーの頭に留まっていた。]
…………………?
俺が、何だ?
[ハーヴェイに睨まれ、じりじりと後ろに下がる。]
ユーインが……何だ。
言いたいことがあるなら、口で言ったらどうだ。
心配いらないさ。
きっと、すぐ見つかる。
[ソフィーの表情を伺いながら、そう口にしていた]
なにか、イアンの変わった癖や習慣だとか……
よく気にしていた場所だとか、心当たりはないか?
[言いたいことは行動が示したのだろうか。
左手に音を発したのは自宅の鍵だった。
しかし鍵とは時として殺人にも及ぶ鋭い凶器となる。
ナサニエルの喉元目掛け、異常な勢いでその小さな凶器を閃かせた]
[申し訳ないといった風に頭を振り]
──…いえ。
父も、私と同じく社交的な人間ではありませんでしたから…。
[それから気付かれない程度の細い溜め息を吐き]
よく行く所と言えば…、
アンゼリカか雑貨屋くらいだったでしょうか……。
[目を見開いて、ハーヴェイの行動を見つめていたが、彼の左手に閃く銀色に、思わず表情を強張らせる。]
なっ……………!
[ハーヴェイとの距離はあまりに近く、逃げ出すのはかえって危険と判断したナサニエルは、咄嗟に両腕で喉元を防御した。]
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